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第六章:Rebel Without a Clue
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「おい、まだ良くならないのか?」
『軽い高山病だって……。標高二〇〇〇m以上だから、ここ……』
クソ女のPCのモニタには、クソ女と同じ位の年齢の毛布にくるまって恐竜のぬいぐるみを抱いてる女の人が映っている。
「大変だな……。彼女の実家に招待されたら、これか……」
『あ~、でも……その可愛い彼女に看病してもらってるから……幸せ……』
「はいはい、ごちそ~さま……」
『ところで、背後の方に居るの誰?』
「この間話した千明の弟子」
『なるほど……で、その子の髪型、瀾の真似てんの?』
「違いますッ‼」
「まぁ、いいや……いつ戻って来る?」
『筑後川の花火大会までには……』
「そうか……焼肉パーティの準備でもして待ってる」
『あ……そうだ、冬には、こっちで獲れた猪の肉を送ってもらえるって。それも、バラとネックとロースの一番いいとこを』
「そりゃ、楽しみだ」
『ところで、そっち、あたしとあたしのカミさんが居なくても大丈夫?』
「カミさんって、気が早いにも程が有るぞ。まぁ、今ん所は大丈夫だ……」
『それじゃ……』
「じゃあ、台湾土産を楽しみにしてる」
「さっきの誰?」
「ともだち……で、どうした?」
「やる事ないけど……本借りようと思ったけど……」
クソ女の本棚には……本は山程有るけど……無い。
面白そうな本が無い。
「どんな本がいい?」
「マンガ……」
「マンガってても色々有るだろ……具体的には……?」
「格闘マンガ」
「ああ、そうか……今日は……土曜か……。なら、心当りは有る。借りに行くか」
「どこに?」
「親戚の家……ああ、そうだ、これも好きだろ。ついでに行くか」
そう言って、クソ女は……恐竜のヌイグルミを持ち上げた。
『軽い高山病だって……。標高二〇〇〇m以上だから、ここ……』
クソ女のPCのモニタには、クソ女と同じ位の年齢の毛布にくるまって恐竜のぬいぐるみを抱いてる女の人が映っている。
「大変だな……。彼女の実家に招待されたら、これか……」
『あ~、でも……その可愛い彼女に看病してもらってるから……幸せ……』
「はいはい、ごちそ~さま……」
『ところで、背後の方に居るの誰?』
「この間話した千明の弟子」
『なるほど……で、その子の髪型、瀾の真似てんの?』
「違いますッ‼」
「まぁ、いいや……いつ戻って来る?」
『筑後川の花火大会までには……』
「そうか……焼肉パーティの準備でもして待ってる」
『あ……そうだ、冬には、こっちで獲れた猪の肉を送ってもらえるって。それも、バラとネックとロースの一番いいとこを』
「そりゃ、楽しみだ」
『ところで、そっち、あたしとあたしのカミさんが居なくても大丈夫?』
「カミさんって、気が早いにも程が有るぞ。まぁ、今ん所は大丈夫だ……」
『それじゃ……』
「じゃあ、台湾土産を楽しみにしてる」
「さっきの誰?」
「ともだち……で、どうした?」
「やる事ないけど……本借りようと思ったけど……」
クソ女の本棚には……本は山程有るけど……無い。
面白そうな本が無い。
「どんな本がいい?」
「マンガ……」
「マンガってても色々有るだろ……具体的には……?」
「格闘マンガ」
「ああ、そうか……今日は……土曜か……。なら、心当りは有る。借りに行くか」
「どこに?」
「親戚の家……ああ、そうだ、これも好きだろ。ついでに行くか」
そう言って、クソ女は……恐竜のヌイグルミを持ち上げた。
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