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第一章:Driving Me Wild
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「やっぱり、あれだけじゃ昼御飯足りなかったんじゃ……?」
「え……えっと……」
ショッピング・モール内のファミレスで地鶏の炭火焼き定食を食べてるあたしを見て、プリムローズさんがそう言った。
あたし達は、事件が起きた時の状況を訊かれた後は、あっさり釈放。……悪い事してないのに釈放って言うのも変だけど、とりあえず、そんな感じだ。
「あと、昼御飯の時から気になってたけど……その髪型、瀾のを真似た?」
「らん?」
「私だ」
「ち……違います……。え……っと……その……そう言えば、プリティ・ガーネットさんは、その後……」
「あのさ、だ・か・ら、昔の芸名で呼ばないでくれる?」
でも……困った事に……「昔の芸名」しか知らない。
「あ……えっと……」
「まぁ、誰かさんにフられたせいで……今は、あたしと同じチームだったのと付き合ってる」
プリティ・ガーネットをフったらしい本人は……「ふうん」って顔をしてる。どうやら、素で、プリティ・ガーネットが誰が好きだったか気付いてないようだ。
「ああ、そうだ……お前が言ってた『呪いの魔法のステッキ』の最初の持ち主は、こいつだろ?」
そう言ってプリティ・ガーネットをフった糞野郎は携帯電話の画面を見せる。
そこに表示されてたのは……SNSの画面。
アイコンは……あたしが生まれる前の……今からすると古臭い絵柄の「萌え系」の「魔法少女」もののアニメの画像。
表示されているのは、主に5月ごろの書き込み。
……大々的に予告されていたけど、第1回開催のその日に、来賓席に居た「魔法少女」の所属事務所の「親会社」だった暴力団の組長が「正義の味方」に殺されるってとんでもない事件が起きた上に、日本各地の「御当地魔法少女」運営に「魔法少女」モノの企画を売ってた会社「ローカル・マジカル」の役員全員が行方不明になってしまったせいで潰れてしまった「魔法少女」モノのイベント「魔法少女大戦」。
要は「日本各地に何十チームも有る『御当地魔法少女』がバトルロイヤルをやる」という後になって冷静に考えたらネタに困った素人ネット小説家が考えたようなイベントで……企画そのものが潰れた今となっては「ひょっとして『御当地魔法少女』ってモノが、そろそろ飽きられてんで、最後に一発、ジャンルそのものを復活させる大勝負をやろうとしたんじゃないのか?」って疑問が湧かないでもない。
その「魔法少女大戦」を観戦出来なくなった事に対する恨み言が延々と書かれている。
「1人目は……『魔法少女大戦』が無くなったのを怨んでた『魔法少女』オタクの阿呆が、自分は魔法少女で『魔法少女大戦』は続いてると思い込んでしまった。2人目はよく判らんが……3人目は『能力行使依存症』の特異能力者が……過去に起こした事件と似た真似を、人前で堂々とやらかした……」
「やっぱり……持った奴の『強い望み』を暴走させる代物みたいね……」
「その『呪いのステッキ』は……あれ1つなのか?」
「嫌な事を言わないでよ」
「もし、私が、その『呪いのステッキ』で暴走したら……赤身の牛肉を1頭分ほど用意してくれ。それで当面は大人しくなる筈だ。出来れば、牧草だけで育てた熊本の褐牛かアルゼンチン産のを頼む」
「何言ってんの? あんたの望みって何?」
「ああ……それは……その袋に入ってる子に成る事だ」
そう言って指差した先には……さっきのヌイグルミ屋さんで買った4匹のティラノサウルスのヌイグルミが入った袋が有った。
「え……えっと……」
ショッピング・モール内のファミレスで地鶏の炭火焼き定食を食べてるあたしを見て、プリムローズさんがそう言った。
あたし達は、事件が起きた時の状況を訊かれた後は、あっさり釈放。……悪い事してないのに釈放って言うのも変だけど、とりあえず、そんな感じだ。
「あと、昼御飯の時から気になってたけど……その髪型、瀾のを真似た?」
「らん?」
「私だ」
「ち……違います……。え……っと……その……そう言えば、プリティ・ガーネットさんは、その後……」
「あのさ、だ・か・ら、昔の芸名で呼ばないでくれる?」
でも……困った事に……「昔の芸名」しか知らない。
「あ……えっと……」
「まぁ、誰かさんにフられたせいで……今は、あたしと同じチームだったのと付き合ってる」
プリティ・ガーネットをフったらしい本人は……「ふうん」って顔をしてる。どうやら、素で、プリティ・ガーネットが誰が好きだったか気付いてないようだ。
「ああ、そうだ……お前が言ってた『呪いの魔法のステッキ』の最初の持ち主は、こいつだろ?」
そう言ってプリティ・ガーネットをフった糞野郎は携帯電話の画面を見せる。
そこに表示されてたのは……SNSの画面。
アイコンは……あたしが生まれる前の……今からすると古臭い絵柄の「萌え系」の「魔法少女」もののアニメの画像。
表示されているのは、主に5月ごろの書き込み。
……大々的に予告されていたけど、第1回開催のその日に、来賓席に居た「魔法少女」の所属事務所の「親会社」だった暴力団の組長が「正義の味方」に殺されるってとんでもない事件が起きた上に、日本各地の「御当地魔法少女」運営に「魔法少女」モノの企画を売ってた会社「ローカル・マジカル」の役員全員が行方不明になってしまったせいで潰れてしまった「魔法少女」モノのイベント「魔法少女大戦」。
要は「日本各地に何十チームも有る『御当地魔法少女』がバトルロイヤルをやる」という後になって冷静に考えたらネタに困った素人ネット小説家が考えたようなイベントで……企画そのものが潰れた今となっては「ひょっとして『御当地魔法少女』ってモノが、そろそろ飽きられてんで、最後に一発、ジャンルそのものを復活させる大勝負をやろうとしたんじゃないのか?」って疑問が湧かないでもない。
その「魔法少女大戦」を観戦出来なくなった事に対する恨み言が延々と書かれている。
「1人目は……『魔法少女大戦』が無くなったのを怨んでた『魔法少女』オタクの阿呆が、自分は魔法少女で『魔法少女大戦』は続いてると思い込んでしまった。2人目はよく判らんが……3人目は『能力行使依存症』の特異能力者が……過去に起こした事件と似た真似を、人前で堂々とやらかした……」
「やっぱり……持った奴の『強い望み』を暴走させる代物みたいね……」
「その『呪いのステッキ』は……あれ1つなのか?」
「嫌な事を言わないでよ」
「もし、私が、その『呪いのステッキ』で暴走したら……赤身の牛肉を1頭分ほど用意してくれ。それで当面は大人しくなる筈だ。出来れば、牧草だけで育てた熊本の褐牛かアルゼンチン産のを頼む」
「何言ってんの? あんたの望みって何?」
「ああ……それは……その袋に入ってる子に成る事だ」
そう言って指差した先には……さっきのヌイグルミ屋さんで買った4匹のティラノサウルスのヌイグルミが入った袋が有った。
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