30 / 44
第6章:オブリビオン
(3)
しおりを挟む
「い……いや、でも、ポンチ絵の方はともかく……明らかに特定の個人を名指しで呪い殺そうとしてるようにしか思えねえ画像を投稿したり、拡散したら……SNSの規約に引っ掛かるだろ、呪いに効果が有ろうが無かろうが」
オカルト系の動画を配信してる俺からしても、あまりに無茶苦茶な事を、真面目そうなサラリーマンにしか見えないおっちゃんが言い出しやがったんで……思わず、そう反論した。
「どこから説明したらいいか……私は、ある工場に勤めてまして……その工場で作ってるある機械の制御ソフトの開発を担当する部署に居ます」
「へ……っ? それと何の関係が?」
「その制御ソフトを設計するには、画像処理の知識が必要なんですよ」
「ん……? えっと……まさか……」
まさか……ポンチ絵の方を……何か画像処理したら……?
「あなたがポンチ絵と呼んだマンガの画像ですが、ほぼ線画ですよね? 影なんかを表現するのに灰色で塗り潰してる場所は、ほぼ無い筈ですよね?」
「え……ああ……」
「そして、この画像はPNG形式で投稿されてました。動画配信されてる方なら御存知かも知れませんが……PNGはJPEGやWebpなどの他のWEB上で良く使われてる画像形式に比べて、ある特徴が有ります」
「何?」
「JPEGやWebpは、人間の目では判らないように情報を劣化させる事でファイルサイズを小さくしています。ある画像をJPEGやWebpで保存したら、人間の目では判りませんが、元の画像と一〇〇%同じモノではなくなります。でも、PNGは違います。専門用語で言うなら……可逆圧縮です。元の画像を一〇〇%再現出来ます」
「え……えっと……それで……」
「貴方がポンチ絵と呼んだ漫画の画像を構成している点は……見た所は、真っ白と真っ黒がほとんどです。黒い線と白い背景の境界ではどちらでもない灰色になる事も有りますが……ですが……」
「ですが……?」
「変だったんですよ。人の目で見ると判りにくいですが……この画像を解析してみたら……真っ黒より1階調だけ明るい点と真っ白より1階調だけ暗い点が不自然に多かったんですよ」
「えっ?」
「そう言う方法で画像に人間の目では判りにくい署名なんかを埋め込む技術は有るので、それかと思いまして……念の為、マンガの方の画像の明るさを表わす値が偶数の点を黒で、奇数の点を白でプロットしたのが……もう1つの画像です」
「え……? お……おい……待ってくれ……」
「私は……その手のモノは、あんまり信じませんが……起きてる事だけを言えば、こうなります。数知れない人達が、下手をしたら数千人か数万人の人達が、自分でも知らない内に、ある特定の一個人を呪い殺す為の呪符の画像をSNSで拡散してしまっているんですよ」
オカルト系の動画を配信してる俺からしても、あまりに無茶苦茶な事を、真面目そうなサラリーマンにしか見えないおっちゃんが言い出しやがったんで……思わず、そう反論した。
「どこから説明したらいいか……私は、ある工場に勤めてまして……その工場で作ってるある機械の制御ソフトの開発を担当する部署に居ます」
「へ……っ? それと何の関係が?」
「その制御ソフトを設計するには、画像処理の知識が必要なんですよ」
「ん……? えっと……まさか……」
まさか……ポンチ絵の方を……何か画像処理したら……?
「あなたがポンチ絵と呼んだマンガの画像ですが、ほぼ線画ですよね? 影なんかを表現するのに灰色で塗り潰してる場所は、ほぼ無い筈ですよね?」
「え……ああ……」
「そして、この画像はPNG形式で投稿されてました。動画配信されてる方なら御存知かも知れませんが……PNGはJPEGやWebpなどの他のWEB上で良く使われてる画像形式に比べて、ある特徴が有ります」
「何?」
「JPEGやWebpは、人間の目では判らないように情報を劣化させる事でファイルサイズを小さくしています。ある画像をJPEGやWebpで保存したら、人間の目では判りませんが、元の画像と一〇〇%同じモノではなくなります。でも、PNGは違います。専門用語で言うなら……可逆圧縮です。元の画像を一〇〇%再現出来ます」
「え……えっと……それで……」
「貴方がポンチ絵と呼んだ漫画の画像を構成している点は……見た所は、真っ白と真っ黒がほとんどです。黒い線と白い背景の境界ではどちらでもない灰色になる事も有りますが……ですが……」
「ですが……?」
「変だったんですよ。人の目で見ると判りにくいですが……この画像を解析してみたら……真っ黒より1階調だけ明るい点と真っ白より1階調だけ暗い点が不自然に多かったんですよ」
「えっ?」
「そう言う方法で画像に人間の目では判りにくい署名なんかを埋め込む技術は有るので、それかと思いまして……念の為、マンガの方の画像の明るさを表わす値が偶数の点を黒で、奇数の点を白でプロットしたのが……もう1つの画像です」
「え……? お……おい……待ってくれ……」
「私は……その手のモノは、あんまり信じませんが……起きてる事だけを言えば、こうなります。数知れない人達が、下手をしたら数千人か数万人の人達が、自分でも知らない内に、ある特定の一個人を呪い殺す為の呪符の画像をSNSで拡散してしまっているんですよ」
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ノック
國灯闇一
ホラー
中学生たちが泊まりの余興で行ったある都市伝説。
午前2時22分にノックを2回。
1分後、午前2時23分にノックを3回。
午前2時24分に4回。
ノックの音が聞こえたら――――恐怖の世界が開く。
4回のノックを聞いてはいけない。
(いいね🧡 + リツイート🔁)× 1分しか生きられない呪い
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ホラー
――1日生き残る為に必要な数は1,440個。アナタは呪いから逃げ切れるか?
Twitterに潜むその『呪い』に罹った人間は、(いいね🧡 + リツイート🔁)× 1分までしか生きられない。
1日生き延びるのに必要ないいね🧡の数は、実に1,440個。
呪いに罹った※※高校2年4組の生徒たちが次々と悲惨な怪死を遂げていく中、主人公の少年・物部かるたは『呪い』から逃げ切れるのか?
承認欲求 = 生存欲求。いいね🧡の為なら何だってやる。
血迷った少年少女たちが繰り広げる、哀れで滑稽な悲劇をどうぞご覧あれ。
校長先生の話が長い、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。
学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。
とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。
寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ?
なぜ女子だけが前列に集められるのか?
そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。
新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。
あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。
風俗探偵瑠璃の事件簿 ~呪いの肉人形~
戸影絵麻
ホラー
潰れたコンビニの中で発見された3人の幼女の死体。そこには常人の想像を絶するおぞましい細工が施されていた。姿なき猟奇殺人犯の陰に怯える私は、ふと、以前勤務していた小学校で出会った少年のことを思い出す。他人のオーラを視ることのできるその少年、榊健斗の行方を追う私は、その過程でパンクな風俗探偵、浅香瑠璃と出会い、未曽有の事件に巻き込まれていく…。
(完結に伴い、タイトルを変更しました)。
弐式のホラー小説 一話完結の短い話集
弐式
ホラー
「怖い話」「気味悪い話」「後味悪い話」をテーマにした一話5000文字以内の超短編集です。不定期での更新になります。基本一話完結で、世界観も統一しておらず、現代劇だったりファンタジー世界が舞台だったりします。できるだけワンパターンにならないように、色々書いていきたいと思っています。中には、「どこがホラーなんだ」と思われるような作品もあると思いますが見捨てずにお付き合いいただければ幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる