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第3章:ミスエデュケーション

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 昼食が終ると、ボク達は王宮の武器庫にやって来た。
 偽の王子様が弓術の試合に使う弓を選ぶ為だけど……。
「阿呆かッ‼」
 早速、ラートリーの怒号。
「何がだッ?」
「それ、歩兵用の弓だろッ?」
 たしかに、偽の王子様が選んだのは……大き目の弓。
 馬の上で扱うのは難しそうだ。
「それが何だ?」
「『試合は草原の民のルールでやる』……それを了承したのはお前だろうがッ‼」
「だから、何を言ってる?」
。あと、
「え……えっと……草原の民の弓は……いしゆみ?」
「いや、いしゆみじゃない弓だ」
「両手使う必要が有る弓?」
「普通は両手を使うな」
「弓を射る時、手綱は握れない?」
「手が3本以上有る人間が居れば話は別だが、普通の人間は握れないな」
「弓を射る時……馬はどうやって?」
 ぽんぽん……。
 ラートリーは自分の両方の太股を叩く。
「草原では、子馬の頃から、馬を足の締め付けが手綱の代りになるように訓練してるし、逆に人間も、手綱で馬を操る方法だけじゃなくて、足の締め付けで操る方法を身に付けてる」
「え……えっと……それ、身に付けるのに、どれ位かかる?」
「早くて半年……馬も人間も……」
「……」
「あと、もう1つ問題が有る」
「これ以上、何だ?」
「草原の馬は、子馬の頃から走り方を矯正されてる。草原の馬の方が、こっちの馬より走る時の振動が小さい。慣れた馬でも、こっちの馬を使うと弓術の試合では不利になる」
「……」
「で、ルールだ。的に向かって走りながら前方に射る。的から遠ざかりながら後方に射る。的から見て横方向に走りながら射る。その3つで1試合だ。的の中心により近い場所に当てた方が一本取れる。で、先に2本取った方が勝ちだが、どの順番でやるかは格下と見做されてる方が選べる。多分、相手が格上扱いだろうから……弓術で勝目が有るとするなら、どの順番でやるかだ……どうした?」
「あ……草原の民から日程の通達が有りました。一週間後だ……どうしました?」
 そこにやって来たのは女騎士のウシャスさん。
 とりあえず……。
 偽物の王子様の心は折れかけてるようだった。
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