呪詛返死

蓮實長治

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第7章:空虚なる者達

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 冗談のような日々が続いた。
 死んだアシスタント達の実家を1つ1つ回り……お悔やみを述べ……。
 しかも……クソ遺族どもの表情かおは……まるで俺の漫画「本家・祟り屋」で主人公達に呪い殺される悪役みたいなツラばかりだった。
 1人を除いて俺が悪いんじゃねえよ。
 名前を名乗った途端に、死んだアシスタントの父親に殴りかかられ……別の家では塩を撒かれ……更に別の家では、親類から袋叩きになりそうになった所を危うく逃げ出し……。
 俺の車に同乗してて死んだ水原の遺族からは民事で訴えると脅された。
 ふざけんな。
 車はちゃんと車検を通ってたからエアバッグが作動しなかったのは俺の責任じゃねえし、シートベルトをしてなかったのは水原だ。
 俺に悪い点が有るなら……水原がシートベルトをしてない事に気付かなかった事ぐらいだ。
 でも、漫画家稼業の業みたいなモノだ。
 帰りの電車の中で、悪魔と呼ぶにも安っぽい悪人面のクソ遺族どもの顔を思い出し……ノートにスケッチしていく。
 クソ遺族どもの怒り狂ったクソ面を見ながら……思わず「使える」と思っちまったんだ……俺の漫画の悪役の顔として……。
 この後、俺の漫画の連載が続くか判んないけど……それでも……こんな最悪の状況からさえも、創作のヒントになる事を見出しちまう……。
 漫画家ってのは……つくづく業の深い仕事だ……。
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