魔導兇犬録:HOLDING OUT FOR A HERO

蓮實長治

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第九章:Burning Heart

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「何で、ボウガンなんですか?」
 沙也加さんと一緒に来た女の子が、武器を選んでいた沙也加さんのお兄さんに、そう訊いた。
「銃の訓練はしたけど……音がした途端に目をつぶっちゃう癖が、どうしても直らなくて……」
「大阪府内に入ったら、市街地や建物内の戦闘がメインになると予想してるんで、用意されてる銃器は、射程が短かいモノがメインです。万が一、開けた場所で戦いになったら、林とかの障害物が多い場所に誘導して下さい」
了解Confirm
 ボクの方は、望月さんと打ち合わせ。
「結局、行く事になるのね……」
 沙也加さんのお兄さんの彼女さんのボヤキ。
「……ごめんなさい」
「お小言は生きて帰ってきてから、ゆっくりやるから、全員、覚悟しといてね」
「はい……」×4。
「あ、それ、訓練しないと、自分で怪我するから……」
 沙也加さんと一緒に来た女の子が武器を選んでたけど、沙也加さんは、そう言って鎌型短剣カランビットを指差す。
「初心者のサブウェポンなら、普通のナイフがオススメ。なるべく片刃のヤツね」
「なるほど……」
「え……それ、使えるの?」
「一応、訓練はした」
 沙也加さんと一緒に来た女の子がメインウェポンとして選んだのは……強化プラスチック製の棒。
 2本に分離出来て、分離した状態では折り畳む事も可能。
 つまり、慣れれば、長い状態で1本、中程度の長さの二刀流、短い二刀流の3通りの使い方が出来る。
 ボクは、セミオート式ショットガンがメインで、山刀マテーチェと武器・作業両方に使えるタイプのナイフに、通常時が四五㎝ほどで展開時が約倍の長さになる折り畳み式ブレード、あと投擲用の棒手裏剣。
 ショットガンの弾は、スラッグ弾・散弾・非致死性ゴム弾・簡易焼夷弾ドラゴン・ブレスのそれぞれ通常弾と魔法・心霊系の相手用の霊力封入弾、そして、非致死性催涙ガス弾と、まだ実験段階のヤツだけどボディアーマーなどの防御力を無効化し中の人間に直接ダメージを与える仮名称「細波さざなみ弾」を、それぞれ間違えないように、別のペイントがされた弾倉マガジンに詰める。
「そうだ、『工房』から連絡。その弾倉マガジンで確認して欲しい事が有るって」
「何です?」
「夜中でも区別出来るか確認してから使えって」
了解Affirm
 ボクの場合、獣人形態になった場合は、人間形態の時より夜目は効く代りに……見え方が昼間とは違ってくる。
 色の明るさの判別は昼間より上がる代りに、色合いの判別は難しくなる。
 まぁ、普通の人間でも暗い所では色の判別が明い所より難しくなるらしいけど……ボクの場合は、その辺りの特性が普通の人間とは更にちょっと違うらしい。
「ところで、今……どこです」
『そろそろ岡山県を出る頃』
 運転席の方から、そう回答が返ってきた。
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