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熱血街頭 ― HIGH&LOW ―

玉置レナ (3)

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「とりあえず、抗生物質と点滴で様子を見ましょう」
 バンの中に居たお医者さんらしい人は、そう言った。
「……そ……それでいいんですか?」
「多分、これの原因は『飯綱』とか『くだぎつね』って呼ばれてる小動物を『使い魔』にした呪法。僕も良く知らないけど……なるべく『力』を使わずに『使い魔』を操るノウハウと、『使い魔』の口の中で、なるべく色んな病原菌を繁殖させる方法が極意キモみたいだ」
 続いて「猿神ハヌマン」さんが、そう説明した。
「で……でも……それだったら……」
「魔法使い同士の『戦い』だと、相手も『魔法』で攻撃してくると思う筈だ。その盲点を突いた『魔法』だよ。霊体じゃなくて、実体のある自然の動物を『使い魔』にして、『呪い』じゃない単なる細菌による病気……まぁ、毒性を強めた養殖モノだけど……に感染させる。『魔法使い』からすれば詐欺みたいな手だけど、腕は、そこそこでも、この術の存在を知らない魔法使いは……面白いように引掛るらしい」
「えっと……つ……つまり?」
「『魔法使い』は、この術にやられた誰かが『呪いの気配を感じない謎の呪い』を受けたと思って、見当外れの対処法を次々と試み……その内に被害者は、どんどん衰弱していく……。実は、医者に行って抗生物質を一本注射してもらえば、解決する話だと思いもしないでね。要は『魔法使いやその身の回りの人間』を狙うのに特化した暗殺術だ」
「この2人の症状が違うのは?」
「『くだぎつね』は、通常、口の中に複数の病原菌を飼ってる。噛まれた時に、たまたま、どの病原菌が感染したかなんかで、症状が違ってくる」
 そう言いながら「猿神ハヌマン」さんは誘導棒みたいな何かを2人の女の子の体に近付ける。
 時折、その誘導棒もどきから「ピピッ」と云う音がする。
 そして、まず「猿神ハヌマン」さんは眼鏡っ娘氏のコートのポケットから眼鏡型携帯電話ケータイの「本体」を取り出し電源をOFFにした。
 続いて恐竜パーカーの女の子の半ズボンのポケットから携帯電話Nフォンを取り出し、同じく電源OFF。
 ただ、この時、別のモノも取り出されていた。
「それ……ひょっとして……」
「そう、GPS付の発信機。多分、『くだぎつね』が、この子を噛んだ時にポケットに忍ばせたんだろ」
「じゃあ、ひょっとして、こっちの子にも……」
「うん、どうも、そのダブダブの靴下の中みたい」
 あたしは眼鏡っ娘氏の靴とガーターベルトで吊り下げるタイプのダブダブめの靴下を外して、逆さにして振る。
「あ……出て来た」
「じゃ……これを取り付けたヤツには、見当違いの所に行ってもらいますか……」
 そう行って、「猿神ハヌマン」さんは、小型ドローンを用意。
 2つの発信機を乗せて、窓を開けて、外に飛ばす。
「後からドローンが2つ。片方は、こっちのドローンを追い掛けていった。もう1個を何とか出来る」
「任せて」
 あたしは、「熱や炎を操る能力」を使って、この車を付けてくるドローンを破壊した。
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