76 / 125
第九章:Burning Heart
(5)
しおりを挟む
「何で、この人が出て来んのッ?」
沙也加さんと一緒だった女の子は……その人の事を知ってたらしい。
画面に映ったのは……「門司工房」の副責任者。
『しけた表情してんのが何人か居るけど……まぁ、聞いてくれ。2択の選択肢が有る。そこに居るの全員、このまま久留米に帰るか。それとも、全員、大阪で一暴れするか』
「いきなり、意味が判んないんですけど……」
『そこの2人の誘拐されたお友達は、大阪に連れ去られた事が判った。でも、今、大阪で、とんでもない案件が3つぐらい同時進行中だ。1つでも対応を間違えたら、軽くても千人単位の死人とその一〇倍前後の重傷者が出る。最悪は一〇年前の旧首都圏に続いて大阪も壊滅しかねない事態がな。しかも、大阪を支配してるテロ組織「獅子の党」は、その事に気付いてない』
「ちょ……ちょっと……一体全体……何が……」
『大事な事は、今、大阪は極めて危険な状態にあるのに、その危機を防いだり、その危険から一般人を救助する為の人手が全然足りてないって事だ。日本全国から、あたしら俗に言う「正義の味方」が集ってるが……まだ、担当が決ってないサブ案件が山程有る』
「そ……それで……その……」
『あたしらが、そいつらの誘拐されたお友達を救助する任務に名乗り出るぞ』
「その『あたしら』には、俺達も入ってます?」
沙也加さんのお兄さんは、当然の質問。
『あたしら1人1人は、少しも完璧じゃない。まぁ、あたしらの内の誰かさんが、乗り越えたかったり、追い付きたかったり……一〇以上年下だと思ってたのに、気付いた時には、とっくに追い抜かれてた奴らも完璧じゃないけど……あたしらの「少しも完璧じゃない」はレベルが違う酷さだ』
「やな予感しかしない演説ですね……」
「まったくだ」
ボクと沙也加さんのお兄さんはボヤき合う。
『けど、ここに偶然、誰かが出来ない事を、他の誰かが補えるようなメンバーが揃った。近接戦闘特化型の獣化能力者。同じ獣化能力者でも、近接戦闘も銃器も、どっちもイケるの。まだ未熟だけど「魔法使い」系。限定版だけど「神様系」。そして強化装甲服使い』
「最後の1人だれです?」
『決ってるだろ。あ・た・し♪』
「何で?」
『こいつの事を、あたし以上に知ってる奴は、そうそう居ないぞ』
そのセリフと共に、画面に映ったのは……民生用強化装甲服「水城」のヘルメット。
ああ……そうだ……今は……関係者の個人情報を言うのは御法度だけど……この人、「水城」の設計に関わってた……。
『ただし、1人でも欠けたら、このチームにはデカい穴が空く。全員行くか、1人でも行きたくないのが出たら……全員帰るかだ』
画面からは……「主任、やめて下さい」「うるせえ」って口喧嘩が聞こえてきた。
沙也加さんと一緒だった女の子は……その人の事を知ってたらしい。
画面に映ったのは……「門司工房」の副責任者。
『しけた表情してんのが何人か居るけど……まぁ、聞いてくれ。2択の選択肢が有る。そこに居るの全員、このまま久留米に帰るか。それとも、全員、大阪で一暴れするか』
「いきなり、意味が判んないんですけど……」
『そこの2人の誘拐されたお友達は、大阪に連れ去られた事が判った。でも、今、大阪で、とんでもない案件が3つぐらい同時進行中だ。1つでも対応を間違えたら、軽くても千人単位の死人とその一〇倍前後の重傷者が出る。最悪は一〇年前の旧首都圏に続いて大阪も壊滅しかねない事態がな。しかも、大阪を支配してるテロ組織「獅子の党」は、その事に気付いてない』
「ちょ……ちょっと……一体全体……何が……」
『大事な事は、今、大阪は極めて危険な状態にあるのに、その危機を防いだり、その危険から一般人を救助する為の人手が全然足りてないって事だ。日本全国から、あたしら俗に言う「正義の味方」が集ってるが……まだ、担当が決ってないサブ案件が山程有る』
「そ……それで……その……」
『あたしらが、そいつらの誘拐されたお友達を救助する任務に名乗り出るぞ』
「その『あたしら』には、俺達も入ってます?」
沙也加さんのお兄さんは、当然の質問。
『あたしら1人1人は、少しも完璧じゃない。まぁ、あたしらの内の誰かさんが、乗り越えたかったり、追い付きたかったり……一〇以上年下だと思ってたのに、気付いた時には、とっくに追い抜かれてた奴らも完璧じゃないけど……あたしらの「少しも完璧じゃない」はレベルが違う酷さだ』
「やな予感しかしない演説ですね……」
「まったくだ」
ボクと沙也加さんのお兄さんはボヤき合う。
『けど、ここに偶然、誰かが出来ない事を、他の誰かが補えるようなメンバーが揃った。近接戦闘特化型の獣化能力者。同じ獣化能力者でも、近接戦闘も銃器も、どっちもイケるの。まだ未熟だけど「魔法使い」系。限定版だけど「神様系」。そして強化装甲服使い』
「最後の1人だれです?」
『決ってるだろ。あ・た・し♪』
「何で?」
『こいつの事を、あたし以上に知ってる奴は、そうそう居ないぞ』
そのセリフと共に、画面に映ったのは……民生用強化装甲服「水城」のヘルメット。
ああ……そうだ……今は……関係者の個人情報を言うのは御法度だけど……この人、「水城」の設計に関わってた……。
『ただし、1人でも欠けたら、このチームにはデカい穴が空く。全員行くか、1人でも行きたくないのが出たら……全員帰るかだ』
画面からは……「主任、やめて下さい」「うるせえ」って口喧嘩が聞こえてきた。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
この世界にダンジョンが現れたようです ~チートな武器とスキルと魔法と従魔と仲間達と共に世界最強となる~
仮実谷 望
ファンタジー
主人公の増宮拓朗(ましみやたくろう)は20歳のニートである。
祖父母の家に居候している中、毎日の日課の自宅の蔵の確認を行う過程で謎の黒い穴を見つける。
試にその黒い穴に入ると謎の空間に到達する。
拓朗はその空間がダンジョンだと確信して興奮した。
さっそく蔵にある武器と防具で装備を整えてダンジョンに入ることになるのだが……
暫くするとこの世界には異変が起きていた。
謎の怪物が現れて人を襲っているなどの目撃例が出ているようだ。
謎の黒い穴に入った若者が行方不明になったなどの事例も出ている。
そのころ拓朗は知ってか知らずか着実にレベルを上げて世界最強の探索者になっていた。
その後モンスターが街に現れるようになったら、狐の仮面を被りモンスターを退治しないといけないと奮起する。
その過程で他にもダンジョンで女子高生と出会いダンジョンの攻略を進め成長していく。
様々な登場人物が織りなす群像劇です。
主人公以外の視点も書くのでそこをご了承ください。
その後、七星家の七星ナナナと虹咲家の虹咲ナナカとの出会いが拓朗を成長させるきっかけになる。
ユキトとの出会いの中、拓朗は成長する。
タクロウは立派なヒーローとして覚醒する。
その後どんな敵が来ようとも敵を押しのける。倒す。そんな無敵のヒーロー稲荷仮面が活躍するヒーロー路線物も描いていきたいです。
桃姫様 MOMOHIME-SAMA ~桃太郎の娘は神仏融合体となり、関ヶ原の戦場にて花ひらく~
羅心
ファンタジー
鬼ヶ島にて、犬、猿、雉の犠牲もありながら死闘の末に鬼退治を果たした桃太郎。
島中の鬼を全滅させて村に帰った桃太郎は、娘を授かり桃姫と名付けた。
桃姫10歳の誕生日、村で祭りが行われている夜、鬼の軍勢による襲撃が発生した。
首領の名は「温羅巌鬼(うらがんき)」、かつて鬼ヶ島の鬼達を率いた首領「温羅」の息子であった。
人に似た鬼「鬼人(きじん)」の暴虐に対して村は為す術なく、桃太郎も巌鬼との戦いにより、その命を落とした。
「俺と同じ地獄を見てこい」巌鬼にそう言われ、破壊された村にただ一人残された桃姫。
「地獄では生きていけない」桃姫は自刃することを決めるが、その時、銀髪の麗人が現れた。
雪女にも似た妖しい美貌を湛えた彼女は、桃姫の喉元に押し当てられた刃を白い手で握りながらこう言う。
「私の名は雉猿狗(ちえこ)、御館様との約束を果たすため、天界より現世に顕現いたしました」
呆然とする桃姫に雉猿狗は弥勒菩薩のような慈悲深い笑みを浮かべて言った。
「桃姫様。あなた様が強い女性に育つその日まで、私があなた様を必ずや護り抜きます」
かくして桃太郎の娘〈桃姫様〉と三獣の化身〈雉猿狗〉の日ノ本を巡る鬼退治の旅路が幕を開けたのであった。
【第一幕 乱心 Heart of Maddening】
桃太郎による鬼退治の前日譚から始まり、10歳の桃姫が暮らす村が鬼の軍勢に破壊され、お供の雉猿狗と共に村を旅立つ。
【第二幕 斬心 Heart of Slashing】
雉猿狗と共に日ノ本を旅して出会いと別れ、苦難を経験しながら奥州の伊達領に入り、16歳の女武者として成長していく。
【第三幕 覚心 Heart of Awakening】
桃太郎の娘としての使命に目覚めた17歳の桃姫は神仏融合体となり、闇に染まる関ヶ原の戦場を救い清める決戦にその身を投じる。
【第四幕 伝心 Heart of Telling】
村を復興する19歳になった桃姫が晴明と道満、そして明智光秀の千年天下を打ち砕くため、仲間と結集して再び剣を手に取る。
※水曜日のカンパネラ『桃太郎』をシリーズ全体のイメージ音楽として執筆しております。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
【完結】染髪マン〜髪色で能力が変わる俺はヒーロー活動を始めました〜
仮面大将G
ファンタジー
金髪にしたらヒーローになっちゃった!?
大学生になったから髪を染めてみよう。そんな軽い気持ちで美容室に行った染谷柊吾が、半分騙されてヒーロー活動を始めます。
対するは黒髪しか認めない、秘密結社クロゾーメ軍団!黒染めの圧力を押しのけ、自由を掴み取れ!
大学デビューから始まる髪染めヒーローファンタジー!
※小説家になろう様、カクヨム様、ソリスピア様でも同作品を掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる