19 / 44
第4章:ポルノ・ビデオ製作会社
(2)
しおりを挟む
前の幹部はほどんど逮捕されたが、組織そのものは続いている。
いわゆる特殊詐欺で、メンバーの大半が……指示役クラスの奴までも……逮捕されたって、組織やシステムそのものは続いてくのと同じ事だ。
更に「上」の組織から新宿を縄張りにしてる組織の新しい幹部に任命されたのが、この俺、草加三郎だ。
まぁ、俺は「本家」直参の中でも羽振りがいい組の組長の妾腹の三男坊なんだが……高校の頃から、その手のヤカラのリーダー格をやってた。
この新宿を縄張りにしてる「組」の前の幹部が、ほぼ全員逮捕された理由は……池袋を仕切ってる「組」との抗争で死人まで出しやがったせいだ。
喧嘩相手の池袋の組が同じ「系列」とは知らずに……。
元々は、1つの「組織」が丸ごと警察の御世話になっても、芋蔓式に他の組織までしょっ引かれねえよ~に、「実は渋谷・新宿・池袋・上野・秋葉原・品川を縄張りにしてる組織は同じとこの下部組織」って事を各組織の幹部クラスには教えてなかった。
でも、そのせいで、同じ系列の組織なのに死人が出る抗争を起こしちゃったんで……今後は、その辺りの事情を知ってる俺みたいなのが、各組織の幹部に加わる事になった。
どうも、デリヘル事業関係で何かトラブルが起きて、それを池袋の「組」の奴の仕業だと思い込んだ奴が居て……ところが、偶然にも池袋の「組」のデリヘル事業でも同じよ~な事が起きてて……両方共が疑心暗鬼になった結果……とうとう、普通の警官隊じゃなくて機動隊が逮捕に来るまでの大事件に発展したらしい。
「すいません。死体の始末を任せてた奴もしょっ引かれちゃって……」
「つまり、当分は、死体が出来ちゃうよ~な抗争は出来ねえって事?」
「はい」
「で、デリヘルの再開はいつ出来んの?」
「マネージャーの経験が有る奴は、今、どこからも引っ張りダコでして……」
「女は何とでもなるけど……飼育係が居ないって事?」
「はい……今、宇都宮と土浦と水戸と横須賀と……あと鎌倉と小田原でヘッドハンティングをやってます」
「はぁ?」
「理由は今調べてる最中っすけど……都内とその近辺で、デリヘルのマネージャーやった事が有る奴の引き抜き合戦が起きてて、即戦力になりそうなのは、そこまで行かないと引っ張ってこれないっす」
「冗談だろ……。まあ、いいや。帳簿と相談だけど、いっそ、大阪か名古屋まで手を延ばした方が良くねえか、そんな状況じゃ……。で、ホストの方は?」
「すいません、こっちも何故か、足抜けが多くて……理由は調べさせてます」
「もう、嘘だろ、ボロボロじゃねえか、ここ……。あ、昨日、飲み会に社長が来てたAV会社の方は見込み有る?」
「それが……」
「また、何か、有んの?」
「社長が、今朝、死体で発見されたってニュースが……」
「やめてくれ。何かのドッキリショーか?」
「いや、昨日の飲み会で酒を飲み過ぎて……事故死みたいです。今、事情聴取で、あそこの社員が呼ばれてます。一応、ウチの事は絶対に漏らすなと……」
「そうか……良くやったな」
「あと、飲み会の店もウチの系列なんで、あの社長が飲み会の予約をした事に予約の履歴のデータを書き換えるように指示出しました」
「手回しがいいな……待てよ、ウチの『会社』から、そのAV屋に役員を直接送り込め。そのAV屋さんしか、当面、金になりそうなのが無いなら、俺らが直接、そこを経営する」
いわゆる特殊詐欺で、メンバーの大半が……指示役クラスの奴までも……逮捕されたって、組織やシステムそのものは続いてくのと同じ事だ。
更に「上」の組織から新宿を縄張りにしてる組織の新しい幹部に任命されたのが、この俺、草加三郎だ。
まぁ、俺は「本家」直参の中でも羽振りがいい組の組長の妾腹の三男坊なんだが……高校の頃から、その手のヤカラのリーダー格をやってた。
この新宿を縄張りにしてる「組」の前の幹部が、ほぼ全員逮捕された理由は……池袋を仕切ってる「組」との抗争で死人まで出しやがったせいだ。
喧嘩相手の池袋の組が同じ「系列」とは知らずに……。
元々は、1つの「組織」が丸ごと警察の御世話になっても、芋蔓式に他の組織までしょっ引かれねえよ~に、「実は渋谷・新宿・池袋・上野・秋葉原・品川を縄張りにしてる組織は同じとこの下部組織」って事を各組織の幹部クラスには教えてなかった。
でも、そのせいで、同じ系列の組織なのに死人が出る抗争を起こしちゃったんで……今後は、その辺りの事情を知ってる俺みたいなのが、各組織の幹部に加わる事になった。
どうも、デリヘル事業関係で何かトラブルが起きて、それを池袋の「組」の奴の仕業だと思い込んだ奴が居て……ところが、偶然にも池袋の「組」のデリヘル事業でも同じよ~な事が起きてて……両方共が疑心暗鬼になった結果……とうとう、普通の警官隊じゃなくて機動隊が逮捕に来るまでの大事件に発展したらしい。
「すいません。死体の始末を任せてた奴もしょっ引かれちゃって……」
「つまり、当分は、死体が出来ちゃうよ~な抗争は出来ねえって事?」
「はい」
「で、デリヘルの再開はいつ出来んの?」
「マネージャーの経験が有る奴は、今、どこからも引っ張りダコでして……」
「女は何とでもなるけど……飼育係が居ないって事?」
「はい……今、宇都宮と土浦と水戸と横須賀と……あと鎌倉と小田原でヘッドハンティングをやってます」
「はぁ?」
「理由は今調べてる最中っすけど……都内とその近辺で、デリヘルのマネージャーやった事が有る奴の引き抜き合戦が起きてて、即戦力になりそうなのは、そこまで行かないと引っ張ってこれないっす」
「冗談だろ……。まあ、いいや。帳簿と相談だけど、いっそ、大阪か名古屋まで手を延ばした方が良くねえか、そんな状況じゃ……。で、ホストの方は?」
「すいません、こっちも何故か、足抜けが多くて……理由は調べさせてます」
「もう、嘘だろ、ボロボロじゃねえか、ここ……。あ、昨日、飲み会に社長が来てたAV会社の方は見込み有る?」
「それが……」
「また、何か、有んの?」
「社長が、今朝、死体で発見されたってニュースが……」
「やめてくれ。何かのドッキリショーか?」
「いや、昨日の飲み会で酒を飲み過ぎて……事故死みたいです。今、事情聴取で、あそこの社員が呼ばれてます。一応、ウチの事は絶対に漏らすなと……」
「そうか……良くやったな」
「あと、飲み会の店もウチの系列なんで、あの社長が飲み会の予約をした事に予約の履歴のデータを書き換えるように指示出しました」
「手回しがいいな……待てよ、ウチの『会社』から、そのAV屋に役員を直接送り込め。そのAV屋さんしか、当面、金になりそうなのが無いなら、俺らが直接、そこを経営する」
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
保健室の秘密...
とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。
吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。
吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。
僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。
そんな吉田さんには、ある噂があった。
「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」
それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。
木の下闇(全9話・20,000字)
源公子
ホラー
神代から続く、ケヤキを御神木と仰ぐ大槻家の長男冬樹が死んだ。「樹の影に喰われた」と珠子の祖母で当主の栄は言う。影が人を喰うとは何なのか。取り残された妹の珠子は戸惑い恐れた……。
ここがケツバット村
黒巻雷鳴
ホラー
大学生の浅尾真綾は、年上の恋人・黒鉄孝之と夏休みにとある村へ旅行することになった。
観光地とは呼びがたい閑散としたその村は、月夜に鳴り響いたサイレンによって様相が変わる。温厚な村人たちの目玉は赤黒く染まり、バットを振るう狂人となって次々と襲いかかる地獄へと化したのだ!
さあ逃げろ!
尻を向けて走って逃げろ!
狙うはおまえの尻ひとつ!
叩いて、叩いて、叩きまくる!
異色のホラー作品がここに誕生!!
※無断転載禁止
追っかけ
山吹
ホラー
小説を書いてみよう!という流れになって友達にどんなジャンルにしたらいいか聞いたらホラーがいいと言われたので生まれた作品です。ご愛読ありがとうございました。先生の次回作にご期待ください。
Mパーキングの幽霊
色白ゆうじろう
ホラー
怪異調査ものです。
グロなし
とある高速道路上で頻発する死亡事故
「Mパーキングエリア」というパーキングエリアにおいて、どこからか現れる「頭の小さな男」と会話をした後、必ず事故死をするという噂が広まる。
その「頭の小さな男」をドライバーたちは『Mパーキングの幽霊』と呼んだ。
あまりの死亡事故の連続性に、怪異調査エージェントと助っ人のオカルト作家が調査に乗り出すが…
AstiMaitrise
椎奈ゆい
ホラー
少女が立ち向かうのは呪いか、大衆か、支配者か______
”学校の西門を通った者は祟りに遭う”
20年前の事件をきっかけに始まった祟りの噂。壇ノ浦学園では西門を通るのを固く禁じる”掟”の元、生徒会が厳しく取り締まっていた。
そんな中、転校生の平等院霊否は偶然にも掟を破ってしまう。
祟りの真相と学園の謎を解き明かすべく、霊否たちの戦いが始まる———!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる