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第六章:Rebel Without a Clue

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「か……かわいい……」
 あたしは、駅の近くの博物館で、それを見上げながら言った。
「かわいい? 今、『かわいい』ってった?」
 そう言ったのは……駅を出た所で合流したクソ女の親類の女性。
「可愛いだろ」
 続いてクソ女。
「そうかな……?」
「これが……スーちゃんのモデルか……」
「そうだ……。レプリカだけど、世界最大級のティラノサウルスの化石『スー』だ」
「ああ……やっぱり面影がある……。何て言うか……いかにも……『顔は怖いけど、心は優しいお姉さん系』って感じ」
「そ……そうか……?」
「そう見えないか?」
「見えねえよ」
 館内を一通り見て回った後、あたし達は、グッズ売り場に行く。
「お……おい……瀾……」
「何?」
「おまえ、その恐竜のヌイグミさ、いくつも同じの持ってるだろ」
「この子達は、1人1人、わざと表情を変えてるんだ」
「すっかり、商業主義の奴隷だな……。あと、ヌイグルミを『1人』って呼ぶな」
「日本語の抱える根本的な欠陥のせいだ。日本語には、人間より高等な存在を数える為の助数詞が無い」
「おまえさ……あのさ……あくまで仮定の問題だが……」
「何だ?」
「もし、億が一、恐竜が人間世界を征服する為に出現したら……お前、人間と恐竜のどっちに付く?」
「そりゃ、決ってるだろ、賢くて、気高くて、可愛い方だ」
「あたしも……」
「お前ら、さっさと殺した方がいい気がしてきた……」
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