魔導兇犬録:HOLDING OUT FOR A HERO

蓮實長治

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第八章:Tears

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「あ……あの……何かトラブルでも起きてんですか?」
「え……えっと……ちょっと待って下さい? あれ?」
 一昨日、「魔法少女」の格好をして警察署で騒ぎを起こした同業者魔法少女に面会しに行ったら……警察の職員さん達の顔色が真っ青になり大騒ぎが始まった。
「マズくない、これ?」
「う……うん、何が起きてるか判んないけど……かなりマズそう」
「ねえ、これ、どうなってると思う?」
 そう言い出した沙也加ちゃんは……えっ? いつの間にか、電車内で使ってたタブレットPCを取り出して……。
「な……何?……って、何、これッ⁉」
「声がデカ過ぎるよ」
 タブレットPCの画面には……目の前に居る警察署の受け付け担当者を背後から撮影した画像……って、背後?
 沙也加ちゃんがタブレットPCを操作すると……。
『画像補正中』
『文字認識中』
 というメッセージが続けて出て……。
 そして、沙也加ちゃんが画面の一部を指定……警察署の受け付け担当者の使ってるPCの画面。
 あまり、はっきり写ってない画面上の文字……そこに、どんな文章が表示されてるかを推測したものらしいけど……。
『07:30。朝食には手を付けていないが、それ以外は異常なし』
『10:00。異常なし』
『13:30。昼食には手を付けていないが、それ以外は異常なし』
『15:30。異常なし』
『18:30。夕食には手を付けていないが、それ以外は異常なし』
『21:00。異常なし』
『03:00。異常なし』
 そして、画面の別のウィンドウには……動画再生ソフトで監視カメラ画像を再生してるらしいけど……写ってるのは誰も入ってない留置所の一室らしい場所。
 そりゃ、中に入ってる筈の人が食事に手を付けてないのと、あとたった1つの事以外の異常は起きないに決ってる。
 中に誰も居ないんだから……。
「あのさ……君達、何やってんのかな?」
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