呪詛返死

蓮實長治

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第8章:人を呪わば墓穴(あな)だらけ……または、墓穴(あな)1つ

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 何の冗談だ一体?
 居酒屋で一緒に飲んでいた俺の担当編集者の松田がトイレの中で急死。
 警察もやって来て事情聴取をされ……。
 結局、終電帰りならぬ始発帰り。
 俺、その内、別件逮捕とかされるんじゃないか?
 俺の周囲の人間が余りに死に過ぎてる。
 内、何人かは呪いで死にました、とか言っても信じてもらえねえだろ……。
 ニュースで右翼やサヨクの活動家が微罪で逮捕(警察の担当部署は何故か公安)なんて事が良く有るけど、俺も微罪で別件逮捕とかなるんだろうか?
 ああ、クソ、確定申告でミスとかしてねえよな……。
 メスアシの水原茜が俺が運転してた車の助手席に乗って死んだ時は……結局、警察が捜査しても、俺の車が何と衝突したかは判らず、エアバッグが作動しなかった原因も判らず……書類送検はされたが、同乗者がシートベルトをしていなかったのを見落した以外では「相当処分」……つまり警察としては「事件性は有るが有罪に出来る確証は無し」だ。
 しかし……松田が死んだって事は、俺が始めた呪いは終ってねえのか?
 しまった……あの「呪いの画像」の投稿を消しちまったんで、松田が、あの投稿を拡散してたかを確認する方法が……。
 ああ、マズい、マズい、マズい。
 あの呪いが終ってないんなら……誰が、あの呪いを返されて死ぬか判らなく……いや待て……。
 ああ、まだ、時間は有る。
 あのメールに書かれてたのが本当なら……俺が死ぬのは、あの呪いを拡散した奴全員が「呪詛返し」で死んだ最後だ。
 落ち着け、落ち着け、落ち着け……まだ、時間は有る。
 深呼吸して心を落ち着け……おっと……。
 路面に凍ってる箇所が有ったみたいで、足を滑らせかけた。
 この季節だと、まだ、この時間は暗いんで気付かなかったようだ。
 もうすぐ3月だが……今日は雪の予報が出てた。
 空も曇ってるようだ。
 あれ?
 何で、こんな時間に、俺以外の通行人が居るんだ?
 振り向いて、すれ違った男の確認する。
 黒いフード付のコートに黒いズボン……口から出る息だけが白……待て……。
 何で、
 そいつは、コートのポケットから……おい……待て……何だ?
 これも呪いか?
 いや、待て、それにしても、やたらと物理的な呪いも有ったもんだ……。
 俺は、そいつに蹴りを入れられ、地面に転び……頭を打って薄れゆく意識の中で……あまりにも呑気な事を考え……。
 待て、お前、俺の口に何を入れてるんだ?
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