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熱血街頭 ― HIGH&LOW ―
百瀬 キヅナ (1)
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「秋葉原」の第2の「自警団」は、どうも、かなりタチの悪い狂犬ばかりらしい。
「九段」地区をうろついていた変な格好……ハロウィンのイベントなら1日早い……の同業者らしき女の子と、更に、地下鉄の中で、その女の子を助けようとした2人の女の子……1人は、これまた同業者で、もう1人は「秋葉原」地区に有る高専のロゴが入った作業着を着ていた……の服に忍ばせておいたGPSは、何故か「島」のほぼ中央に有る公園に移動していた。
女の子が移動したのでは無い。GPSだけが移動したのだ。
2つのGPSは、ほぼ同じ位置で動きが止まり……±一〇m以内の位置まで近付くと……そこには、プロテクター付きのライダースーツにフルヘルメットの男が数人。
ある者は携帯電話で誰かと話しており、別の者は半壊したドローンを手に首を傾げている。
「本部……あいつらが何者か判りますか?」
私は雇い主である「九段」地区の自警団「英霊顕彰会」……通称「靖国神社」……の警備本部に映像を送って問い合わせる。
『多分、「秋葉原」の2つ目の「自警団」だ』
困った事に、私の術は、同業……魔法使いとか呪術師とか言われてる連中……を騙し討ちに近い方法で倒す事に特化しており、純粋に物理的な防御力が高い相手は苦手だ。
肌の露出がほとんどない厚手の服、それだけで、私の術をかける事は困難になる。
ついでに、私の術は、同業者の多くが抱いている、ある思い込みを利用するモノなので、その思い込みを持っていない一般人に使っても意味は無い。
使ってから効き出すまでにタイムラグが有る上に、術で病気になった相手が普通の医者に担ぎ込まれれば、あっさりタネが割れる。
「人工の島」に有る数少ない緑豊かな場所。
私は、公園内の樹の1つに隠れ、様子を窺う。
「追跡は打ち切りますか? それとも応援を……」
その時、大声がした。
「おい、誰だ、そこに居るのは⁉」
……仕方ない、あの手を使うか……。
「出て来い。出て来ないと撃つぞ」
呪文がまだ途中なのに、とんでもない事を言い出した。
「十数える内に出て来い。一、二……」
それまでには何とか……。
「七、八……」
終った。
「な……」
「う……うわぁ……」
セコい術だ。物理的ダメージは皆無だろう。だが、逃げる暇ぐらいは稼げた筈だ。
私が召喚したのは……ゴキブリの大群だった。
ここは、この「島」の人間の憩いの場。当然、ゴキブリの餌となるもの……例えば弁当やスナック菓子の食べ残しなども結構な量が有る。
つまり、ゴキブリやネズミなどにとっては、そこそこ程度の楽園だ。
そして、公園のそこかしこから現われた黒い虫達は、ライダースーツの男達の体にたかっていった。
「ま……待て……」
逃げ出す私の姿を見て、男達の1人がそう言った。
「うわああああっ‼」
「おい、山内、やめろ‼」
「でも、これなら、ゴキブリどもにも効く筈……」
「えっ?」
「そうなの?」
馬鹿どもが何を騒いで……な……何を考えてるんだ? ここで……こんな場所で……この「島」の4つの地区のどこにも属していない場所……ある意味で、この「島」の「自警団」にとっての中立地帯……ついでに関係ない堅気も居ておかしくない場所で……銃器は銃器でも、そんな代物を……。
奴らの一人は、グレネードランチャー付の自動小銃を私に向けていた。
そして……閃光と……。
本物の銃撃の音とは、こんなにも頼り無い感じがするモノなのか?
その時、私が抱いたマヌケな感想その1が、それだった。
続いて、マヌケな感想その2が脳裏に浮かんだ。
この状況で、あれを水平に撃つ意味は有るのか?
弾頭の種類までは判らないが……グレネードランチャーから発射された弾丸は、真っ直ぐに、ただし明後日の方向に飛んで行った。
「九段」地区をうろついていた変な格好……ハロウィンのイベントなら1日早い……の同業者らしき女の子と、更に、地下鉄の中で、その女の子を助けようとした2人の女の子……1人は、これまた同業者で、もう1人は「秋葉原」地区に有る高専のロゴが入った作業着を着ていた……の服に忍ばせておいたGPSは、何故か「島」のほぼ中央に有る公園に移動していた。
女の子が移動したのでは無い。GPSだけが移動したのだ。
2つのGPSは、ほぼ同じ位置で動きが止まり……±一〇m以内の位置まで近付くと……そこには、プロテクター付きのライダースーツにフルヘルメットの男が数人。
ある者は携帯電話で誰かと話しており、別の者は半壊したドローンを手に首を傾げている。
「本部……あいつらが何者か判りますか?」
私は雇い主である「九段」地区の自警団「英霊顕彰会」……通称「靖国神社」……の警備本部に映像を送って問い合わせる。
『多分、「秋葉原」の2つ目の「自警団」だ』
困った事に、私の術は、同業……魔法使いとか呪術師とか言われてる連中……を騙し討ちに近い方法で倒す事に特化しており、純粋に物理的な防御力が高い相手は苦手だ。
肌の露出がほとんどない厚手の服、それだけで、私の術をかける事は困難になる。
ついでに、私の術は、同業者の多くが抱いている、ある思い込みを利用するモノなので、その思い込みを持っていない一般人に使っても意味は無い。
使ってから効き出すまでにタイムラグが有る上に、術で病気になった相手が普通の医者に担ぎ込まれれば、あっさりタネが割れる。
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「おい、誰だ、そこに居るのは⁉」
……仕方ない、あの手を使うか……。
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呪文がまだ途中なのに、とんでもない事を言い出した。
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それまでには何とか……。
「七、八……」
終った。
「な……」
「う……うわぁ……」
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ここは、この「島」の人間の憩いの場。当然、ゴキブリの餌となるもの……例えば弁当やスナック菓子の食べ残しなども結構な量が有る。
つまり、ゴキブリやネズミなどにとっては、そこそこ程度の楽園だ。
そして、公園のそこかしこから現われた黒い虫達は、ライダースーツの男達の体にたかっていった。
「ま……待て……」
逃げ出す私の姿を見て、男達の1人がそう言った。
「うわああああっ‼」
「おい、山内、やめろ‼」
「でも、これなら、ゴキブリどもにも効く筈……」
「えっ?」
「そうなの?」
馬鹿どもが何を騒いで……な……何を考えてるんだ? ここで……こんな場所で……この「島」の4つの地区のどこにも属していない場所……ある意味で、この「島」の「自警団」にとっての中立地帯……ついでに関係ない堅気も居ておかしくない場所で……銃器は銃器でも、そんな代物を……。
奴らの一人は、グレネードランチャー付の自動小銃を私に向けていた。
そして……閃光と……。
本物の銃撃の音とは、こんなにも頼り無い感じがするモノなのか?
その時、私が抱いたマヌケな感想その1が、それだった。
続いて、マヌケな感想その2が脳裏に浮かんだ。
この状況で、あれを水平に撃つ意味は有るのか?
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