Neo Tokyo Site 01:第二部「激突‼ 四大魔法少女+2‼ − Asura : The City of Madness −」

蓮實長治

文字の大きさ
上 下
3 / 101
犯罪都市 ― The Outlows ―

玉置レナ (1)

しおりを挟む
 誓いを守り、正しき事を成さんとすれば、それを阻む者が現われるでしょう。
 その時は、敵が神々であろうと恐れず立ち向かいなさい。
 立ちはだかるのが倫理ダルマそのものであっても一歩も引いてはなりませぬ。
 それこそが「戦士の倫理クシャトリア・ダルマ」です。
 S・S・ラージャマウリ監督「バーフバリ 王の凱旋」より

『区内で不測の事態が起きているようです。これから言う区域が家か通学路の人は、事態が沈静化するまで下校を控えて下さい』
 良く有る校内放送。週1回のペースで起きてる事を「不測の事態」と呼ぶのには違和感が有るが。
『おい、何だ、今の不穏な放送は?』
 電話相手の高木瀾はそう言った。夏休みに知り合った「本土」の高校生。ちなみに、彼女が通ってるのはこっちSite01の連中でも名前ぐらいは聞いた事が有る福岡県の公立進学校の中でもトップ3に入る所。
「あ……こっちでは、良く有る事」
『なぁ……本当に、九州こっちの学校に転校する気無い?』
「考えとくよ……」
 電話の向こうで、「おい、望月、ノートPC貸して」と云う瀾の声がする。
 どうやら部室に居るらしい。ちなみに、前に聞いた限りでは「電子工作部」と「プログラミング部」が共同で使ってる部室のようだ。
 なお、夏に、この「島」で起きた騷ぎに関わった「本土」の高校生3人は同じ学校の理数科に通っていて、瀾と今村君が電子工作部で、望月君がプログラミング部に入っている。
『今……そっちの街頭監視カメラの映像を見てる』
 この「秋葉原」地区……なお、火山灰に埋もれてしまった「本当の東京」の「本当の秋葉原」ではなく、あくまで、いつの間にか公称と化した通称……の自警団が2つに増えて、競争が始まった事で、両方の自警団が住民の支持を得る為に、色んなサービスをやるようになった。街頭監視カメラを置いて、映像をWeb上で公開するようになったのも、その一環だ。……先に似たような事をやってた「有楽町」地区みたいに、夜中にカメラ目線の露出狂の変態の姿が全世界に配信されてしまう事が、たまに有るが。
『何か……変だぞ……』
「どうしたの?」
『そっちの島の連中じゃない……何で、Site04の連中が、そっちで喧嘩をしてる?』
「どう云う事?」
 十年前、富士山の噴火で、日本の首都圏と山梨・長野・静岡の大部分、そして中部地方の一部は壊滅した。生き残った人達は、被災地に残ったり、他の地域で新しい仕事や家を見付け……そうでない人達は、日本各地に作られた「人工の島」に住む事になった。
 あたし達が住んでいるのは、唐津と壱岐の間に有る正式名称「Neo Tokyo Site01」……通称「千代田区」。
 他には、広島沖にSite02……通称「渋谷・新宿区」が、仙台沖にSite03……通称「豊島区」が、壱岐と対馬の間にはSite04……通称「台東区」が有り、北陸にSite05が、長崎本土と五島列島の間にSite06が建設中だ。
 つまり、Site04は、「他の東京」の中で、この島に一番近い「東京」。フェリーで片道1時間強だ。
『男も女もスキンヘッドで首にゴツい数珠を付けた連中と、背中に七福神の絵柄のスカジャンを着た連中が「秋葉原」でドツキ合いをやってる』
 多分、スキンヘッドの方は、Site04の自警団の1つ「寛永寺僧伽」。スカジャンの方は、同じくSite04の自警団の1つ「入谷七福神」。
 どっちも……メンバーの多くは「魔法使い」だ。
 で、問題が1つ。「秋葉原」の2つの自警団「サラマンダーズ」も「Armored Geeks」も「魔法使い」は大の苦手なのだ。
『お……おい……どうなってる? あの時の「神保町」の女の子が抗争場所に居るぞ』
「えっ?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

Neo Tokyo Site 01:第一部「Road to Perdition/非法正義」

蓮實長治
SF
平行世界の「東京」ではない「東京」の千代田区・秋葉原。 父親の形見である強化服「水城(みずき)」を自分の手で再生させる事を夢見る少年・石川勇気と、ある恐るべき「力」を受け継いでしまった少女・玉置レナは、人身売買組織に誘拐された勇気の弟と妹と取り戻そうとするが……。 失なわれた「正義」と「仁愛」を求める「勇気」が歩む冥府魔道の正体は……苦難の果てにささやかな誇りを得る「英雄への旅路」か、それとも栄光と破滅が表裏一体の「堕落への旅路」か? 同じ作者の「世界を護る者達/御当地ヒーロー始めました」「青き戦士と赤き稲妻」と同じ世界観の話です。 「なろう」「カクヨム」「pixiv」にも同じものを投稿しています。 こちらに本作を漫画台本に書き直したものを応募しています。 https://note.com/info/n/n2e4aab325cb5 https://note.com/gazi_kun/n/n17ae6dbd5568 万が一、受賞した挙句にマルチメディア展開になんて事になったら、主題歌は浜田省吾の「MONEY」で……。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

魔導兇犬録:Deliver Us from Evil

蓮實長治
SF
そこは、2001年までは現実とほぼ同じ歴史を辿りながら、様々な「異能力者」が存在し、魔法や超能力のような超常の力と科学技術が並存する世界。 約10年前の富士山の噴火で大量発生した「関東難民」が暮す人工島の1つ「NEO TOKYO SITE01─通称:千代田区─」に住む中年の「死霊使い」小堀利昭は命以外の全てを失なった状態にあった。 かつての所属組織は町の治安を護る「自警団」から単なる「悪の組織」に零落れた挙句に、「本土」の「正義の味方」達の圧倒的な戦力により壊滅。 その時に「科学技術」により作られた「魔法」に対抗する事が可能な強化装甲服を目撃し、自分の使う「魔法」への「信仰」を喪失。 「使い魔」である「死霊」達は、ある日、突然、何故か一匹残らず消滅。 そして、町の新しい支配者となった自警団「入谷七福神」により、彼の元所属組織である「英霊顕彰会」の残党狩りが始まり……。 そんな中、何故か「本土」から来た1人の「魔法少女」が彼に手を差し延べてくれるのだが……? 「我等を悪より護り給え」……では、その「悪」が有るのは自分の内か外か? 「なろう」「カクヨム」「アルファポリス」「pixiv」「Novel Days」「GALLERIA」「ノベルアップ+」に同じモノを投稿しています。(pixivとGALLERIAは掲載が後になります)

青き戦士と赤き稲妻

蓮實長治
SF
現実と似た歴史を辿りながら、片方は国家と云うシステムが崩れつつ有る世界、もう一方は全体主義的な「世界政府」が地球の約半分を支配する世界。 その2つの平行世界の片方の反体制側が、もう片方から1人の「戦士」を呼び出したのだが……しかし、呼び出された戦士は呼び出した者達の予想と微妙に違っており……。 「なろう」「カクヨム」「pixiv」にも同じものを投稿しています。 同じ作者の「世界を護る者達/第一部:御当地ヒーローはじめました」と同じ世界観の約10年後の話になります。 注: 作中で「検察が警察を監視し、警察に行き過ぎが有れば、これを抑制する。裁判所が検察や警察を監視し、警察・検察にに行き過ぎが有れば、これを抑制する」と云う現実の刑事司法の有り方を否定的に描いていると解釈可能な場面が有りますが、あくまで、「現在の社会で『正しい』とされている仕組み・制度が、その『正しさ』を保証する前提が失なわれ形骸化した状態で存続したなら」と云う描写だと御理解下さい。

【BIO DEFENSE】 ~終わった世界に作られる都市~

こばん
SF
世界は唐突に終わりを告げる。それはある日突然現れて、平和な日常を過ごす人々に襲い掛かった。それは醜悪な様相に異臭を放ちながら、かつての日常に我が物顔で居座った。 人から人に感染し、感染した人はまだ感染していない人に襲い掛かり、恐るべき加速度で被害は広がって行く。 それに対抗する術は、今は無い。 平和な日常があっという間に非日常の世界に変わり、残った人々は集い、四国でいくつかの都市を形成して反攻の糸口と感染のルーツを探る。 しかしそれに対してか感染者も進化して困難な状況に拍車をかけてくる。 さらにそんな状態のなかでも、権益を求め人の足元をすくうため画策する者、理性をなくし欲望のままに動く者、この状況を利用すらして己の利益のみを求めて動く者らが牙をむき出しにしていきパニックは混迷を極める。 普通の高校生であったカナタもパニックに巻き込まれ、都市の一つに避難した。その都市の守備隊に仲間達と共に入り、第十一番隊として活動していく。様々な人と出会い、別れを繰り返しながら、感染者や都市外の略奪者などと戦い、都市同士の思惑に巻き込まれたりしながら日々を過ごしていた。 そして、やがて一つの真実に辿り着く。 それは大きな選択を迫られるものだった。 bio defence ※物語に出て来るすべての人名及び地名などの固有名詞はすべてフィクションです。作者の頭の中だけに存在するものであり、特定の人物や場所に対して何らかの意味合いを持たせたものではありません。

猿の内政官 ~天下統一のお助けのお助け~

橋本洋一
歴史・時代
この世が乱れ、国同士が戦う、戦国乱世。 記憶を失くした優しいだけの少年、雲之介(くものすけ)と元今川家の陪々臣(ばいばいしん)で浪人の木下藤吉郎が出会い、二人は尾張の大うつけ、織田信長の元へと足を運ぶ。織田家に仕官した雲之介はやがて内政の才を発揮し、二人の主君にとって無くてはならぬ存在へとなる。 これは、優しさを武器に二人の主君を天下人へと導いた少年の物語 ※架空戦記です。史実で死ぬはずの人物が生存したり、歴史が早く進む可能性があります

処理中です...