30 / 56
友との語らい
しおりを挟む…………
「うわあ、たいへんたいへんたい」
「最終的に『変態』になってるよ」
その日の午後。
日曜ということも有り、ランチがてら頼れる人に相談をしてみた。って、愛子ちゃんなんですけどね。だって近所に住んでるし。昨日も一緒にセールに行ったけど、今日だって会っちゃうもんね。
愛子ちゃんの彼氏は販売業で平日休みだから、こうして土日に誘ってもほぼOKが貰えるのだ。何から伝えればいいのか分からなかったけれど、とにかく彼氏が出来て、ラブホテルで初体験を済ませ、美香ネエにそれがバレて、来週土曜に彼氏が我が家を訪問するという展開を話したところ、たいそう驚かれてしまった。
「早いな」
「いや、でも自然とそうなったと言うか、お互いの感情が盛り上がってしまったの」
「そうじゃなくて交際1週間で両親に挨拶とかその彼氏、可哀想すぎない?」
「ごめん、なんか今までタブーだと思っていた官能の世界に片脚を突っ込んだらさ、頭の中がもうエロスのことでイッパイなのよ」
「そういえばどうして美香さんはそんな早朝にそんな場所にいたワケ?」
「愛子ちゃんたちは週に何回してる?場所は?時間はどのくらい?」
「昼間っからそういう質問すんな」
「だって考えるなって方が無理だし~。朝までイチャイチャしてたんだよ?何もかも新鮮で驚きの連続だったわ~」
ちなみにいま私は、愛子ちゃん宅で彼女お手製のお好み焼きなんぞを食べている。愛子ファミリーも外出していて不在なので、赤裸々な内容でも声高に語れるのだ。
「先に香奈ちゃんに伝えておくね。他人の閨ごとは訊かない方がいいし、比較なんて絶対にしちゃダメ。そんなものは参考にならないから。毎日してても別れる人は別れるし、長年してなくても死ぬまで寄り添うカップルもいるの。愛には、万人に通ずる数値やルールは存在しないってことをよく覚えておいてね」
「はいっ、しかと心に留めておきますですっ」
ホットプレートの上には2枚目のお好み焼きがジュウジュウ音を立てていて。焼けるのをワクワクと待ちながら、ふと思い出して言う。
「美香ネエ、接待で朝まで飲んでたんだって」
「えっ?うわあ、朝まで??今に体壊しそう」
美香ネエは、大手企業の営業部に所属しており。同期の男性社員に負けたくないという一心で、お得意様と朝まで飲み明かす日々を送っているのだ。美人で明るくてお酒好き。それを自らアピールしているため、宴席に誘われる率が異常に高く。その結果、オールナイトのサウナなどで仮眠をとってそこで着替えることも多いのだと。昨晩もラブホテル近くの入浴施設を利用したらしく、内藤さんを罵倒しながらも休日出勤だからと走り去って行った。
「もう焼けたかな?」
「ん、食べていいよ、香奈ちゃん」
豪快に鰹節を乗せながら愛子ちゃんは言う。
「でもまあ、両親に挨拶したからって、即結婚するワケじゃないか」
「ええっ、普通は結婚を意識してるでしょ?!」
「そんな考え、重いって。いい?香奈ちゃん。ずっと遊び歩いていた男がようやく1人の女に落ち着いた…それだけでも画期的なことなのよ。これ以上期待しちゃダメ、絶対に後で傷つくことになるから」
「お、重い??」
有り難い愛子アドバイスのお陰で、浮かれ気分がグッと引き締まり。そんなこんなで、アッという間に当日を迎えてしまうのだ。
0
お気に入りに追加
31
あなたにおすすめの小説

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。
松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。
そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。
しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。

出生の秘密は墓場まで
しゃーりん
恋愛
20歳で公爵になったエスメラルダには13歳離れた弟ザフィーロがいる。
だが実はザフィーロはエスメラルダが産んだ子。この事実を知っている者は墓場まで口を噤むことになっている。
ザフィーロに跡を継がせるつもりだったが、特殊な性癖があるのではないかという恐れから、もう一人子供を産むためにエスメラルダは25歳で結婚する。
3年後、出産したばかりのエスメラルダに自分の出生についてザフィーロが確認するというお話です。
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる