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大介さんへの気持ち
しおりを挟むいいえ、知ってましたけどォ…などと言える雰囲気では無い。
「最初はそれでも朝日が幸せになれるのならと我慢して祝福したけど、上司からアイツの聞き捨てならない情報を教えられてさ」
いちいち情報を小出しにしないで欲しい。早くチャチャッと結論を言ってくれないかな?ほら、もうすぐ目的地の喫茶店に到着するよ。
「女、とっかえひっかえだってさ」
「ああ、そうみたいですね」
なんだそんなこと。
もっと早く言ってくれればいいのに。
「へ?知ってたのか??」
「ええ、知ってましたよ」
でも内藤さんの本質に変わりは無い。女にだらしない部分を差し引いても十分お釣りがくるほど、あの人は素晴らしいのだから。
内藤さんと話していると、世界が広がる。
チッポケな自分がもしかして誰かの宝物になれそうな気がして、未来に期待したくなる。そう、希望だ。内藤さんは私に希望を与えてくれるのだ。何と説明すれば、彼の素晴らしさが伝わるのか。もどかしさに悶絶していると大介さんが再び口を開く。
「ま…さか、朝日、もうアイツと…?」
「いえいえ、そんなワケ無いですよッ」
あのモテ男の内藤さんが、私なんかを相手にするワケ無いでしょ…という意味で言ったのに。大介さんは『私もアナタに同調して内藤さんを貶しますよ』だと受け取ったようで、内藤さんのことを批判し続ける。
「どんな女とでも遊び感覚で寝ちゃうとかさ、ああいう男ってほんと理解出来ない」
でも、でもね。内藤さんはきっと本当の愛を探してて、今はそれが見つからないだけなんだよ。
>いつか、分かるよ
そう言った内藤さんの表情を思い出しながら、私はふと気付くのだ。
どうやらと言うか、やはりと言うか、
『憧れ』と『好き』は別モノらしい。
ようやく喫茶店に到着し、呑気に抹茶アイスクリームなんぞを食べながら私は改めて実感する。7年間も心をときめかせていた大介さんなのに、なんだか思ったよりも全然普通だなと。同年代と比べれば確かに考え方は大人っぽいし、心も広いように感じたけれど。内藤さんという本物の大人と過ごした今では、むしろ幼く見えてくる。
私、変だよなあ。
定例会に行くまでは一緒にいるだけでドキドキして、ロクに話すことも出来なかったのに。どうして今は、これほど冷静に大介さんを観察できるのか?
そっか、そうなんだ。
いつの間にか私は、内藤さんに心酔していたのだ。だから彼を批判した大介さんのことを、敵認定してしまったのだろう。
って、あはは。
内藤さんのこと好き過ぎかよ、私。
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