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第11話 台風の日の朝

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 それは夏の中頃、

「ううー……暑いのう……」

「そうですか?現代よりはだいぶ涼しいですよ」

「未来はこれよりも暑いのか!?未来の人は凄いな……」

 外の木が大きく揺れる。

「しかし、風が強いな。涼しいから良いが」

「……これって台風じゃないですか?」

「……確かにそうかもしれんな……少し様子を見よう」

 少し時間が経ち、

「……風もっと強くなってますね」

 卑弥呼は立ち上がる。

「村の人達に台風の事を言うから、手伝ってくれ」

「分かりました」

 谷崎と卑弥呼は村の人達に台風の事を伝えた。

 そして、夜になると、

 ビューーーン!

「やっぱり台風じゃったか。風通しが良いから少し肌寒いな……」

 卑弥呼は身震いをする。外を見ると台風で木が揺らされ、落ち葉も舞っていた。

「……前の日みたいになりませんよね……」

「はて、前の日……あ!前みたいにはならないわ!……なるかもしれんな……」

「そこは否定してください……」

 谷崎と卑弥呼は寝る準備をする。今回は谷崎の寝床の分も準備されている。

「まあ、もう夜遅いし、寝られなくても寝床には入ろう」

 二人は寝床に入る。

「雷が鳴ったら……よろしくな……」

「……分かりました」

 数十分後、

 ビュオーーーー!

「……寝れんな」

「寝れませんね……」

 二人は顔を出し、喋る。

「少し話でもするか。……そういえば晴人は何歳なんじゃ?」

「25歳です」

「25歳か!結構歳を取っていたんじゃな」

「卑弥呼さんは何歳なんですか?」

 卑弥呼はジト目で言う。

「……晴人は女性に年齢を聞くのか?」

「いや、そういうわけじゃ……」

 卑弥呼は笑う。

「冗談じゃ。確か……二十三だったかの」

「僕の年下なんですね」

「晴人は妻はいるのか?」

 卑弥呼から唐突に妻がいるのかを聞かれた。

「え?いませんよ」

「いないのか?この歳で」

 目を大きく開けて聞かれた。

「……酷くないですか?」

「いや、村の人達はもう結婚している年齢じゃぞ」

「未来だと結婚しない人も多いんです」

「そうなのか……未来は色々変わるのだな」

「1800年経ってますからね」

「あ、そうだ、未来の便利な道具などあるのか?」

 谷崎は顎に手を当てて考える。

「いっぱいありますよ。例えば……食べ物をすぐに温めることができる電子レンジとか暑くても涼しく過ごせるエアコンとか……今、ここにあるスマホも、未来では電気を使った便利な道具が沢山あります」

「電気を使った道具……電気はどのようなものじゃ?」

 谷崎は考える。

「んー、雷みたいなものですかね……」

「か、雷!?」

「雷ではないんですけどそれと同じようなものです」

「み、未来人は恐ろしい……」

 卑弥呼は電気は雷に似たものと知り、震える。

「よし、話はここまでにしてもう寝よう」

「はい、お休みなさい」

「お休みな、晴人。……しかし本当に寒いな……」

 そして二人は眠りについた。

……………………………………………………
 
 翌朝、まだ太陽が登り始めた時

(んん……朝か……まだ外は風が強いな。ん?でもそんなに寒くないぞ。なんでだろ……え、」

 谷崎の布団の中に……卑弥呼がいた。

(え、なんで一緒に寝てるの?)

 すると卑弥呼は目を覚める。

「……あ、おはよう晴人」

「おはようございます……じゃなくて!なんで僕の布団の中にいるんですか!?」

 卑弥呼はきょとんとする。

「え?だって、寒かったからの」

「寒かったからじゃなくて、一緒に寝たらだめですよ!」

「えー……」

 すると、卑弥呼は谷崎に体をもっと近づけ、ニヤッとする。

「こんな感じでな。身を寄せるとな寒い日も暖かく過ごせるのじゃ!」

「は、離れてください!」

「嫌じゃ!」

 谷崎は起きようとするが、できない。後ろから卑弥呼が強く抱きついてくるのだ。

「……力、強くないですか?」

「こんな事があろうかと、鍛えていたのじゃ!」

「どんな事ですか!?」

「まあまあ、起きるにはまだ早い。あと、もう少し寝よう!」

「えー……」

 このあと一時間ほどこの状態だった。卑弥呼はぐっすり寝ていた。

 だが谷崎は背中に何かと言わないが卑弥呼のものがめちゃくちゃ当たっていたのだ。

 当然付き合った事もない谷崎は寝ることができなかった。
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