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第5章:本家・祟り屋
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走ってた。
走ってた。
走って……駄目だ、運動不足で、もう呼吸が荒くなって……眩暈までしてる。
少し寝坊してしまった。
仕事場である漫画家の安房清二のスタジオまで、後少し。
でも……遅刻は……確実だ。
冗談じゃない。
でも……。
ああ、ここの道路、横断するか……。
横断歩道じゃないし、向こうに見える自動車用の信号機も青だけど……まぁ、この時間帯のこの道なら、あんまり車は来ない筈……。
って、俺と反対側から、道路を渡ろうとしてる奴も……あれ? どっかで見覚えが……。
まぁ、いいか……。
そして……そいつも……。
あれ?
何だ?
避けるべきかな、と思って、俺が体を少し横にズラすと、そいつも、俺と同じ方に動き……。
反対側に少し体をズラすと、同じタイミングで、そいつも体を反対側にズラし……。
道の真ん中で、大の大人2人が見つめ合ったまま、体を、あっちにズラし、こっちにズラし……。
おい、いい加減に……え?
こいつの顔……俺にそっくり……なのか?
よく見たら服まで同じだ。
俺は、恐くなって後退り……向こうも真っ青な顔色で後退り……。
その時、向こうがしゃがみ込んだ。
何だ?
まぁ、いいや……気味悪いが、今の内に道を渡……。
動けない。
動けない。
いつの間にか、俺もしゃがんでいた。
そして、体の自由が効かない。
座ったまま……。
ああ、そうだ。
たしか……俺がアシスタントをやってる漫画「本家・祟り屋」の沖縄の米軍基地反対の活動家のエピソードも……こんな感じだった。
ドッペルゲンガーが出現する以外は……。
「座り込みを続けてます」と称してたのに、実は昼の間しか座り込みをしてない事を「論破の帝王」に暴かれて逆恨みしたサヨク野郎が……座り込みの場所から立ち上がれなくなり……そして、サヨク仲間が居眠り運転してた車に轢き殺され……。
じょ……冗談じゃ……。
おい、あの回で、俺が出したアイデアそのままの死に方を俺がするなんて……。
あっ?
向こうから……安房センセの車が……。
助けて……。
だが……安房センセの車が、もう1人の俺を跳ね飛した瞬間、俺の体にも凄まじい衝撃が……。
走ってた。
走って……駄目だ、運動不足で、もう呼吸が荒くなって……眩暈までしてる。
少し寝坊してしまった。
仕事場である漫画家の安房清二のスタジオまで、後少し。
でも……遅刻は……確実だ。
冗談じゃない。
でも……。
ああ、ここの道路、横断するか……。
横断歩道じゃないし、向こうに見える自動車用の信号機も青だけど……まぁ、この時間帯のこの道なら、あんまり車は来ない筈……。
って、俺と反対側から、道路を渡ろうとしてる奴も……あれ? どっかで見覚えが……。
まぁ、いいか……。
そして……そいつも……。
あれ?
何だ?
避けるべきかな、と思って、俺が体を少し横にズラすと、そいつも、俺と同じ方に動き……。
反対側に少し体をズラすと、同じタイミングで、そいつも体を反対側にズラし……。
道の真ん中で、大の大人2人が見つめ合ったまま、体を、あっちにズラし、こっちにズラし……。
おい、いい加減に……え?
こいつの顔……俺にそっくり……なのか?
よく見たら服まで同じだ。
俺は、恐くなって後退り……向こうも真っ青な顔色で後退り……。
その時、向こうがしゃがみ込んだ。
何だ?
まぁ、いいや……気味悪いが、今の内に道を渡……。
動けない。
動けない。
いつの間にか、俺もしゃがんでいた。
そして、体の自由が効かない。
座ったまま……。
ああ、そうだ。
たしか……俺がアシスタントをやってる漫画「本家・祟り屋」の沖縄の米軍基地反対の活動家のエピソードも……こんな感じだった。
ドッペルゲンガーが出現する以外は……。
「座り込みを続けてます」と称してたのに、実は昼の間しか座り込みをしてない事を「論破の帝王」に暴かれて逆恨みしたサヨク野郎が……座り込みの場所から立ち上がれなくなり……そして、サヨク仲間が居眠り運転してた車に轢き殺され……。
じょ……冗談じゃ……。
おい、あの回で、俺が出したアイデアそのままの死に方を俺がするなんて……。
あっ?
向こうから……安房センセの車が……。
助けて……。
だが……安房センセの車が、もう1人の俺を跳ね飛した瞬間、俺の体にも凄まじい衝撃が……。
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