上 下
162 / 607
第四章 聖樹世界エルファリア編

第27話 ダークエルフの秘密2

しおりを挟む

最後の尋問は、グリフォンの乗り手である。


通信機を隠し持っていた若い男を選んだ。 丸顔で、一見すると優男だ。
エルフにも丸顔っているんだね。

『ご主人様ー、丸顔って何?』

ああ、そうだね。デロリンみたいな丸い顔だよ。

『なるほどー』

点ちゃん、どんどん語彙を増やしてるな。おっと、今は尋問中だった。

まずは、前の二人にしたのと同じ警告をする。

「ふん、お前のような小僧に何ができる」

どうやら、立場が分かっていないようである。 俺は、奴の右手の神経を遮断した。

「て、手が動かない! あー!」

手を押さえて、叫んでいる。

「警告はしたぞ。 次は左足だ」

「ま、待ってくれ。 何でもしゃべる。 頼むから」

グリフォンライダーなのに、一番根性無しってどうよ。

「お前は、どうやってこの場所まで来た?」

「み、『南の島』から、飛んで来た」

「嘘は、ばれないようにつけ。
俺達がフェアリスを開放してからお前達が来るまで、そんなに時間が掛かっていない」

俺は、奴の目を覗きこんだ。丸顔が目をそらす。

「それに、どうみても『南の島』からここまでは、グリフォンの飛行範囲を超えてるだろ」

「で、でも……ぐあ! 目、目がぁ!」

「約束は左足だったが、お前が嘘をついたから、おれも嘘をついたぞ」

男は、頭を下げ、こちらに突進してきた。俺は、そのまま、それを体で受けとめた。

ガンッ

「ぎゃっ!」

床に倒れた男は、動く方の左手で、頭を押さえている。まあ、鉄板に頭をぶつけたようなもんだからね。

「もういいだろう。 お前は信用できない。 もう一方の目と、両足ももらおう」

「や、やめて、やめてください! ボクのパパは、議会のメンバーです。
欲しいものは、何でも差しあげますから」

パパと来ましたか。まあ、甘やかされて育った坊ちゃんだね。俺と気が合わないのは、当たり前か。

「まあ、どうでもいいがな。最後にもう一度だけ聞いてやる。ここまで、どうやって来た?」

「ぽ、ポータルを使って来ました」

「ポータル? 『南の島』のどこに入り口がある?」

「そ、それは、『緑山(みどりやま)』です」

「それは、どこだ?」

俺は、奴に点魔法のパレットを見せた。そこには、上空から映した『南の島』の映像が出ている。

「こ、これは一体!?」

「いいから、早く指させ」

丸顔が指さした場所をさらに拡大する。氷雪地帯の中に、緑色の山がある。

「これの何処だ?」

奴が指さしたところを拡大すると、洞窟のようなものが見えた。さっそく位置を記録する。

「ここのポータルから入ると、どこに出る?」

「学園都市世界の島です」

研究者の発言と合致するな。

「そこから、どうやって『西の島』に来るんだ?」

「その島の隣の島にもポータルがあるんです」

なるほど、だから簡単にここまで来れたんだな。
学園都市にいた時に映しておいた群島の映像で、二つのポータルの位置を丸顔に確認しておく。
もちろん、『西の島』のポータルの位置も確認する。
そこは、思った以上に、この廃墟から近かった。

「よし、これが最後だ。
先ごろ、『東の島』で魔獣が暴走して町を襲ったが、その件について知っていることを話せ」

奴は、一瞬ごまかそうとしたようだが、俺と視線が合うと、諦めたように話しだした。

「詳しいことは知りません。 
ただ、そのことについて、パパが他の議員と話しているのは聞いたことがあります」

「どんな内容だった?」

「失敗した女を『西の島』に送るって言ってました」

「何のために?」

「ボクらの国は死刑がないので、重い罪を犯した者は、島に送るんです」

なるほどね。 俺は、一応その場所も聞いておいた。



尋問で分かったことから、これからの計画を組み立てていく史郎だった。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

チート幼女とSSSランク冒険者

紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】 三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が 過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。 神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。 目を開けると日本人の男女の顔があった。 転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・ 他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・ 転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。 そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語 ※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である

megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。

人間だった竜人の番は、生まれ変わってエルフになったので、大好きなお父さんと暮らします

吉野屋
ファンタジー
 竜人国の皇太子の番として預言者に予言され妃になるため城に入った人間のシロアナだが、皇太子は人間の番と言う事実が受け入れられず、超塩対応だった。シロアナはそれならば人間の国へ帰りたいと思っていたが、イラつく皇太子の不手際のせいであっさり死んでしまった(人は竜人に比べてとても脆い存在)。  魂に傷を負った娘は、エルフの娘に生まれ変わる。  次の身体の父親はエルフの最高位の大魔術師を退き、妻が命と引き換えに生んだ娘と森で暮らす事を選んだ男だった。 【完結したお話を現在改稿中です。改稿しだい順次お話しをUPして行きます】  

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった! でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、 他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう! 主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!? はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!? いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。 色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。 *** 作品について *** この作品は、真面目なチート物ではありません。 コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております 重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、 この作品をスルーして下さい。 *カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。

天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生

西洋司
ファンタジー
妙齢の薬学者 聖徳晴子(せいとく・はるこ)は、絶世の美貌の持ち主だ。 彼女は思考の並列化作業を得意とする、いわゆる天才。 精力的にフィールドワークをこなし、ついにエリクサーの開発間際というところで、放火で殺されてしまった。 晴子は、権力者達から、その地位を脅かす存在、「敵」と見做されてしまったのだ。 死後、晴子は天界で女神様からこう提案された。 「あなたは生前7人分の活躍をしましたので、異世界行きのチケットが7枚もあるんですよ。もしよろしければ、一度に使い切ってみては如何ですか?」 晴子はその提案を受け容れ、異世界へと旅立った。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

ぐ~たら第三王子、牧場でスローライフ始めるってよ

雑木林
ファンタジー
 現代日本で草臥れたサラリーマンをやっていた俺は、過労死した後に何の脈絡もなく異世界転生を果たした。  第二の人生で新たに得た俺の身分は、とある王国の第三王子だ。  この世界では神様が人々に天職を授けると言われており、俺の父親である国王は【軍神】で、長男の第一王子が【剣聖】、それから次男の第二王子が【賢者】という天職を授かっている。  そんなエリートな王族の末席に加わった俺は、当然のように周囲から期待されていたが……しかし、俺が授かった天職は、なんと【牧場主】だった。  畜産業は人類の食文化を支える素晴らしいものだが、王族が従事する仕事としては相応しくない。  斯くして、父親に失望された俺は王城から追放され、辺境の片隅でひっそりとスローライフを始めることになる。

処理中です...