呪詛返死

蓮實長治

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第4章:ポルノ・ビデオ製作会社

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 前の幹部はほどんど逮捕されたが、組織そのものは続いている。
 いわゆる特殊詐欺で、メンバーの大半が……指示役クラスの奴までも……逮捕されたって、組織やシステムそのものは続いてくのと同じ事だ。
 更に「上」の組織から新宿を縄張りにしてる組織の新しい幹部に任命されたのが、この俺、草加くさか三郎だ。
 まぁ、俺は「本家」直参の中でも羽振りがいい組の組長の妾腹の三男坊なんだが……高校の頃から、その手のヤカラのリーダー格をやってた。
 この新宿を縄張りにしてる「組」の前の幹部が、ほぼ全員逮捕された理由は……池袋ブクロを仕切ってる「組」との抗争で死人まで出しやがったせいだ。
 喧嘩相手の池袋の組が同じ「系列」とは知らずに……。
 元々は、1つの「組織」が丸ごと警察の御世話になっても、芋蔓式に他の組織までしょっかれねえよ~に、「実は渋谷・新宿・池袋・上野・秋葉原・品川を縄張りにしてる組織は同じとこの下部組織」って事を各組織の幹部クラスには教えてなかった。
 でも、そのせいで、同じ系列の組織なのに死人が出る抗争を起こしちゃったんで……今後は、その辺りの事情を知ってる俺みたいなのが、各組織の幹部に加わる事になった。
 どうも、デリヘル事業関係で何かトラブルが起きて、それを池袋の「組」の奴の仕業だと思い込んだ奴が居て……ところが、偶然にも池袋の「組」のデリヘル事業でも同じよ~な事が起きてて……両方共が疑心暗鬼になった結果……とうとう、普通の警官隊じゃなくて機動隊が逮捕に来るまでの大事件に発展したらしい。
「すいません。死体の始末を任せてた奴もしょっかれちゃって……」
「つまり、当分は、死体が出来ちゃうよ~な抗争まねは出来ねえって事?」
「はい」
「で、デリヘルの再開はいつ出来んの?」
「マネージャーの経験が有る奴は、今、どこからも引っ張りダコでして……」
「女は何とでもなるけど……飼育係が居ないって事?」
「はい……今、宇都宮と土浦と水戸と横須賀と……あと鎌倉と小田原でヘッドハンティングをやってます」
「はぁ?」
「理由は今調べてる最中っすけど……都内とその近辺で、デリヘルのマネージャーやった事が有る奴の引き抜き合戦が起きてて、即戦力になりそうなのは、そこまで行かないと引っ張ってこれないっす」
「冗談だろ……。まあ、いいや。帳簿と相談だけど、いっそ、大阪か名古屋まで手を延ばした方が良くねえか、そんな状況じゃ……。で、ホストの方は?」
「すいません、こっちも何故か、足抜けが多くて……理由は調べさせてます」
「もう、うっそだろ、ボロボロじゃねえか、ここ……。あ、昨日、飲み会に社長が来てたAV会社の方は見込み有る?」
「それが……」
「また、何か、有んの?」
「社長が、今朝、死体で発見されたってニュースが……」
「やめてくれ。何かのドッキリショーか?」
「いや、昨日の飲み会で酒を飲み過ぎて……事故死みたいです。今、事情聴取で、あそこの社員が呼ばれてます。一応、ウチの事は絶対に漏らすなと……」
「そうか……良くやったな」
「あと、飲み会の店もウチの系列なんで、あの社長が飲み会の予約をした事に予約の履歴のデータを書き換えるように指示出しました」
「手回しがいいな……待てよ、ウチの『会社』から、そのAV屋に役員を直接送り込め。そのAV屋さんしか、当面、金になりそうなのが無いなら、俺らが直接、そこを経営する」
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