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無敵の男
しおりを挟む予想外の展開過ぎて、ついて行けない。
いや、それ以前にそんなにグイグイ喉元を締められたら…あ…なんか意識が遠のいて来た…。
「えっ?あのっ、コ、コトリさん??」
「し…ぬ…」
「やだ、死なないで!ダメだよ、俺を残して死なないでッ」
「のど…、息、出来な…」
ようやく己の愚行に気付いた浦くんが腕を離し、ソファに仰向けで横たわった私が新鮮な空気を思いっきり鼻腔から吸い込ん…でいると…。
暫くしてこれまた、予想外の展開。
「ちょっ、こら、何してんのよッ」
なぜか私の上に浦くんが覆い被さって来た。しかもご丁寧にオッパイ鷲掴みである。
「だって、性指南をしてくれるって言ったのに、まだその約束を果たしてくれてないでしょう」
「こ、この状況でソレを言う?だって今、浦くんは私を口説いてたよね?付き合って欲しいって言った相手を、いきなり襲ったりしたらダメでしょ?」
なぜかフルフルと首を左右に振って彼は答える。
「それはそれ、これはこれ」
「は、はあん?そんなの都合良すぎるよ!」
ジタバタと手足を動かすと、私の両脚の間にスルリと自分の体を捻じ込み。続けて、器用に片手でTシャツを脱ぎ始めた。
あらヤダ、意外と筋肉質でステキ…とか思ってる場合じゃない。次はハーフパンツに手を掛けてるしッ。
ていうかさ、なんで自分から先に脱いじゃうの。普通は女性…あ、パンツ1枚になっちゃった。あらヤダ、この人の体型、すっごく好みだわ…。
今でも忘れない。
その昔1カ月だけ付き合った男は超イケメンで、どこを歩いても注目の的だったのだが…悲しいことに残念ボディだったのだ。
若いのにお腹が出ていて、乳首の間隔なんかも異常に離れ、極めつけが撫で肩だったのである。
彼が服を脱ぐたび、妙に不安な気持ちになった私はある日突然、このバランスの悪い体に抱かれるのはイヤだと思ってしまい、別れを告げた。
『そんなことくらいで』と言う勿れ。人間というのは沢山のパーツで形成されており、頭部だけで生きているワケでは無いのだ。
だからベビーフェイスなクセしてマッチョだったとか、胴体に比べて顔だけが凄く大きいとか、トータルで見てみるとその人のイメージがグッと変わることは往々にして有るワケで。
…ていうかさ、浦くんアンタ卑怯だよ。そんなフツメンの顔して、どうしてそんなにカラダが素晴らしいの??その程好い筋肉の付き方とか、ウエスト部分のくびれ具合とか、肩から腕までの流れるようなラインとか…ああ、もう、下着まで私好みだわ。
ローライズのボクサーパンツって大好き!!腰で履いてる感じがね、なんか色っぽいよねえ。
「あっ」
「え?きゃっ」
股間部分を凝視していると、自称EDだったはずの浦くんに変化が起きた。
「ちょ、見てくださいよコトリさんッ!俺のが、俺の俺がこんな元気に…、良かった俺」
「オレオレうるさいな。オレオレ詐欺かっての」
「いや、今どきはもう『オレオレ詐欺』なんて言わないし。コトリさんったら古いなあ、もう」
「じゃあ何て言うのよッ」
勿論、本気でこんな話をしたいワケでは無い。しかし、何だかもう止まらないのである。
「『振り込み詐欺』ん?いや、『振り込め詐欺』でしたっけ?」
「どっちでもいいわよッ」
そんな会話を続けながら、いつの間にか最後の一枚が躊躇なく膝まで下ろされた。
だからなんで先に全裸になるの??
私、一度でもOKしたっけ??
そんな抗議の視線を感じたのか、膝から足首へボクサーパンツを移動させながら浦くんは言う。
「さあ、これでもう恥ずかしくないでしょ?コトリさんも脱ぎましょう!」
「は?はああ?はあああ?」
スッポンポンなのに、すごく爽やか。
全く隠す気は無いらしく、立膝を着いて両手を広げ…ついでに浦くんが言うところの『俺』も丸見え状態である。
「さあ、早く」
「ちょっ、やだ、もおおおっ」
私がここまで抵抗するのには理由が有る。
…だってこの人、本気なんだもん。
今までの男たちは、上手く躱せた。
というか、彼らは本当にペラッペラに軽かったので一晩限りでも可、後日改めて呼び出しても気軽に相手をしてくれて、後腐れなかったのだ。
ところが浦くんは違う。なんだかもうブラックホールのようなド迫力で、私を吸い込もうとしているのである。
こんなのと寝たら、絶対に大変だ。せっかく幸せになる決意をしたというのに。男断ちして、いつでも最高の彼氏ウエルカム!という状態で待機しているというのに。
コレと寝たら、他の男へ向かうことを許してくれないだろうし、すなわち私の“最高の彼氏”はこの男に決定したということになってしまう。
コレ?
ねえ、コレでいいの??
私は自分で自分に問う。
フツメンだし4つも年下だし将来性はゼロだし。最大の難点は、この男と付き合い、そしてもし別れた場合は最高の男友だちも同時に失うのだ。
やっと出会えた心を許せる男友だちを、そんな容易く失って良いのだろうか?
「…えっと、浦くんって実は、どこかの御曹司だったとかしたりしないよね?」
「は?!前にも言ったでしょ、両親は小料理屋を細々と営んでるだけですし、祖父母も普通の一般庶民ですよ」
ごめんね。これから言うことはワザとあなたを傷つける為、そう、私を諦めさせるために言うんだよ。
「悪いんだけどさ、私これでも中林建設の社長令嬢だし。その…一般家庭で生まれ育った人間とは釣り合わないって言うかァ…」
チュッ。
へ??この状況で何故にキスをしたのだ??
驚き過ぎて目を見開くと、浦くんはこう答えた。
「だからイイんじゃないですか。普通の家庭に育ってる普通の人間ですけどね、何もかもコトリさんの父親とは真逆でしょ?」
「え?…あ、…うん」
上目遣いで微笑むその表情は最早、無敵だ。
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