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第三章:This Is Not a Film
関口 陽(ひなた) (6)
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「お前……『護國院』と何か有ったのか?」
応援に来た連中が私を見た瞬間、表情が変ったのを見て笹原がそう訊いた。
「寛永寺僧伽」の「2次団体」は、「本物の東京」に有る(もしくは有った)「本物の寛永寺」の子院の名を名乗っている。
やって来たのは……その2次団体の1つ「護國院」の連中が二十名ほど。
ほぼ全員が、ガタイのいい二〇代~三〇代の男だ。
「あいつらの面子を潰した」
「えっ?」
「先月末にウチとあいつらが千代田区で『決闘』をした事が有っただろ」
「『秋葉原』の『自警団』を怒らせて、全員、捕虜になったアレか?」
「あん時……結果的にだが……私があいつらを助けた事になってしまって……」
「やれやれ……うかつに人助けなんてやるもんじゃないな……。特にひがみっぽい馬鹿男どもを助けるなんて、もっての他だ」
「すまん……私は……あいつらをブチのめした」
横からランがとんでもない事を言い出した。
「はぁっ?」
「おい……8月に千代田区で、あいつらを叩きのめした『本土』の『正義の味方』って……」
「私と私の兄貴分だ」
「あいつらは汚名返上をするつもりだったのに……その『汚名』の原因が、ここに揃ってる訳か……」
「あまり使える連中に思えないが……何で出て来た?」
「おい……奴らに聞こえる所で言うなよ。今のウチのトップが、あそこの先代の『院主』だ」
「そう云う事情か……そっちのトップの子飼の部下の評判がダダ下がりなんで、手柄を立てさせないと……」
「ああ、言いたかないが、ウチの『自警団』内の『政治問題』だ」
「おう……揃っとるな」
「目標の場所は判っとるのか?」
続いてやって来たのは、私達「入谷七福神」の「制服」であるスカジャンを着た六〇ぐらいのおっさんが2人。
1人は背は高めでスマートな体格……もう1人は背は低くて小太り気味。
2人とも歩道でも走行可能な電動スクーターに乗っている。
背の高い方は、私が所属する「大黒天班」のリーダーで、小太りの方は、同じく「入谷七福神」を構成する7つのチームの内の1つ「恵比寿班」のリーダーだ。
私達「入谷七福神」の7人のトップの内の2人にして創設者。血の繋りが有ると云う話は聞いた事が無いし、体格は全然違うのに、顔は兄弟のようにどことなく似ている……ように見える。
「非常時にトップがわざわざ現場に出るのか? 何か有ったら指揮はどうする気だ?」
「お……おい……」
違う「自警団」とは言え、体育会系気質らしい「護國院」の連中が、十代の小娘のクセに六〇ぐらいの男に向かって思った事をズバズバ言うランを見て、更にピリピリした表情になる。
「あんた……久留米の『羅刹天』の組の者だろ」
「ああ」
「なら、俺達も、あんたの先輩と組んで『仕事』をした事が有る。あんたの組の風天も、確か、俺達より齢だが現場に……」
「あの人は、九月に他界した」
「へっ?」
「マジかよ……」
「あの齢で自分が現場に出るような真似を控えれば、もう少し長生き出来たかも知れないな。貴方達も気を付けた方がいい」
「お……おい……。お前……少しは……」
私より先に、そう言い出したのは……「護國院」の院主だった。
だが、大黒天の爺さんが片手を上げて、それ以上言うのをやめさせる。
「若いの……あんた、『羅刹天』『風天』『伊舎那天』の内、どいつの弟子だ?」
「3人全員が、私の師匠だ」
ランのその答を聞くと、「大黒天」と「恵比寿」は顔を見合わせ……。
「面白え……口の悪さも師匠3人分か……」
「みてえだな、兄弟」
応援に来た連中が私を見た瞬間、表情が変ったのを見て笹原がそう訊いた。
「寛永寺僧伽」の「2次団体」は、「本物の東京」に有る(もしくは有った)「本物の寛永寺」の子院の名を名乗っている。
やって来たのは……その2次団体の1つ「護國院」の連中が二十名ほど。
ほぼ全員が、ガタイのいい二〇代~三〇代の男だ。
「あいつらの面子を潰した」
「えっ?」
「先月末にウチとあいつらが千代田区で『決闘』をした事が有っただろ」
「『秋葉原』の『自警団』を怒らせて、全員、捕虜になったアレか?」
「あん時……結果的にだが……私があいつらを助けた事になってしまって……」
「やれやれ……うかつに人助けなんてやるもんじゃないな……。特にひがみっぽい馬鹿男どもを助けるなんて、もっての他だ」
「すまん……私は……あいつらをブチのめした」
横からランがとんでもない事を言い出した。
「はぁっ?」
「おい……8月に千代田区で、あいつらを叩きのめした『本土』の『正義の味方』って……」
「私と私の兄貴分だ」
「あいつらは汚名返上をするつもりだったのに……その『汚名』の原因が、ここに揃ってる訳か……」
「あまり使える連中に思えないが……何で出て来た?」
「おい……奴らに聞こえる所で言うなよ。今のウチのトップが、あそこの先代の『院主』だ」
「そう云う事情か……そっちのトップの子飼の部下の評判がダダ下がりなんで、手柄を立てさせないと……」
「ああ、言いたかないが、ウチの『自警団』内の『政治問題』だ」
「おう……揃っとるな」
「目標の場所は判っとるのか?」
続いてやって来たのは、私達「入谷七福神」の「制服」であるスカジャンを着た六〇ぐらいのおっさんが2人。
1人は背は高めでスマートな体格……もう1人は背は低くて小太り気味。
2人とも歩道でも走行可能な電動スクーターに乗っている。
背の高い方は、私が所属する「大黒天班」のリーダーで、小太りの方は、同じく「入谷七福神」を構成する7つのチームの内の1つ「恵比寿班」のリーダーだ。
私達「入谷七福神」の7人のトップの内の2人にして創設者。血の繋りが有ると云う話は聞いた事が無いし、体格は全然違うのに、顔は兄弟のようにどことなく似ている……ように見える。
「非常時にトップがわざわざ現場に出るのか? 何か有ったら指揮はどうする気だ?」
「お……おい……」
違う「自警団」とは言え、体育会系気質らしい「護國院」の連中が、十代の小娘のクセに六〇ぐらいの男に向かって思った事をズバズバ言うランを見て、更にピリピリした表情になる。
「あんた……久留米の『羅刹天』の組の者だろ」
「ああ」
「なら、俺達も、あんたの先輩と組んで『仕事』をした事が有る。あんたの組の風天も、確か、俺達より齢だが現場に……」
「あの人は、九月に他界した」
「へっ?」
「マジかよ……」
「あの齢で自分が現場に出るような真似を控えれば、もう少し長生き出来たかも知れないな。貴方達も気を付けた方がいい」
「お……おい……。お前……少しは……」
私より先に、そう言い出したのは……「護國院」の院主だった。
だが、大黒天の爺さんが片手を上げて、それ以上言うのをやめさせる。
「若いの……あんた、『羅刹天』『風天』『伊舎那天』の内、どいつの弟子だ?」
「3人全員が、私の師匠だ」
ランのその答を聞くと、「大黒天」と「恵比寿」は顔を見合わせ……。
「面白え……口の悪さも師匠3人分か……」
「みてえだな、兄弟」
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