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第八章:Tears

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 ここの家主は、結構お洒落みたいだ。
 でも、ハンガーに吊してある服は……男が見て『格好いい男物』と思うようなタイプの服ばかり。
「ちょっと見ていい?」
「いいけど……」
 何かが頭に引っ掛かってる。
 ジャケットを1つ1つ手で触り……あれ?
 夏物らしい薄手の上着。
 この触り心地……どこかで……。
 まさか……。
 夏休みに入る直前……。
 あのショッピングモールの事件……。
 通気性は良さそうなのに、人2人分の体重でも千切れなかった妙に丈夫な生地……。
 襟の裏側を見ても、サイズだけでメーカー名やブランド名は無し。
「ああ、そうだ。急なバイトが入ったけどやるか? 2~3日かかりそうだけど」
 家主がクソ女にそう言った。
「どんなのだ?」
 そう言いながら、クソ女は家主の携帯電話ブンコPhoneの画面を見る。
「あ……そうだ……じゃあ、明日、昼間居ないの?」
 あたしは、クソ女にそう訊いた。
「そうだけど」
「なら、1人で行きたい所有るんだけど……ちょっとお金が……」
「どこまで」
「北九州」
「何しに?」
「え……えっと、昨日の騷ぎ起こした同業者魔法少女に面会したくて……。何で、あんな事やったのかとか訊きたいんで」
「じゃあ、これ使え」
 そう言って、クソ女は、封筒を1つ渡す。
 その中には18切符が入っていた。
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