39 / 44
第8章:人を呪わば墓穴(あな)だらけ……または、墓穴(あな)1つ
(1)
しおりを挟む
「まぁ、これで全部、終ったな」
「本当かよ?」
俺は自分の代表作……と言っても漫画家になって二十数年、これしか描いてないが……の「本家・祟り屋」のアドバイザーである自称・霊能者の府川と居酒屋で飲みながら、そう話していた。
電子透しで干し蛸が描いたポンチ絵に埋め込まれていた呪符。
それをやったのは俺自身だった。
仕事場のPCには電子透し関係のアプリが入っていて……しかも、そのアプリの「最近開いたファイル」の履歴には、干し蛸のポンチ絵と呪符の画像が有った。
そして、呪符に書かれていた呪殺対象の名前は……新宿のトーヨコで家出少女の支援をやってる例の公金チュ~チュ~系のエセ・フェミ団体の代表のもの。
そして、誰もかれもが、俺が呪符を埋め込んで再UPした干し蛸のポンチ絵をSNSで拡散していた。
私人逮捕系の動画配信者も……。
俺のアシスタント達も……。
エセ・フェミ団体から名誉毀損で被害届を出されたはいいが、警察の捜査の結果、死亡している事が確認され、被疑者死亡で書類送検された男……SNS上で、例のエセ・フェミ団体を最初に告発した「伊切アカリ」を名乗るアカウントの主も……。
最近、SNSに何も投稿しなくなった伊切アカリのフォロワー達も……。
国会で変な死に方をしたって噂が有る保守系野党の女性議員も……。
どうやら、俺がやった「呪い」には何か欠陥が有ったか、さもなくば、余りに信じ難い事だが、例のエセ・フェミ団体の代表が生まれ付き「自分にかけられた呪いを何倍にもして自動的に相手に返してしまう」ような体質だったのか……俺が始めた呪いをSNSで拡散した奴は次々と死んでいった。
しかも、俺が始めた呪いが暴走してる事を見付けてしまった誰か……どうやら、府川と同じ俺の漫画にアドバイスをしてくれてた自称・霊能者の誰からしいが……呪いに巻き込まれないように、俺と呪術的に「縁を切」ろうとしたが、その結果、「縁を切る」呪術が暴走してしまったらしい。
その結果、俺達は、俺が始めてしまった呪いについての記憶と、その呪いに関する重大な情報を握ってる奴に関する記憶を失なってしまったらしい。
それどころか、無意識の内に、そいつに積極的に関わらない行動を起す「呪い」がかかってしまった。
そいつからの電話は知らない内に着信拒否にして、メッセンジャーやSNSでは、知らない内にそいつをブロックし、そいつからのメールは知らない内にゴミ箱に送る……。
だが、幸いにも時間的な余裕は有った。
俺がSNSにUPした……そして「呪いの画像」に変えていた事さえ忘れていた「呪いの画像」を拡散した奴らの方から先に死んでいったのだ。
偶然にも、俺がSNSにUPした「呪いの画像」を拡散した奴は、その呪いに関しては、自分で自分を、俺の形代……俺にかかってきた呪いや、俺が使った呪いを返された場合に「肩代わり」をする存在に変えてしまったのだ。
俺の始めた呪いは、呪いそのものの欠陥のせいか……それとも呪った相手が悪過ぎたのか……SNSで「呪いの画像」が拡散される度に返された。
しかし、「呪詛返し」を食らってくれたのは……俺がUPした「呪いの画像」を拡散した奴ら……俺に呪いが返ってくるのは、そいつらが死に絶えた後らしい。
助かった。
ありがとう。
君達の尊い犠牲は忘れない。
君達には俺を生かす為の犠牲になったつもりは無いだろうけど。
けど、俺が真実に気付き……そしてSNS上にUPしてた呪いの画像を削除する時間を稼いでくれた。
ありがとう。
ありがとう。
本当にありがとう。
君達が自分達の命と引き換えに守ってくれた俺の生命……絶対に無駄にはしない。
俺の命には、今や、俺を命懸けで守ってくれた君達の命全てと同じ価値が有る。
俺は君達の分まで幸せになってみせる。
そして、「本家・祟り屋」を描き続け、世に蔓延る悪に……漫画の中だけの話だけど……制裁を加え続けていってみせる。
ああ、そうだ、伊切アカリ君の初の単著は、出版取り止めになったそうだけど……君の分まで稼いでみせるよ。
「お前さあ……本当に『呪いの画像』をSNSから削除しただけで……お前の言う『エセ・フェミ団体』の代表を呪ったって『事実』まで消えると思ってんのか?」
府川は面白くも無さそうか表情で、そう言った。
「いや……だって……呪いを始めた俺が、呪いをやめたんだ。呪いを返される訳が……」
府川は「どうだかな」とでも言いたそうな表情で酒をチビチビと飲み続けていた。
「そう言や、松田君、トイレ長いな……」
俺が、そう言った時……トイレの方から男の悲鳴が轟いた。
「本当かよ?」
俺は自分の代表作……と言っても漫画家になって二十数年、これしか描いてないが……の「本家・祟り屋」のアドバイザーである自称・霊能者の府川と居酒屋で飲みながら、そう話していた。
電子透しで干し蛸が描いたポンチ絵に埋め込まれていた呪符。
それをやったのは俺自身だった。
仕事場のPCには電子透し関係のアプリが入っていて……しかも、そのアプリの「最近開いたファイル」の履歴には、干し蛸のポンチ絵と呪符の画像が有った。
そして、呪符に書かれていた呪殺対象の名前は……新宿のトーヨコで家出少女の支援をやってる例の公金チュ~チュ~系のエセ・フェミ団体の代表のもの。
そして、誰もかれもが、俺が呪符を埋め込んで再UPした干し蛸のポンチ絵をSNSで拡散していた。
私人逮捕系の動画配信者も……。
俺のアシスタント達も……。
エセ・フェミ団体から名誉毀損で被害届を出されたはいいが、警察の捜査の結果、死亡している事が確認され、被疑者死亡で書類送検された男……SNS上で、例のエセ・フェミ団体を最初に告発した「伊切アカリ」を名乗るアカウントの主も……。
最近、SNSに何も投稿しなくなった伊切アカリのフォロワー達も……。
国会で変な死に方をしたって噂が有る保守系野党の女性議員も……。
どうやら、俺がやった「呪い」には何か欠陥が有ったか、さもなくば、余りに信じ難い事だが、例のエセ・フェミ団体の代表が生まれ付き「自分にかけられた呪いを何倍にもして自動的に相手に返してしまう」ような体質だったのか……俺が始めた呪いをSNSで拡散した奴は次々と死んでいった。
しかも、俺が始めた呪いが暴走してる事を見付けてしまった誰か……どうやら、府川と同じ俺の漫画にアドバイスをしてくれてた自称・霊能者の誰からしいが……呪いに巻き込まれないように、俺と呪術的に「縁を切」ろうとしたが、その結果、「縁を切る」呪術が暴走してしまったらしい。
その結果、俺達は、俺が始めてしまった呪いについての記憶と、その呪いに関する重大な情報を握ってる奴に関する記憶を失なってしまったらしい。
それどころか、無意識の内に、そいつに積極的に関わらない行動を起す「呪い」がかかってしまった。
そいつからの電話は知らない内に着信拒否にして、メッセンジャーやSNSでは、知らない内にそいつをブロックし、そいつからのメールは知らない内にゴミ箱に送る……。
だが、幸いにも時間的な余裕は有った。
俺がSNSにUPした……そして「呪いの画像」に変えていた事さえ忘れていた「呪いの画像」を拡散した奴らの方から先に死んでいったのだ。
偶然にも、俺がSNSにUPした「呪いの画像」を拡散した奴は、その呪いに関しては、自分で自分を、俺の形代……俺にかかってきた呪いや、俺が使った呪いを返された場合に「肩代わり」をする存在に変えてしまったのだ。
俺の始めた呪いは、呪いそのものの欠陥のせいか……それとも呪った相手が悪過ぎたのか……SNSで「呪いの画像」が拡散される度に返された。
しかし、「呪詛返し」を食らってくれたのは……俺がUPした「呪いの画像」を拡散した奴ら……俺に呪いが返ってくるのは、そいつらが死に絶えた後らしい。
助かった。
ありがとう。
君達の尊い犠牲は忘れない。
君達には俺を生かす為の犠牲になったつもりは無いだろうけど。
けど、俺が真実に気付き……そしてSNS上にUPしてた呪いの画像を削除する時間を稼いでくれた。
ありがとう。
ありがとう。
本当にありがとう。
君達が自分達の命と引き換えに守ってくれた俺の生命……絶対に無駄にはしない。
俺の命には、今や、俺を命懸けで守ってくれた君達の命全てと同じ価値が有る。
俺は君達の分まで幸せになってみせる。
そして、「本家・祟り屋」を描き続け、世に蔓延る悪に……漫画の中だけの話だけど……制裁を加え続けていってみせる。
ああ、そうだ、伊切アカリ君の初の単著は、出版取り止めになったそうだけど……君の分まで稼いでみせるよ。
「お前さあ……本当に『呪いの画像』をSNSから削除しただけで……お前の言う『エセ・フェミ団体』の代表を呪ったって『事実』まで消えると思ってんのか?」
府川は面白くも無さそうか表情で、そう言った。
「いや……だって……呪いを始めた俺が、呪いをやめたんだ。呪いを返される訳が……」
府川は「どうだかな」とでも言いたそうな表情で酒をチビチビと飲み続けていた。
「そう言や、松田君、トイレ長いな……」
俺が、そう言った時……トイレの方から男の悲鳴が轟いた。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
オーデション〜リリース前
のーまじん
ホラー
50代の池上は、殺虫剤の会社の研究員だった。
早期退職した彼は、昆虫の資料の整理をしながら、日雇いバイトで生計を立てていた。
ある日、派遣先で知り合った元同僚の秋吉に飲みに誘われる。
オーデション
2章 パラサイト
オーデションの主人公 池上は声優秋吉と共に収録のために信州の屋敷に向かう。
そこで、池上はイシスのスカラベを探せと言われるが思案する中、突然やってきた秋吉が100年前の不気味な詩について話し始める
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
五丁目のマンション、エレベーター内にて
三文小唄
ホラー
東京某所、とあるマンションに私は住んでいた。そこは7階建てで、私の部屋はそのうちの6階だ。
見た目は小綺麗なマンションであるが実情はひどいものだ。ここはいわゆる”出る”そうだ。曰く付きと言えば、昨今の人は理解されるだろう。心理的瑕疵物件というやつだ。
しかし私たちの住む部屋自体にはそういった現象はない。と言ってもまだ私が確認していないだけかもしれないが。
ここの部屋には”出ない”。よく”出る”と言われるのは、エレベーターだ。
このマンションにはエレベーターが二基設置されている。
それはマンションの両極端に設置されており、一方は明らかに後から増設されたようなものだ。
無論、ここの住人はこの増設された方を使用する。もう一方のエレベーターは、よほどの猛者出ない限り使用はしないだろう。なんせ”出る”のだから。しかし、やはりたまにこのエレベーターを使用してしまう愚か者がいるのだ。これは、その愚か者たちの末路を記したものだ。
#この『村』を探して下さい
案内人
ホラー
『この村を探して下さい』。これは、とある某匿名掲示板で見つけた書き込みです。全ては、ここから始まりました。
この物語は私の手によって脚色されています。読んでも発狂しません。
貴方は『■■■』の正体が見破れますか?
ラ・プラスの島
輪島ライ
ホラー
恋愛シミュレーションゲーム「ラ・プラス」最新作の海外展開のためアメリカに向かっていたゲーム制作者は、飛行機事故により海上を漂流することになる。通りがかった漁船に救われ、漁民たちが住む島へと向かった彼が見たものとは……
※この作品は「小説家になろう」「アルファポリス」「カクヨム」「エブリスタ」に投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる