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第四章:Rebel Girl
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「うわああ……」
隣の建物に飛び移ろうとしたが……高さが段違いだ。
何とか、四点着地。
民間軍事企業……と言うか2つに分裂したアメリカの駄目かつ邪悪な方である「アメリカ連合国」の「スポンサー」の1つだったシルバーフレイム社の施設に居た頃に、散々、練習させられたんで、怪我なしで済んだ。
高速治癒能力持ちとは言え、流石に骨折だと、しばらくは動けないし、再生にかかる体力消費もバカにならない。余っ程綺麗に折れてれば話は別だけど。
しかし、結構、デカい音がした。
腕に装着している携帯電話は無事。
『にゃんこ。ストーカーらしい奴、発見、下りてきて』
Meaveの通知を確認した後、建物の下の方を見る。
じっと下を見る。
色々と迷いつつ下を見る。
えっと……ボクが今居るのは……3階建てのアパートの屋根。
「おりゃっ‼」
意を決して飛び降り……3階のベランダの柵を掴んで……。
「えっ?……うわああああッ‼」
びっくりしたのは、こっちだよ。
中年ぐらいの男の人がベランダで洗濯モノを干してた。
「あ……あの……」
「な……な……な……な……」
「いくら夜中で、3階だからって……パンツ一丁でベランダに出るのは、いかがなモノかと……」
「は……はい、はい、はい……わ……わかりました……」
ボクは男の人に忠告した後、手を放して、2階のベランダの柵を掴み……助かった、誰も居ない……。
そして、1階……。
「え……ああああ……」
「あ~、でっかいニャンコだ~」
外で涼んでいた三十代と小学校低学年ぐらいの父娘連れらしい2人。
「にゃ~お……あ、お父さん、写真は御遠慮いただけますか?」
「は……はいいいい………」
マズいな……事が終る頃には……警察に通報されてる。
頭の中で、警官を殺したり怪我させたりせずに逃げられる方法をシミュレートしながら、走る走る走る。
「お~い、にゃんこ、遅いよ~」
沙也加さんの声をする方を見ると……。
「と……ところで……この人って、知ってる人ですか?」
沙也加さんのクラスメイトの小倉さんが別の女の子に、そう訊いている。
「え……えっと……」
「落ち着いて、はい、深呼吸」
「どこかで……ウチに来た事が有ったような……無かったような……」
「あ……あの……この人がストーカー?」
夜とは言え、夏の暑い最中に、長袖の暗い黒のパーカーという、あからさまに怪しい格好の男が地面に倒れ……えっ?
「あ……あの……おじいさん……」
「だ……だ……だ……だれが……おじいさんだッ⁉」
「いや、でも……おじいさん……」
ボクは、六〇よりは確実に上、下手したら七〇以上かも知れない男の人にそう言った。
どうやら、威力は下げてるけど……沙也加さんの能力である「電撃」を食ってしまったらしい。
「だ……だから……誰が……」
「あの……ですから……いい齢して、何、中学生の女の子をストーカーしてんですか?」
「う……うるさい……俺と美咲ちゃんは……愛し合ってるんだ……。そうだろ、美咲ちゃん……お兄ちゃんの事が大好きだろ……」
「えっ……えっ……えっ……い……嫌あああああッ‼」
「落ち着いて……呼吸を深くゆっくり……」
「な……なんで……なんで……なんで……この人、あたしの名前知ってるのッ⁉」
「美咲ちゃん……お兄ちゃんを裏切るのかッ⁉ そ……そんな馬鹿……おい、俺の写真を撮るなッ‼ このケダモノがッ‼」
携帯電話の画面には、謎のおじいさんの顔の下に「特徴抽出中」の文字が表示される。
「顔認識条件、アジア系、男性、年齢は現在六〇代以上、地域条件、日本、九州、福岡県または佐賀県、久留米市および隣接する市町村」
アプリに音声で指示を出すと「画像検索中」に表示が切り替わる。
これは、撮影した顔写真から似た顔の人の写真がネット上に転がってないかを調べるアプリだけど……ん?
「う……うそ……」
あるWEBページに、このおじいさん、そっくりの人が写ってるポスターの画像が有った。
そのポスターは……選挙用。
そのWEBページは、ある政治家の広報用のもので……。
「こ……これ……」
「えっ?」
「へっ?」
「あ……あ……あ……お……思い出した……」
「どうしたの?」
「ウチのお祖父ちゃんが……後援会の会長やってる人です……」
おじいさんにストーキングされてた女の子が、そう答えた。
「古川リョウさん……」
「し……知らん……知らん……誰だ、そりゃ?」
「えっと……久留米市市会議員……って」
「あ……市長や前の県知事と握手してる写真まで有る……」
「前の県知事……って? あの、おじいさん……ヤクザとの癒着でリコールされた人と握手してる写真なんて、消した方がいいよ……ん?」
その時……ストーカーにして市会議員のおじいさんは……手に収まるぐらいの小さい何かを……。
隣の建物に飛び移ろうとしたが……高さが段違いだ。
何とか、四点着地。
民間軍事企業……と言うか2つに分裂したアメリカの駄目かつ邪悪な方である「アメリカ連合国」の「スポンサー」の1つだったシルバーフレイム社の施設に居た頃に、散々、練習させられたんで、怪我なしで済んだ。
高速治癒能力持ちとは言え、流石に骨折だと、しばらくは動けないし、再生にかかる体力消費もバカにならない。余っ程綺麗に折れてれば話は別だけど。
しかし、結構、デカい音がした。
腕に装着している携帯電話は無事。
『にゃんこ。ストーカーらしい奴、発見、下りてきて』
Meaveの通知を確認した後、建物の下の方を見る。
じっと下を見る。
色々と迷いつつ下を見る。
えっと……ボクが今居るのは……3階建てのアパートの屋根。
「おりゃっ‼」
意を決して飛び降り……3階のベランダの柵を掴んで……。
「えっ?……うわああああッ‼」
びっくりしたのは、こっちだよ。
中年ぐらいの男の人がベランダで洗濯モノを干してた。
「あ……あの……」
「な……な……な……な……」
「いくら夜中で、3階だからって……パンツ一丁でベランダに出るのは、いかがなモノかと……」
「は……はい、はい、はい……わ……わかりました……」
ボクは男の人に忠告した後、手を放して、2階のベランダの柵を掴み……助かった、誰も居ない……。
そして、1階……。
「え……ああああ……」
「あ~、でっかいニャンコだ~」
外で涼んでいた三十代と小学校低学年ぐらいの父娘連れらしい2人。
「にゃ~お……あ、お父さん、写真は御遠慮いただけますか?」
「は……はいいいい………」
マズいな……事が終る頃には……警察に通報されてる。
頭の中で、警官を殺したり怪我させたりせずに逃げられる方法をシミュレートしながら、走る走る走る。
「お~い、にゃんこ、遅いよ~」
沙也加さんの声をする方を見ると……。
「と……ところで……この人って、知ってる人ですか?」
沙也加さんのクラスメイトの小倉さんが別の女の子に、そう訊いている。
「え……えっと……」
「落ち着いて、はい、深呼吸」
「どこかで……ウチに来た事が有ったような……無かったような……」
「あ……あの……この人がストーカー?」
夜とは言え、夏の暑い最中に、長袖の暗い黒のパーカーという、あからさまに怪しい格好の男が地面に倒れ……えっ?
「あ……あの……おじいさん……」
「だ……だ……だ……だれが……おじいさんだッ⁉」
「いや、でも……おじいさん……」
ボクは、六〇よりは確実に上、下手したら七〇以上かも知れない男の人にそう言った。
どうやら、威力は下げてるけど……沙也加さんの能力である「電撃」を食ってしまったらしい。
「だ……だから……誰が……」
「あの……ですから……いい齢して、何、中学生の女の子をストーカーしてんですか?」
「う……うるさい……俺と美咲ちゃんは……愛し合ってるんだ……。そうだろ、美咲ちゃん……お兄ちゃんの事が大好きだろ……」
「えっ……えっ……えっ……い……嫌あああああッ‼」
「落ち着いて……呼吸を深くゆっくり……」
「な……なんで……なんで……なんで……この人、あたしの名前知ってるのッ⁉」
「美咲ちゃん……お兄ちゃんを裏切るのかッ⁉ そ……そんな馬鹿……おい、俺の写真を撮るなッ‼ このケダモノがッ‼」
携帯電話の画面には、謎のおじいさんの顔の下に「特徴抽出中」の文字が表示される。
「顔認識条件、アジア系、男性、年齢は現在六〇代以上、地域条件、日本、九州、福岡県または佐賀県、久留米市および隣接する市町村」
アプリに音声で指示を出すと「画像検索中」に表示が切り替わる。
これは、撮影した顔写真から似た顔の人の写真がネット上に転がってないかを調べるアプリだけど……ん?
「う……うそ……」
あるWEBページに、このおじいさん、そっくりの人が写ってるポスターの画像が有った。
そのポスターは……選挙用。
そのWEBページは、ある政治家の広報用のもので……。
「こ……これ……」
「えっ?」
「へっ?」
「あ……あ……あ……お……思い出した……」
「どうしたの?」
「ウチのお祖父ちゃんが……後援会の会長やってる人です……」
おじいさんにストーキングされてた女の子が、そう答えた。
「古川リョウさん……」
「し……知らん……知らん……誰だ、そりゃ?」
「えっと……久留米市市会議員……って」
「あ……市長や前の県知事と握手してる写真まで有る……」
「前の県知事……って? あの、おじいさん……ヤクザとの癒着でリコールされた人と握手してる写真なんて、消した方がいいよ……ん?」
その時……ストーカーにして市会議員のおじいさんは……手に収まるぐらいの小さい何かを……。
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