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第三章:This Is Not a Film
関口 陽(ひなた) (7)
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護法童子を呼び出し、私の感覚と護法童子の感覚を同調させる。
まだ、慣れない。
数日前まで英彦山でやってた「修行」は、主にこれが出来るようになる為だったが……「魔法」の多くが「センスの有るヤツなら二十前で出来るようになるが、センスが無いヤツは、どんなチート級の霊力量を持っていようが、何十年修行しても出来ない」モノであるように、これをちゃんとやるのにもセンスが必要らしい。
周囲の光景が一変する。
私達人間は、視・聴・臭・味・触の五感で世界を認識している。
しかし、霊体である護法童子は魔力・霊力・気と言った……要は「気配」で世界を認識している。
同じ世界、同じ時、同じ場所に居るのに認識しているモノは全く違う。
だから、護法童子が認識しているモノを理解するには、脳内での翻訳作業が必要になる。
なので、私は少し前までそれが出来なかったせいで、護法童子を「目で見える範囲」の外まで飛ばす事が出来なかった。
そして、翻訳に喩えるなら、まだ、私はバイリンガルには程遠い。
精神を集中させ続け、頭をフル回転させ続けないと、護法童子から送られて来る情報を理解する事が出来ない。
今は……まぁ、何とか、護法童子に「前に行かせる」つもりだったら、本当に前に行ってくれる程度には……いや、冗談抜きで、護法童子にとっての前が、私の意図した「前」なのかさえあやふやなのだ。
周囲には……人間らしきモノの「気」が「観」える。
更に悪霊や魑魅魍魎の類が「観」える。普通は非活性化状態にある筈のそれらがやたらと目を覚ましている。
その中に、かなりの数、人間の「魔法使い」に使われている「霊体」に特有の「型」が有った。
その「型」を私の脳は「霊体に描かれた梵字」に「翻訳」していた。
多分、一緒に行動してる「寛永寺僧伽」の連中の「護法童子」なのだろう。
それ以外の活性化している霊体を追う。
活性化している霊体が多い場所……クソ……それらしい場所は有ったが……物理的にどの方向かまでは……判らない。
だが、その中心に……。
……神代文字で構成された人間の形をした「何か」……。
もちろん、「神代文字」の多くは、後の時代に捏造されたモノで、本当に太古の日本で使われてた文字じゃない。
だが、人間が使う「魔法」の産物がそこに有る……もしくは居るらしい事だけは確実だ。
神代文字に「観」えたのは……その「魔法」の「術式」の「型」からして「自称・古神道」系の術の可能性が高いから、私の脳が、そのような「姿」に「翻訳」したのだろう。
危険だが……より詳しく「観」てみる。
「観」ると云うのは……こちらの気や霊力を送り、その反応を確認する事。
「観」る事で詳しい情報を得ようとすればするほど……相手に気付かれる可能性が高まる。
神代文字で出来た人型の表面に、いくつもの細波。
どうやら……私以外にも、こいつを探ってるヤツが居るらしい。
多分、今、一緒に行動してる連中の誰かだろう。
神代文字の正体……それは……人間を守っている防御魔法。
そこまでは判った。でも……中の人間の情報もまた、その「防御魔法」で隠蔽されている。
年齢は? 性別は? 健康状態は?「魔法使い」か一般人か? 気や霊力の量はどの程度か?……それらは何も判らない。かろうじて、生きた人間らしい事だけが……。
その時、強力な光が、そいつの「目」から放たれた。
いや、これも、私の脳が、そう「翻訳」した結果だ。
単に、そいつは、周囲に居るモノを認識しようとしただけだろう。だが、それに伴なって、強力な「気」が……。
「うわあッ‼」
「お……おい、大丈夫か?」
声をかけたのはランだった。
相手からすると「認識」だが、こっちからすれば「攻撃」にしか思えないモノを食って、私の意識は……えっと、途切れたと言うべきか、目覚めたと言うべきか……。
まだ、慣れない。
数日前まで英彦山でやってた「修行」は、主にこれが出来るようになる為だったが……「魔法」の多くが「センスの有るヤツなら二十前で出来るようになるが、センスが無いヤツは、どんなチート級の霊力量を持っていようが、何十年修行しても出来ない」モノであるように、これをちゃんとやるのにもセンスが必要らしい。
周囲の光景が一変する。
私達人間は、視・聴・臭・味・触の五感で世界を認識している。
しかし、霊体である護法童子は魔力・霊力・気と言った……要は「気配」で世界を認識している。
同じ世界、同じ時、同じ場所に居るのに認識しているモノは全く違う。
だから、護法童子が認識しているモノを理解するには、脳内での翻訳作業が必要になる。
なので、私は少し前までそれが出来なかったせいで、護法童子を「目で見える範囲」の外まで飛ばす事が出来なかった。
そして、翻訳に喩えるなら、まだ、私はバイリンガルには程遠い。
精神を集中させ続け、頭をフル回転させ続けないと、護法童子から送られて来る情報を理解する事が出来ない。
今は……まぁ、何とか、護法童子に「前に行かせる」つもりだったら、本当に前に行ってくれる程度には……いや、冗談抜きで、護法童子にとっての前が、私の意図した「前」なのかさえあやふやなのだ。
周囲には……人間らしきモノの「気」が「観」える。
更に悪霊や魑魅魍魎の類が「観」える。普通は非活性化状態にある筈のそれらがやたらと目を覚ましている。
その中に、かなりの数、人間の「魔法使い」に使われている「霊体」に特有の「型」が有った。
その「型」を私の脳は「霊体に描かれた梵字」に「翻訳」していた。
多分、一緒に行動してる「寛永寺僧伽」の連中の「護法童子」なのだろう。
それ以外の活性化している霊体を追う。
活性化している霊体が多い場所……クソ……それらしい場所は有ったが……物理的にどの方向かまでは……判らない。
だが、その中心に……。
……神代文字で構成された人間の形をした「何か」……。
もちろん、「神代文字」の多くは、後の時代に捏造されたモノで、本当に太古の日本で使われてた文字じゃない。
だが、人間が使う「魔法」の産物がそこに有る……もしくは居るらしい事だけは確実だ。
神代文字に「観」えたのは……その「魔法」の「術式」の「型」からして「自称・古神道」系の術の可能性が高いから、私の脳が、そのような「姿」に「翻訳」したのだろう。
危険だが……より詳しく「観」てみる。
「観」ると云うのは……こちらの気や霊力を送り、その反応を確認する事。
「観」る事で詳しい情報を得ようとすればするほど……相手に気付かれる可能性が高まる。
神代文字で出来た人型の表面に、いくつもの細波。
どうやら……私以外にも、こいつを探ってるヤツが居るらしい。
多分、今、一緒に行動してる連中の誰かだろう。
神代文字の正体……それは……人間を守っている防御魔法。
そこまでは判った。でも……中の人間の情報もまた、その「防御魔法」で隠蔽されている。
年齢は? 性別は? 健康状態は?「魔法使い」か一般人か? 気や霊力の量はどの程度か?……それらは何も判らない。かろうじて、生きた人間らしい事だけが……。
その時、強力な光が、そいつの「目」から放たれた。
いや、これも、私の脳が、そう「翻訳」した結果だ。
単に、そいつは、周囲に居るモノを認識しようとしただけだろう。だが、それに伴なって、強力な「気」が……。
「うわあッ‼」
「お……おい、大丈夫か?」
声をかけたのはランだった。
相手からすると「認識」だが、こっちからすれば「攻撃」にしか思えないモノを食って、私の意識は……えっと、途切れたと言うべきか、目覚めたと言うべきか……。
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