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諸神之黄昏 ― Ragnarok : Battle Royal ―

高木 瀾(らん) (8)

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「おい、どうした?」
 私が、それを凝視みつめていると、望月がそう声をかけてきた。
「そう言や……そっちは見えないのか」
 「神の力」を持つ者は、基本的に通常の霊的・魔法的な力を認識出来ない。
 どうやら、その手のモノは、「神の力」を持つ者にとって「毒にも薬にもならない」存在らしく、その結果、それらを認識する能力が衰えるようだ。
 それは、一時的・擬似的に「神の力」を付与するこの「鎧」を着装した者も同じだ。
 だが例外が2つ。
 1つは、取り憑いている「神」が司っているモノに関連する霊力・魔力だった場合。
 もう1つは、その「神」自身か他の「神」の支配下にある霊力・魔力だった場合。
 町中のあちこちから、無数の死霊が空に昇っているが……やがて向きを変え、ある一点に向かう。
「あそこか……零号鬼が居るのは……」
 ヤツの目的が何かは判らない。だが……ヤツがあんな無茶苦茶な真似をした意図だけでも確かめる必要が有る。
 私の心身が臨戦態勢になると同時に、「鎧」の動力源である幽明核が死霊達を吸収し始める。
 まさか……これがヤツの狙いか?
 「死霊使い」達により「暴力ちからによる治安」が維持されている町で、その「死霊」が残らず何者かに吸収されたとしたら……。
 まさか、公的な警察機構が、ヤクザの所場ショバ争いみたいな真似をやる気なのか? そんなセコい理由で、ここまでの騒動を起こしたのか?
「私に付いて来てくれ。ただし、見えにくくて、狙撃に適した位置で」
「建物の屋根とかを走ったりした方がいいのか? 出来るのかな、これ? あと、これ壊したら……お前の作戦は……その……」
「完全に破綻する。しかし……ヤツを倒さなければならないかの判断は、ヤツを見付けてからだ」
 私は、三輪バイクトライクに乗り、「死霊」を吸収している何者か……おそらくは護国軍鬼・零号鬼……が居るであろう場所を目指す。
「すまない。私には見えてるが、カメラに写ってないモノが有る。その『カメラに写ってない何か』の位置を、私の視線を元に推定して、そこへの最短ルートを教えてくれ。出来るか?」
 後方支援要員に連絡するが……当然ながら返って来た答は……。
『やってみるけど……かなりの誤差が出る事は判ってるよね?』
「大体の位置でいい。近付けば、何とか判る」
 だが……次の瞬間……。
「何だと……」
 町のほぼ中心部に巨大な霊力の柱が2つ。
 しかも、「鎧」の幽明核が、吹き出し続けている2種類の霊力を吸収し出した。
 どう云う事だ? まさか……。
 私は関口に連絡を入れる。
「お前の探してるモノが有る場所が判った。だが、迂闊に近付くな。そして……回収出来ても霊力は失なわれてるかも知れん」
『おい、ちょっと待て、どう云う事だ?』
「この町に、今、『死霊』と『太陽の霊力』の両方を吸収出来る者が2人居る。私と……もう1人の『護国軍鬼』を名乗る改造人間だ。そんなのが、『死霊を呼び出す力が有る呪具』と『太陽の霊力を宿す呪具』が大量に集められてる場所に近付けば……」
『その大量の呪具が暴走してるって事か……待ってくれ、冗談じゃねぇぞ』
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