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熱血街頭 ― HIGH&LOW ―
高木 瀾(らん) (1)
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「背後から来てる3人は……あんたの能力で爆音を響かせて注意を引き付けてくれ」
私はヘルメットを被りながら、レナにそう言った。
「え……っと……了解」
「振り返るな」
続いて、私は携帯電話の画面をレナに見せる。画面には、携帯電話のカメラが捉えた映像がそのまま映し出されていた。
「能力を使う時は……人が居ない場所を狙って、驚いたフリをした後に逃げ出すフリ」
「了解」
今年の夏に、レナは私の仲間と一緒に行動した事が有ったけど、その時と同じく「指示に従う」のニュアンスの「了解」は「Affirm」、「言ってる事を理解した」のニュアンスの「了解」は「Confirm」と云う言葉を使った。筋はいいが、私達の仲間にすべきかについては、他に考えるべき問題が色々と有る。
もっとも私達の仲間の中にも、「たまたま『御当地ヒーロー』『正義の味方』に協力したのが切っ掛けで、その内、ズルズルと自分も『御当地ヒーロー』『正義の味方』稼業を始めた」と云う人が多いらしいが……。
「じゃ……今から言うカウントが0になったらやるから準備して……5、4、3、2、1……」
「了解」
「了解」
私と「兄貴」は、そう返事する。
そして、私はヘルメットを被る。
……筋が良い……いや、筋が良すぎて……私と同じ位の齢の女の子が、いつの間にか、この「稼業」を始めてた……なんて事になりかねない。
「0っ‼」
レナの「熱や炎を操る能力」を使った空気の熱膨張による爆音。
一瞬だけ振り返る。監視カメラには私達の映像が映ってる筈だが……わざとらしく見えたかも知れ……やり過ぎだ。他の人達には、ほぼ、被害は無いのに、私達を追ってるらしい謎の3人だけが偶然にも吹き飛ばされている。
私は、レナ、「兄貴」、病人2人を護るように前に出る。
前から、ライダースジャケットにフルヘルメットの2人。
私はすれ違いざまに1人目が放ったパンチを払う。
多少は打撃系の格闘技をやっているようだが……私の方が遥かに腕は上だった。私は「払った」だけなのに、相手はよろめく。そこに足を引っ掛け倒す。
続いて2人目。もう隠す気もないらしい。高い廻し蹴り。
私は、身を屈め、なるべく素人臭く見えるように装って頭を両腕で防御。
「ん……ぎゃあああ……」
蹴りを受けて吹き飛んだフリ。しかし、既に、私は、隠し持っていた鎌型短剣を抜いていた。
その刃は……相手の脛を抉っていた。……太い血管が有る箇所は避けた……筈だが……相手の流血の量は予想以上だった。
「おっと、ごめん」
「兄貴」が逃げる最中にぶつかったフリをして、2人目の水月に前蹴り。
そのまま逃げる途中で、振り返る。
私達を襲撃した2人は……爆音をテロか何かと勘違いして、その場から逃げ出そうとした人達に次々と踏み付けられていた。
何とか私達は待合室から外に出る。
「車は?」
「あそこだ」
5mほど先に、救急車より更に二回りは大きいバン。
「えっ?」
その時、道の反対側に異様な……私より1つか2つ年上らしい女の子。
スカジャンに、ホットパンツ。左右が色違いの太股まであるソックスと、これまた左右が色違いのスニーカー。毛糸の帽子。
だが、異様なのは、そこじゃない。
その両手には……大型のハンマが握られていた。
「て……敵か……?」
「あ……あの子……喧嘩の場所に居た……」
「えっ?」
「『入谷七福神』と『寛永寺僧伽』の決闘の場所に居た……『入谷七福神』の子だよ」
「先に行ってくれ」
私は「兄貴」とレナにそう言った。
「判った。『第4出張所』で落ち合おう。合言葉は事前に決めた通りだ。1時間以上経過した後に、お前が来なくて、連絡も無ければ……何かマズい事が有ったと判断する。そっちも、もし、1時間後に『第4出張所』に僕達が居なければ……サポート・メンバーに連絡して指示を仰げ」
それに対して「兄貴」は、そう言った。
私はヘルメットを被りながら、レナにそう言った。
「え……っと……了解」
「振り返るな」
続いて、私は携帯電話の画面をレナに見せる。画面には、携帯電話のカメラが捉えた映像がそのまま映し出されていた。
「能力を使う時は……人が居ない場所を狙って、驚いたフリをした後に逃げ出すフリ」
「了解」
今年の夏に、レナは私の仲間と一緒に行動した事が有ったけど、その時と同じく「指示に従う」のニュアンスの「了解」は「Affirm」、「言ってる事を理解した」のニュアンスの「了解」は「Confirm」と云う言葉を使った。筋はいいが、私達の仲間にすべきかについては、他に考えるべき問題が色々と有る。
もっとも私達の仲間の中にも、「たまたま『御当地ヒーロー』『正義の味方』に協力したのが切っ掛けで、その内、ズルズルと自分も『御当地ヒーロー』『正義の味方』稼業を始めた」と云う人が多いらしいが……。
「じゃ……今から言うカウントが0になったらやるから準備して……5、4、3、2、1……」
「了解」
「了解」
私と「兄貴」は、そう返事する。
そして、私はヘルメットを被る。
……筋が良い……いや、筋が良すぎて……私と同じ位の齢の女の子が、いつの間にか、この「稼業」を始めてた……なんて事になりかねない。
「0っ‼」
レナの「熱や炎を操る能力」を使った空気の熱膨張による爆音。
一瞬だけ振り返る。監視カメラには私達の映像が映ってる筈だが……わざとらしく見えたかも知れ……やり過ぎだ。他の人達には、ほぼ、被害は無いのに、私達を追ってるらしい謎の3人だけが偶然にも吹き飛ばされている。
私は、レナ、「兄貴」、病人2人を護るように前に出る。
前から、ライダースジャケットにフルヘルメットの2人。
私はすれ違いざまに1人目が放ったパンチを払う。
多少は打撃系の格闘技をやっているようだが……私の方が遥かに腕は上だった。私は「払った」だけなのに、相手はよろめく。そこに足を引っ掛け倒す。
続いて2人目。もう隠す気もないらしい。高い廻し蹴り。
私は、身を屈め、なるべく素人臭く見えるように装って頭を両腕で防御。
「ん……ぎゃあああ……」
蹴りを受けて吹き飛んだフリ。しかし、既に、私は、隠し持っていた鎌型短剣を抜いていた。
その刃は……相手の脛を抉っていた。……太い血管が有る箇所は避けた……筈だが……相手の流血の量は予想以上だった。
「おっと、ごめん」
「兄貴」が逃げる最中にぶつかったフリをして、2人目の水月に前蹴り。
そのまま逃げる途中で、振り返る。
私達を襲撃した2人は……爆音をテロか何かと勘違いして、その場から逃げ出そうとした人達に次々と踏み付けられていた。
何とか私達は待合室から外に出る。
「車は?」
「あそこだ」
5mほど先に、救急車より更に二回りは大きいバン。
「えっ?」
その時、道の反対側に異様な……私より1つか2つ年上らしい女の子。
スカジャンに、ホットパンツ。左右が色違いの太股まであるソックスと、これまた左右が色違いのスニーカー。毛糸の帽子。
だが、異様なのは、そこじゃない。
その両手には……大型のハンマが握られていた。
「て……敵か……?」
「あ……あの子……喧嘩の場所に居た……」
「えっ?」
「『入谷七福神』と『寛永寺僧伽』の決闘の場所に居た……『入谷七福神』の子だよ」
「先に行ってくれ」
私は「兄貴」とレナにそう言った。
「判った。『第4出張所』で落ち合おう。合言葉は事前に決めた通りだ。1時間以上経過した後に、お前が来なくて、連絡も無ければ……何かマズい事が有ったと判断する。そっちも、もし、1時間後に『第4出張所』に僕達が居なければ……サポート・メンバーに連絡して指示を仰げ」
それに対して「兄貴」は、そう言った。
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