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第一四章:悲しみに振り向けば明日が見えないよ
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「じゃあ、1、2の3で邪気を押えてた結界を解く」
「わかりました」
あたしは、強化装甲服の魔法使いに、そう答えた。
「1、2の3」
その瞬間……炎のように見えていた壁が消え……優那ちゃんが放っていた邪気が……。
その邪気を取り込む。
次の瞬間……吐き気がする。
苦しい。
嫌なモノが……次々と見える。
地獄?
魔界?
何かの……幻覚?
化物……亡霊……どろどろとした汚ない……。
「えっ?」
ふと……手を見る。
片方の手は……鱗に覆われて爪が伸びた……もう片方の手は骨になり……3本目の手は……えっ? 3本目……?
やめ……いや……冗談じゃ……。
次の瞬間……。
「やっぱり……お前は……敵だな……」
「優那ちゃん? 違うよ……あたしは……」
「なら、その姿は何だ?」
「違う……これは……幻覚……」
その瞬間……あたしの中の何かが邪気を吹き飛ばす。
洪水……。
あたしには、それが、そう見えた。
とんでもない洪水が……周囲に居る魔物や亡霊を押し流した……。
その洪水の中心には……。
8本の腕。
その腕の1つ1つには色んな武器が握られている。
その顔は……変だ……。
整っている……そんな言い方しか出来ない。整っているけど……綺麗でも可愛くもない……。ただ、冷たい……顔。
あらゆる人間を見下してるかのような……ただ、ただ、冷酷そうな……氷のような……。
「あ……あんたなんか……呼んでないッ‼」
あたしは、その「戦いの女神」に向かって叫んだ。
「何を言っている? お前は私だ。お前が死ねば、私も消える。だが、お前は自らの命を危険に晒す愚かな真似をした。だから、私は、その危険を取り除こうとしただけだ」
「違う。あたしは……優那ちゃんを助けたいだけだよ‼ 殺す事しか出来ない、あんたなんて呼んでないッ‼」
「ならば、お前も、また殺すしか出来ない者では無いのか? 何故なら……」
「違うッ‼」
「どう否定しようと、お前は私だから……」
次の瞬間……。
「何?」
「乗り越えろ、自分を」
「そいつはお前かも知れねえが、同時に、お前の一部に過ぎねえ」
突然、現われたのは……。
1つは……戦いの女神。でも、あたしの中に居た「戦いの女神」とは、違う温かい……太陽の光のような女神。
もう1つは……炎に包まれた……青い肌の……3つの目が有る顔に怒りの表情を浮かべた神。
「やめて……何故……あたしを……師匠、何でッ?」
突然、現われた2体の神に攻撃される「戦いの女神」の悲鳴……その声は……その口調は……。
あたしだ。やっぱり、「こいつ」は「あたし」だ。
これが正解かは判らない……でも……。
「うわあああッ‼」
あたしは……その「戦いの女神」に向けて、思いっ切り、「気」を放った……あたし自身に向けて。
「わかりました」
あたしは、強化装甲服の魔法使いに、そう答えた。
「1、2の3」
その瞬間……炎のように見えていた壁が消え……優那ちゃんが放っていた邪気が……。
その邪気を取り込む。
次の瞬間……吐き気がする。
苦しい。
嫌なモノが……次々と見える。
地獄?
魔界?
何かの……幻覚?
化物……亡霊……どろどろとした汚ない……。
「えっ?」
ふと……手を見る。
片方の手は……鱗に覆われて爪が伸びた……もう片方の手は骨になり……3本目の手は……えっ? 3本目……?
やめ……いや……冗談じゃ……。
次の瞬間……。
「やっぱり……お前は……敵だな……」
「優那ちゃん? 違うよ……あたしは……」
「なら、その姿は何だ?」
「違う……これは……幻覚……」
その瞬間……あたしの中の何かが邪気を吹き飛ばす。
洪水……。
あたしには、それが、そう見えた。
とんでもない洪水が……周囲に居る魔物や亡霊を押し流した……。
その洪水の中心には……。
8本の腕。
その腕の1つ1つには色んな武器が握られている。
その顔は……変だ……。
整っている……そんな言い方しか出来ない。整っているけど……綺麗でも可愛くもない……。ただ、冷たい……顔。
あらゆる人間を見下してるかのような……ただ、ただ、冷酷そうな……氷のような……。
「あ……あんたなんか……呼んでないッ‼」
あたしは、その「戦いの女神」に向かって叫んだ。
「何を言っている? お前は私だ。お前が死ねば、私も消える。だが、お前は自らの命を危険に晒す愚かな真似をした。だから、私は、その危険を取り除こうとしただけだ」
「違う。あたしは……優那ちゃんを助けたいだけだよ‼ 殺す事しか出来ない、あんたなんて呼んでないッ‼」
「ならば、お前も、また殺すしか出来ない者では無いのか? 何故なら……」
「違うッ‼」
「どう否定しようと、お前は私だから……」
次の瞬間……。
「何?」
「乗り越えろ、自分を」
「そいつはお前かも知れねえが、同時に、お前の一部に過ぎねえ」
突然、現われたのは……。
1つは……戦いの女神。でも、あたしの中に居た「戦いの女神」とは、違う温かい……太陽の光のような女神。
もう1つは……炎に包まれた……青い肌の……3つの目が有る顔に怒りの表情を浮かべた神。
「やめて……何故……あたしを……師匠、何でッ?」
突然、現われた2体の神に攻撃される「戦いの女神」の悲鳴……その声は……その口調は……。
あたしだ。やっぱり、「こいつ」は「あたし」だ。
これが正解かは判らない……でも……。
「うわあああッ‼」
あたしは……その「戦いの女神」に向けて、思いっ切り、「気」を放った……あたし自身に向けて。
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