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第三章:Here She Comes

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「じゃ、こいつがお前の新しい師匠だ」
 そう言って、クソ女は金髪短髪を指差す。
「へっ?」
「結局、私に順番が回ってきたか……」
「何……で……?」
「さっき見た通りだ。私とお前じゃ戦い方のスタイルが違う。たまには稽古相手になってもいいが……お前の師匠には向かん。あと……」
「何?」
「お前は、『魔法』と近接戦闘をミックスした戦い方をするんだろ? 私は魔法が全く使えん」
 ある事に気付いて……クソ女の気配を探る。
「ひょっとして……霊感なんかも……」
「父親も母親も、その『霊感』とやらが、ある年齢以降ほぼゼロになるような家系の出だ。まぁ、霊感が無くなる理由は、父親の家系と母親の家系で違うみたいだがな……。父親や父方の伯父は三〇か四〇で、霊やら魔力やら『気』やらをほぼ認識出来なくなったらしいが……私は二〇はたち前なのに、その手のモノは何も見えん」
 やっぱり、そうか……。
 あたしが、このクソ女をクソ女だと思うようになったのは、それが一因か……。
 どうやら、霊感がほぼゼロみたいな……「魔法」を使う為の基礎能力を欠いてる人達の中には、「魔法」が効きにくかったり、「魔法使い」や「先天的『魔法使い』タイプの超能力者」にとっては気配が極端に読みにくい人が居るらしい。
 以前に、SNSで見た中二病な書き込みが頭に浮かぶ。
『魔法や超能力を使える人間と、その手の才能がほぼゼロの人間は、同じ世界に居るのに別の世界に生きている』
「ああ、名前言ってなかったな。笹原ささのはら千明ちあきだ」
「大石撫子なでしこです」
 どうやら……同じ日本でも「よくある名字」は地域ごとに偏りが有るらしい。
 たとえば、福岡県・佐賀県では「古賀」「今村」は下手したら「鈴木」「佐藤」「田中」より多いそうだ。
 とは言え、この久留米や隣の鳥栖とすには、大手や中堅クラスの製造業の本社工場が有るので……十年ほど前の富士山の噴火による首都圏壊滅より前から他の地域出身の人も結構居るらしい。
 なので……この人が、この辺りではあまり聞かない名字だからと言って、あたしと同じ「関東難民」とは限らない。
 でも……しゃべり方は、いわゆる「東京弁」。
 一体……どう云う人なんだろう?
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