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第三章:Here She Comes

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「何が、どうなってんだ、本当に……」
「ねえ、瀾おねえちゃん、晩御飯……」
「インスタントラーメンでも好きに作って食べろ。食った後で、何をやらかしたか詳しく説明しろ」
「どうしたの一体?」
 あたしは、優那ちゃんにそう訊いた。
「え……えっと……同じクラスの松雪さんが塾の帰りにストーカーに付き纏われてたんで、あたし達で、ストーカーを捕まえたら、そのストーカーが市会議員だった」
「さっきの沙也加ちゃんの説明と同じで、訳が判んないよッ‼」
「ご……ご……ご……ごめん……」
「ちょ……ちょっと待って……怒ってない、怒ってない、怒ってない」
「ほ……ほんとに?」
「ホント、ホント、ホント……」
「私の事……嫌いになったりしてない?」
「うん、うん、うん……」
「ありがとう、撫子ちゃん、大好き……」
 御当地魔法少女の同じチームだった頃には……優那ちゃんは「知性派で冷静でシンボルカラーはブルー」って「設定」だった。
 けど……真実は……学校の成績はいいけど、ちょっとした事ですぐ気落ちして、それを何日も引き摺るタイプだ。
「お前が居て、何やってんだ?」
「すいません……」
 クソ女にそう言われて謝ってる大男。
「あの……ボク、沙也加さんのお兄さんに……」
「あいつがお前の金玉を握り潰したって、私の知った事じゃない。自分で何とかしろ」
 クソ女は冷たくそう言った。
 その時、インスタントラーメンを作ってた沙也加ちゃんは……。
「瀾おねえちゃん……」
「何だ?」
「まさかと思うけど……『居ていいとは言ったけど、母さんに連絡しないとは言ってない』なんてオチは……?」
「ようやく気付いたか? ちょっと待て……」
 そう言って、クソ女は携帯電話ブンコPhoneを取り出し……。
「もうすぐウチか? ああ、ちょっと取り込み中でな。どっちか1人はベランダに回って、もう1人は玄関前で待っててくれ。荒事が起きる可能性が有る」
「瀾おねえちゃん……冗談だよね?」
「冗談だと思うか? ベランダから逃げるなり、玄関から出て行くなりやってみろ」
「嘘に決ってる」
「じゃあ、嘘だと証明してみろ」
「わかったよ。優那ちゃん、にゃんこ、先に食べてて」
「にゃんこ?」
「沙也加さんに、そう呼ばれてます」
 答えたのは大男。
 沙也加ちゃんは……玄関のドアを開け……。
 ……。
 …………。
 ……………………。
 あたしが居る場所からは角度的に良く見えないけど……本当に誰か居たらしい。
「何の騒ぎだ一体?」
 玄関からは……二〇はたちぐらいらしい女の人の声。
「ねえ、瀾おねえちゃん……」
「何だ?」
「おねえちゃんだったら……どうやって逃げた?」
「こうなる確率が少しでも有ったのに……何で、ラーメンの鍋を置いてった?」
「おい、何、子供に物騒な事を教えてる?」
 玄関の方から、さっきの女の人の声。
「鍋の中身をそいつにブッかけりゃ、逃げる隙は出来た筈だ」
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