10 / 44
第2章:私人逮捕系動画配信者
(4)
しおりを挟む
上野駅まで快速電車で三〇分ほどの所に住んでいるが、都内に遊びや仕事で行く事が少ないせいで、知らぬ間に行きと違う道に入っていたようだ。
たまにニュースやネット記事などで耳にする「トーヨコ」……最初は私鉄の東横線の事だと思っていたが、新宿の有名なシネコンの横の広場だと知ったのは数ヶ月前だが……の方に行く路地に間違って入ってしまったようだ。
どうやら、昨日、この辺りで別の事件が起きたらしく、路地の一画が「KEEP OUT」の黄色いテープで塞がれ、何人かの制服警官が立っており、路面にはチョークか何かで人の形が描かれている。
服部裕一は、少し頭を掻きながら、通行人にJR新宿駅までの道を訊くか、スマホの地図アプリを使うかを迷っていた。
その時、野次馬の1人が被っていた野球帽から微かな光が見えたような気がした。
そうだ……少し前……。
服部は、千葉の柏市に本社工場が有る製造業の設計部門の管理職だが……ある日、自分の部署の係長相当職の女性従業員から、相談を受けた。
その女性が服部に見せたのは、小型カメラ。職場の女性用トイレに仕掛けられていたと言う。
まだ犯人は見付かっていないが……。
そのブカブカの野球帽を被ったスキンヘッドの中年男は、連れらしい女性にしてはがっしりした体格の人物と言い争っているようだった。
「命がいくつ有っても足りない」
スキンヘッドの男より少し年下らしい女が、警官が居る場所で聞こえよがしに言ったようにも思えるセリフ。
服部は、意を決して男に声をかけた。
「ひょっとしたら、私の勘違いかも知れませんが……警察の現場検証を隠し撮りされてませんか?」
「え……おっちゃん……何、言ってんだよ?」
服部は、ゆっくりと野球帽の前面に有る小型のボタンかビーズに偽装されたカメラのレンズを指差した。
たまにニュースやネット記事などで耳にする「トーヨコ」……最初は私鉄の東横線の事だと思っていたが、新宿の有名なシネコンの横の広場だと知ったのは数ヶ月前だが……の方に行く路地に間違って入ってしまったようだ。
どうやら、昨日、この辺りで別の事件が起きたらしく、路地の一画が「KEEP OUT」の黄色いテープで塞がれ、何人かの制服警官が立っており、路面にはチョークか何かで人の形が描かれている。
服部裕一は、少し頭を掻きながら、通行人にJR新宿駅までの道を訊くか、スマホの地図アプリを使うかを迷っていた。
その時、野次馬の1人が被っていた野球帽から微かな光が見えたような気がした。
そうだ……少し前……。
服部は、千葉の柏市に本社工場が有る製造業の設計部門の管理職だが……ある日、自分の部署の係長相当職の女性従業員から、相談を受けた。
その女性が服部に見せたのは、小型カメラ。職場の女性用トイレに仕掛けられていたと言う。
まだ犯人は見付かっていないが……。
そのブカブカの野球帽を被ったスキンヘッドの中年男は、連れらしい女性にしてはがっしりした体格の人物と言い争っているようだった。
「命がいくつ有っても足りない」
スキンヘッドの男より少し年下らしい女が、警官が居る場所で聞こえよがしに言ったようにも思えるセリフ。
服部は、意を決して男に声をかけた。
「ひょっとしたら、私の勘違いかも知れませんが……警察の現場検証を隠し撮りされてませんか?」
「え……おっちゃん……何、言ってんだよ?」
服部は、ゆっくりと野球帽の前面に有る小型のボタンかビーズに偽装されたカメラのレンズを指差した。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
コ・ワ・レ・ル
本多 真弥子
ホラー
平穏な日常。
ある日の放課後、『時友晃』は幼馴染の『琴村香織』と談笑していた。
その時、屋上から人が落ちて来て…。
それは平和な日常が壊れる序章だった。
全7話
表紙イラスト irise様 PIXIV:https://www.pixiv.net/users/22685757
Twitter:https://twitter.com/irise310
挿絵イラスト チガサキ ユウ様 X(Twitter) https://twitter.com/cgsk_3
pixiv: https://www.pixiv.net/users/17981561
私達が押し付けられる理不尽(りふじん)なゲーム
転生新語
ホラー
私(二十代)は今日も、変わらない世の中に絶望しながら眠りに就いた。そんな私は夢の中で、少女の声を持つ死神さんと出会う。
死神さんが持ち掛けてきたのは、デスゲームでイカサマを仕掛けるという話だった……
あまり怖くない話ですが。精神を患(わずら)っている方は、負担が掛かる恐れがあるかも知れないので読まないでください。
カクヨムに投稿しています→https://kakuyomu.jp/works/16817330658135781804
また小説家になろうにも投稿しました→https://ncode.syosetu.com/n2110ig/
オーデション〜リリース前
のーまじん
ホラー
50代の池上は、殺虫剤の会社の研究員だった。
早期退職した彼は、昆虫の資料の整理をしながら、日雇いバイトで生計を立てていた。
ある日、派遣先で知り合った元同僚の秋吉に飲みに誘われる。
オーデション
2章 パラサイト
オーデションの主人公 池上は声優秋吉と共に収録のために信州の屋敷に向かう。
そこで、池上はイシスのスカラベを探せと言われるが思案する中、突然やってきた秋吉が100年前の不気味な詩について話し始める
幽霊屋敷で押しつぶす
鳥木木鳥
ホラー
怨霊や異界の神が跋扈し、それら化外が引き起こす祟りが災害として頻発する世界。
霊を祓う「祓い師」の庚游理。彼女はただの地縛霊の除霊を「うっかり」古の邪神討伐にスケールアップさせてしまう「藪蛇体質」の持ち主。
破格の家賃と引き換えに「人を喰う」幽霊屋敷「裏内屋敷」にひとり住む游理は、ある夜布団の中からあらわれた少女「裏内宇羅」に首をねじ切られる。そして学園百合ラブコメ空間に転生した。
怨嗟妄念から生まれる超常の存在「幽霊屋敷」
成り行きでその一部となった游理は、様々な「幽霊屋敷」と遭遇していく。
これは千の死を千の怨嗟で押しつぶす物語。
(「カクヨム」様及び「小説家になろう」様にも投稿させていただいております)
ソウサクスルカイダン
山口五日
ホラー
創作怪談(時々、自分の実体験や夢で見たお話)になります。
基本的に一話完結で各話1,000~3,000字ほどで、まるで実体験のように書いたり、人から聞いたように書いたりと色々な書き方をしています。
こちらで投稿したお話の朗読もしています。
https://www.youtube.com/channel/UCUb6qrIHpruQ2LHdo3hwdKA/featured
よろしくお願いいたします。
※小説家になろうにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる