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第5章:本家・祟り屋
(5)
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「二〇年以上連載して……初めての原稿落しか……」
「なに、呑気な事を言ってるんですか?」
仕事場に来ていた編集者の松田明敏が、そう言った。
車を運転していた時、何かと衝突して、車が急停車。
その時、助手席に居たアシスタントの水原茜が、たまたま、シートベルトをしていなかった上に、助手席のエアバッグが作動しなかった。
そして、水原は死亡。
水原がアイデアを出した「ハニトラ女」の回の悪役の女と同じ死に方だ。
しかも、その時、ほぼ同時に、同じ場所で同じく俺のアシスタントだった宇崎丈史が車に跳ね飛ばされ死亡。
状況からして、宇崎がアイデアを出した「米軍基地反対活動家」の回の悪役のサヨク活動家のように、地面に座り込んでいた所を車に轢かれたらしい。
更に……いや、俺のアシスタントは全員死んでた。
「熊射殺反対婆ァ」の回の悪役の死に方を考えた桜井は、バイトで熊の着ぐるみを着てる状態で……一体何が起きたか不明だが、熊の手で殴られでもしたかのように、頭蓋骨陥没と脛骨骨折。
「痴漢冤罪女」の回の悪役の死に方を考えた加瀬は……これまた、その回の悪役の女のように、駅でホームから転落して……。
「ヤリマン女」の回の悪役の死に方を考えた亀山……こいつが一番意味不明だ。
男性トイレで男の死体が見付かったまでは、まだ、判る。
状況からして複数の男に……長時間、性暴力を受け続けた末に放置されて死んだ……いや、本人が考えた悪役の死に方と、そっくりだとしても、まだ、偶然だと思えただろう。
だが、あいつの腸内と口の中から検出されたバカみたいに大量の「体液」が本人のモノだってのは……どう言う訳なんだ?
俺は、アシスタントの宇崎を轢き殺した容疑で現行犯逮捕されたが……証拠不十分で保釈された。
どうやら、宇崎の死体の場所その他の状況からして、俺の車じゃなくて反対車線を逆走していた車に跳ね飛ばされた以外の説明が不可能らしい。
そして……。
携帯に着信音。
公衆電話からだ。
「いいんですか?」
松田が、そう言った。
「いいよ。何か、最近、公衆電話からやたらとイタズラ電話がかかってきてな……」
「なぁ……その電話、何で、イタズラだって判るんだ?」
同じく仕事場に来ていた、アドバイザーの府川貢が、そう言い出した。
俺の漫画は、悪人を呪い殺す連中を主人公にしてるんだが、府川には、その手の呪いとか呪術とか陰陽道に関する事をアドバイスしてもらっている。
「そりゃ……」
「あんた、そのイタズラ電話に一度も出た事ないだろ」
「えっ……?」
あ……そう言えば……。
「やっぱりな……」
電話の着信音は、いつしか止んでいた。
「あ……あんた……何を知ってる?」
「何から何まで、変だ。その電話の主が、あんたを助けようとしてる誰かだとしても……逆に、その電話を取ったら、あんたに何かの呪いがかかるとしても……どっちでも辻褄が合わない」
「何を言ってんだよ?」
「この件さ……誰かが誰かを呪って、あんたが、その呪いに巻き込まれてんのは確かだ。でも、多分だが、元々の呪いをやった本人にも予想外のアクシデントが起きてる」
「だから、判るように説明してくれよ」
「その電話と一緒に……何て言うのかな……呪いみたいなのが送られてる」
「はぁ?」
「そして、ここからが妙な点だ……。その呪いは……あんたの心を操る呪い……あんたが無意識の内に、その電話を取るのを避けるようにする呪いだ」
その時、府川の携帯から着信音が……。
「なに、呑気な事を言ってるんですか?」
仕事場に来ていた編集者の松田明敏が、そう言った。
車を運転していた時、何かと衝突して、車が急停車。
その時、助手席に居たアシスタントの水原茜が、たまたま、シートベルトをしていなかった上に、助手席のエアバッグが作動しなかった。
そして、水原は死亡。
水原がアイデアを出した「ハニトラ女」の回の悪役の女と同じ死に方だ。
しかも、その時、ほぼ同時に、同じ場所で同じく俺のアシスタントだった宇崎丈史が車に跳ね飛ばされ死亡。
状況からして、宇崎がアイデアを出した「米軍基地反対活動家」の回の悪役のサヨク活動家のように、地面に座り込んでいた所を車に轢かれたらしい。
更に……いや、俺のアシスタントは全員死んでた。
「熊射殺反対婆ァ」の回の悪役の死に方を考えた桜井は、バイトで熊の着ぐるみを着てる状態で……一体何が起きたか不明だが、熊の手で殴られでもしたかのように、頭蓋骨陥没と脛骨骨折。
「痴漢冤罪女」の回の悪役の死に方を考えた加瀬は……これまた、その回の悪役の女のように、駅でホームから転落して……。
「ヤリマン女」の回の悪役の死に方を考えた亀山……こいつが一番意味不明だ。
男性トイレで男の死体が見付かったまでは、まだ、判る。
状況からして複数の男に……長時間、性暴力を受け続けた末に放置されて死んだ……いや、本人が考えた悪役の死に方と、そっくりだとしても、まだ、偶然だと思えただろう。
だが、あいつの腸内と口の中から検出されたバカみたいに大量の「体液」が本人のモノだってのは……どう言う訳なんだ?
俺は、アシスタントの宇崎を轢き殺した容疑で現行犯逮捕されたが……証拠不十分で保釈された。
どうやら、宇崎の死体の場所その他の状況からして、俺の車じゃなくて反対車線を逆走していた車に跳ね飛ばされた以外の説明が不可能らしい。
そして……。
携帯に着信音。
公衆電話からだ。
「いいんですか?」
松田が、そう言った。
「いいよ。何か、最近、公衆電話からやたらとイタズラ電話がかかってきてな……」
「なぁ……その電話、何で、イタズラだって判るんだ?」
同じく仕事場に来ていた、アドバイザーの府川貢が、そう言い出した。
俺の漫画は、悪人を呪い殺す連中を主人公にしてるんだが、府川には、その手の呪いとか呪術とか陰陽道に関する事をアドバイスしてもらっている。
「そりゃ……」
「あんた、そのイタズラ電話に一度も出た事ないだろ」
「えっ……?」
あ……そう言えば……。
「やっぱりな……」
電話の着信音は、いつしか止んでいた。
「あ……あんた……何を知ってる?」
「何から何まで、変だ。その電話の主が、あんたを助けようとしてる誰かだとしても……逆に、その電話を取ったら、あんたに何かの呪いがかかるとしても……どっちでも辻褄が合わない」
「何を言ってんだよ?」
「この件さ……誰かが誰かを呪って、あんたが、その呪いに巻き込まれてんのは確かだ。でも、多分だが、元々の呪いをやった本人にも予想外のアクシデントが起きてる」
「だから、判るように説明してくれよ」
「その電話と一緒に……何て言うのかな……呪いみたいなのが送られてる」
「はぁ?」
「そして、ここからが妙な点だ……。その呪いは……あんたの心を操る呪い……あんたが無意識の内に、その電話を取るのを避けるようにする呪いだ」
その時、府川の携帯から着信音が……。
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