青き戦士と赤き稲妻

蓮實長治

文字の大きさ
上 下
49 / 51
『青き戦士』第3章:放逐されし者達(エグザイルズ)

(2)

しおりを挟む
「マズいな」
 ボクは一端、さっき絞め落した看守の元に戻り、懐をあさる。
 やっぱり持ってた。他の独房のものらしい鍵。
 ボクは、その鍵で、独房の扉を次々と開ける。なるほど、あの阿呆看守が扉を開けるのに手間取ってた理由はコレか。錠前の内部が錆び付いてるみたいで、開けるのに時間がかかる。
「誰だ?」(日本語・九州訛り)
「何者だ?」(ドイツ語)
「えっ?」(ドイツ語)
「うがぁ~」(???)
「何じゃ?」(日本語・九州訛り)
 結局、独房にブチ込まれてたのは、日本人らしき兵士4名に白人男性3名。あと、図体が異様にデカい……ええっと、多分、アジア人……おそらくは日本人の男性だと思うけど……何者なのか、あと、過去にどんな酷い目に遭ったのか、深く考えたくない、ユニバーサル映画版のフランケンシュタインの怪物とレッドドワーフのクライテンを足して2で割ったような顔のヤツが1名。
 白人男性3名全員が、あまり汚れが目立たない軍服を着ている……なお、これまた3名全員、襟に有る徽章は稲妻にも見えるアレンジをしたルーン文字のSを2つ横に並べた……まぁ、何のシンボルかは言うまでも無い。
 日本人らしき4名と、何者か、あまり考えたくないデカブツは……ボロボロめでモスグリーンの戦闘服か作業服らしきモノを着ていた。
「ええっと……ここから、脱走する気有る?」
「だから、お前は、何者なにもんじゃ?」(日本語・九州訛り)
「そもそも、何故、白人の女が、こんな所に居る? あと、何故、白人の女が日本語を話している?」(ドイツ語)
「説明は後だ。そろそろ、敵が来る」
「敵じゃなかぞ。おいは上官ブチのめしたせいで、ここにブチ込まれとっただけで……」(日本語・九州訛り)
「我々にとっては敵だ‼ 日本人どもが、いきなり我々を捕縛して……」(ドイツ語)
「いよいよ戦争が始まりそうになったので、日本は世界政府を裏切って中国に付いたんですよ。私が、前から言っていたでしょう。黄色人種を信用するなど、狂気の沙汰だと」(ドイツ語)
「昨日の晩、例の歓楽街で騒ぎを起したテロリストどもも、中国か中央アフリカ連邦の手先に決っている」(ドイツ語)
「よく判んないけど、誰なの、このナチ野郎は?」
「世界政府軍所属の顧問じゃが……」(日本語・九州訛り)
「あ、そ……ちょっと待って……お仕置きの時間だッ‼It's clobberin' time!!
 ボクは「火事場の馬鹿力」を出す為の自己暗示キーワードを唱えて、ナチ野郎の1人の首根っこを捕み……。
 ブンッ‼
「うわあああああっ‼」
 どげしっ‼
 ナチ野郎は宙を舞い、鉄格子に激突。
「よかった……鉄格子には高圧電流なんかは流れてないみたいだ」
「……それを確かめるんなら、他に方法も有ったとじゃなかとか?」(日本語・九州訛り)
「細かい事は気にしないで……」
 そう言って、ボクは鉄格子を捕み……。
「おりゃあああああっ‼」
「な……何者なにもんじゃ、お前はっ⁉」(日本語・九州訛り)
「まさか……人造純血種なのか?」(ドイツ語)
 その時、鉄格子の更に向こうに有る階段から足音。
「止まれ‼ 大人しく房に戻らねば撃つぞ‼」
 敵は5名。全員、手に持っている武器は拳銃。いざと成ったら、残ってるナチ野郎を肉盾にすれば、十分に銃弾を防げそうだ。
「ごめん……ちょっと、外の新鮮な空気を吸いたいんでねっ♡」
 そう言ってボクは、鉄格子にぶつかって気絶してるナチ野郎を持ち上げると、階段の方にブン投げた。
 ボクが、混乱した敵を鎮圧するまでに、一分かからなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

Storm Breakers:第一部「Better Days」

蓮實長治
SF
「いつか、私が『ヒーロー』として1人前になった時、私は滅びに向かう故郷を救い愛する女性を護る為、『ここ』から居なくなるだろう。だが……その日まで、お前の背中は、私が護る」 二〇〇一年に「特異能力者」の存在が明らかになってから、約四十年が過ぎた平行世界。 世界の治安と平和は「正義の味方」達により護られるようになり、そして、その「正義の味方」達も第二世代が主力になり、更に第三世代も生まれつつ有った。 そして、福岡県を中心に活動する「正義の味方」チーム「Storm Breakers」のメンバーに育てられた2人の少女はコンビを組む事になるが……その1人「シルバー・ローニン」には、ある秘密が有った。 その新米ヒーロー達の前に……彼女の「師匠」達の更に親世代が倒した筈の古き時代の亡霊が立ちはだかる。 同じ作者の別の作品と世界設定を共有しています。 「なろう」「カクヨム」「アルファポリス」「pixiv」「Novel Days」「GALLERIA」「ノベルアップ+」に同じモノを投稿しています。(pixivとGALLERIAは掲載が後になります)

閃光の果てに

kkk
SF
果てしなき軍拡。その先に見えるのは希望か絶望か。

Neo Tokyo Site 01:第一部「Road to Perdition/非法正義」

蓮實長治
SF
平行世界の「東京」ではない「東京」の千代田区・秋葉原。 父親の形見である強化服「水城(みずき)」を自分の手で再生させる事を夢見る少年・石川勇気と、ある恐るべき「力」を受け継いでしまった少女・玉置レナは、人身売買組織に誘拐された勇気の弟と妹と取り戻そうとするが……。 失なわれた「正義」と「仁愛」を求める「勇気」が歩む冥府魔道の正体は……苦難の果てにささやかな誇りを得る「英雄への旅路」か、それとも栄光と破滅が表裏一体の「堕落への旅路」か? 同じ作者の「世界を護る者達/御当地ヒーロー始めました」「青き戦士と赤き稲妻」と同じ世界観の話です。 「なろう」「カクヨム」「pixiv」にも同じものを投稿しています。 こちらに本作を漫画台本に書き直したものを応募しています。 https://note.com/info/n/n2e4aab325cb5 https://note.com/gazi_kun/n/n17ae6dbd5568 万が一、受賞した挙句にマルチメディア展開になんて事になったら、主題歌は浜田省吾の「MONEY」で……。

処理中です...