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第九章:Burning Heart

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「何で、この人が出て来んのッ?」
 沙也加さんと一緒だった女の子は……その人の事を知ってたらしい。
 画面に映ったのは……「門司もじ工房」の副責任者。
『しけた表情ツラしてんのが何人か居るけど……まぁ、聞いてくれ。2択の選択肢が有る。そこに居るの全員、このまま久留米に帰るか。それとも、全員、大阪で一暴れするか』
「いきなり、意味が判んないんですけど……」
『そこの2人の誘拐されたお友達は、大阪に連れ去られた事が判った。でも、今、大阪で、とんでもない案件が3つぐらい同時進行中だ。1つでも対応を間違えたら、軽くても千人単位の死人とその一〇倍前後の重傷者が出る。最悪は一〇年前の旧首都圏に続いて大阪も壊滅しかねない事態がな。しかも、大阪を支配してるテロ組織「獅子の党」は、その事に気付いてない』
「ちょ……ちょっと……一体全体……何が……」
『大事な事は、今、大阪は極めて危険な状態にあるのに、その危機を防いだり、その危険から一般人を救助する為の人手が全然足りてないって事だ。日本全国から、あたしら俗に言う「正義の味方」が集ってるが……まだ、担当が決ってないサブ案件が山程有る』
「そ……それで……その……」
『あたしらが、そいつらの誘拐されたお友達を救助する任務に名乗り出るぞ』
「その『あたしら』には、俺達も入ってます?」
 沙也加さんのお兄さんは、当然の質問。
『あたしら1人1人は、少しも完璧じゃない。まぁ、あたしらの内の誰かさんが、乗り越えたかったり、追い付きたかったり……一〇以上年下だと思ってたのに、気付いた時には、とっくに追い抜かれてた奴らも完璧じゃないけど……あたしらの「少しも完璧じゃない」はレベルが違う酷さだ』
「やな予感しかしない演説ですね……」
「まったくだ」
 ボクと沙也加さんのお兄さんはボヤき合う。
『けど、ここに偶然、誰かが出来ない事を、他の誰かが補えるようなメンバーが揃った。近接戦闘特化型の獣化能力者。同じ獣化能力者でも、近接戦闘も銃器も、どっちもイケるの。まだ未熟だけど「魔法使い」系。限定版だけど「神様系」。そして強化装甲服パワードスーツ使い』
「最後の1人だれです?」
『決ってるだろ。あ・た・し♪』
「何で?」
『こいつの事を、あたし以上に知ってる奴は、そうそう居ないぞ』
 そのセリフと共に、画面に映ったのは……民生用強化装甲服パワードスーツ水城みずき」のヘルメット。
 ああ……そうだ……今は……関係者の個人情報を言うのは御法度だけど……この人、「水城みずき」の設計に関わってた……。
『ただし、1人でも欠けたら、このチームにはデカい穴が空く。全員行くか、1人でも行きたくないのが出たら……全員帰るかだ』
 画面からは……「主任、やめて下さい」「うるせえ」って口喧嘩が聞こえてきた。
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