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内藤さんの長所
しおりを挟む「お客さん、早く食べないと焦げちまうよ!」
「えっ?あ、はい、すみません」
親父さんお得意の焼き方指導が入り、慌てて網上のものを皿へと移す。ハフハフ言いながら実はそれほど熱くないミノを、一心不乱に噛みながら内藤さんに質問する。
「もし私が大介さんと付き合ったら、こうして内藤さんとは会えなくなるんですよ。なんだかそれは、とってもとっても寂しいです。あのう、内藤さんはそれで平気なんでしょうか?」
「うん、だって俺は大人だからね」
嘘吐き。
本当に平気だったら、そんな顔はしないよ。
…そう思ったけど、ワザと口にしなかった。
そっか私、平気じゃないと分かって嬉しいんだ。
私が内藤さんとの時間を大切に思っているのと同じくらい、内藤さんも私との時間を大切にしてくれている。そのことが分かって、泣きそうなほど嬉しい。
「私ね、内藤さんとこうしている時間が、すっごくすごーく幸せなんですよ」
「バ、バーカ、そんなこと言ってると本当に誰とも付き合えなくなっちゃうんだからなッ」
いいじゃない。
別に彼氏がいなくても、いやそれどころか一生独身だったとしても、人は死ないのだから。
なのにどうして誰かを見つけなければいけないのだろうか?私は別に1人でも平気だし、こうしてたまに大好きな人と食事して、笑い合い、『あ~楽しかった』と呟きながら帰宅して寝るという生活でも十分満足しているというのに。
そう言う私に、内藤さんは目元をクシャクシャにしながら答えてくれるのだ。
「いつか、分かるよ」
「内藤さんは分かってるってことですか?」
普段ヘラヘラしているくせに、この人の返事はいつでも淀みが無い。
「少しね。でも完全に分かりたいとは思ってる」
「ふう…ん」
「あのさ香奈ちゃんの内側は、香奈ちゃんにしか見えないだろう?そして俺が外から見ている香奈ちゃんとは多分、かなりのズレがあるワケだよ」
「はあ…」
こんな小娘に本気で向き合うところが、内藤さんの長所なのだと私は思う。そして、内藤さんの有り難いご高説はまだまだ続く。
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