80 / 111
<茉莉子>
その80
しおりを挟むガラス張りで丸見えになってしまう浴室は、残された方が背を向けて座ることで解決したが、問題はその後だった。
「あ~、サッパリしましたわ。って、何ですか、コレッ?!」
「…え?ああ、母さんがそれを着させろってさ」
シンプルなコットンのパジャマだったはずが、いつの間にかエロ下着にすり替わっている。黒のスケスケレース素材なせいで、隠すべき部分が全然隠れてくれない。
言わせていただくが、不肖・小椋茉莉子、顔はともあれスタイルは無駄に良いのだ。ボンキュッボンのダイナマイトボディである。
「いや…無理ですってこんなの。脱いだ服を着させて…って、あれ?無いッ」
「洗濯しますと言って家政婦が持ってったぞ」
「じゃ、じゃあ何か部屋着を貸してください!榮太郎の部屋着をッ」
たぶん私の目は血走っているだろう。そのくらい、このエロ下着は着たくないのだ。
「ごめん、貸したくない。だって…それ着てるところを見たいもん」
は、はああああん?!
何言ってるんだこの男はッ。
「だって俺、28年間も性交渉を禁じられてて、ようやく生身の女性と一夜を共にするんだぞ?悪いがそういう演出は望むところだよッ!指南がダメなら、そのくらいサービスしてもいいじゃないか!
だってっ!28年なんだぞ、28年!!」
熱すぎるパッションに絆されたと言うか、なんかもう不憫に思えてきて、仕方なく私はそれを身に纏うのである。
ふあさっ
(巻いていたバスタオルを外す音)。
スルスルスー
(スケスケショーツ装着)。
カチ、クイクイ
(スケスケブラジャー装着)。
仕上げに鏡で己の姿を映してみる。なんだコレ、恐ろしい破壊力だぞ。
意味なく後ろ姿のチェックしようと、お尻を突き出しながら振り返ってみた時に
「入るぞ」
「う、ええっ?!…あ」
痺れを切らした榮太郎が突入して来た。
だ、大丈夫。この姿勢ならば被害は尻だけだ。
しかし、右肘で両胸を、左手で下腹部を隠しながら前屈みになっている私の両手首を榮太郎はガッシリと掴み。そのまま真っ直ぐ立たせてしまった。
「うっ、こ…れは…」
「あんまりジロジロ見ないでくださいよ」
未だかつてこれほどまでに舐めるような視線を受けたことが無いので、一生分の羞恥心を使い果たした気がする。
「な、なんなんだよコレ」
「な、何がですか?」
「こんなカラダしてんの、反則だよ…」
「へ?ひゃあん」
突然、胸を…それも粒っぽい…ええいハッキリ言ってやろう、乳首!乳首をつままれて驚く。
「あ、ツンと尖ってきた」
「な、ななな、なに触ってんですかッ」
「ごめん。そっちも俺を触っていいから」
「さ、触りませんよッ。だから榮太郎もお触り禁止…って、ああん」
触りまくられていたりして。
「こんなの触るなって方が無理だろ?」
「やだ、ちょっと、ヤメ…」
カワイイと思っていても、やはりオスはオス。欲望大放出でギラギラしている榮太郎は最早、私の知っているその人では無くなっていた。
「ヤバイヤバイ、なんかもう…」
「むー、むー、」
掴まれた両手首を天井に向かって掲げられ、抵抗することも出来ないままキスをされる。未経験とは言え、キスはそれなりの回数をこなしているのだろう。
とにかくメチャクチャ上手かった。
アメリカ留学の際にちょっとだけ付き合ったジョージよりも、フランスで言い寄って来たエンゾよりも、エイタローの方が上手!!!
ダメだダメだと自分を抑えることが、余計に感情を高ぶらせてしまうらしく。自分でも驚くほど欲しくなってくる。だって、かなり長い間そっちはご無沙汰だし!女にも性欲は有るし!こんな下着姿の自分にも興奮してるし!
目の前の男が非の打ちどころの無い相手で、しかも私を求めているというこの事実。必死に抗う理由を探してみたが、どれも呆気なく消されていく。
「…ごめん、ルール違反だったよね。もう、しないから」
「えっ?!ああっ、うん…」
せっかくその気になったというのに、それとは逆で榮太郎の方が正気に戻ったらしく。ポンポンと私の背中を撫でたかと思うと、拍子抜けするほどアッサリ離れていった。
そしてその晩は、何事もなく眠ったのである。
2
お気に入りに追加
37
あなたにおすすめの小説

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。

小野寺社長のお気に入り
茜色
恋愛
朝岡渚(あさおかなぎさ)、28歳。小さなイベント企画会社に転職して以来、社長のアシスタント兼お守り役として振り回される毎日。34歳の社長・小野寺貢(おのでらみつぐ)は、ルックスは良いが生活態度はいい加減、デリカシーに欠ける困った男。
悪天候の夜、残業で家に帰れなくなった渚は小野寺と応接室で仮眠をとることに。思いがけず緊張する渚に、「おまえ、あんまり男を知らないだろう」と小野寺が突然迫ってきて・・・。
☆全19話です。「オフィスラブ」と謳っていますが、あまりオフィスっぽくありません。
☆「ムーンライトノベルズ」様にも掲載しています。
転生無双の金属支配者《メタルマスター》
芍薬甘草湯
ファンタジー
異世界【エウロパ】の少年アウルムは辺境の村の少年だったが、とある事件をきっかけに前世の記憶が蘇る。蘇った記憶とは現代日本の記憶。それと共に新しいスキル【金属支配】に目覚める。
成長したアウルムは冒険の旅へ。
そこで巻き起こる田舎者特有の非常識な勘違いと現代日本の記憶とスキルで多方面に無双するテンプレファンタジーです。
(ハーレム展開はありません、と以前は記載しましたがご指摘があり様々なご意見を伺ったところ当作品はハーレムに該当するようです。申し訳ありませんでした)
お時間ありましたら読んでやってください。
感想や誤字報告なんかも気軽に送っていただけるとありがたいです。
同作者の完結作品「転生の水神様〜使える魔法は水属性のみだが最強です〜」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/743079207/901553269
も良かったら読んでみてくださいませ。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる