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第四章 聖樹世界エルファリア編

第3話 神樹の巫女

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エレノアは、神樹の巫女について説明を始めた。


「神樹の巫女はね、ある種族で神樹と会話できる女性が選ばれるの。
なぜか会話できるのが女性だけなので、『神樹の巫女』と呼ばれるようになったの」

エレノアは、少し離れて話を聞いていたモリーネを手招きした。

「エルフでは、このモリーネが選ばれたの。 まだ小さな頃にね」

「神樹の巫女は、どのくらいの数いるのですか?」

「種族によって違うわ。 狐人には、巫女の素質を備えた者が比較的多く生まれる。
人族は、非常に稀ね。 エルフは、その中間。 でも、決して多くはないわ」

彼女は俺の方を見て、ゆっくりした口調で言葉を続けた。

「神樹は巫女を通して、いろいろなことを教えてくれるの。 
天災がいつ、どこで起こるかとか。 そういう大きな規模の予知が多いわ」

エレノア、モリーネ、コルナが視線を交わす。

「でも、ごく稀に個人についても予言することがあるの。
シロー。 あなたが、そのケースよ」

「え!? 俺ですか?」

そういえば、狐人領の神樹様が、俺について含みのあることを言ってたな。

「私の娘、ルルが、あなたと近しい関係になったのは偶然ではないかもしれないわね」

何か大きな力が働いているっていうことか。

「あなたが獣人を救い、学園都市世界を変えた事は、これからのポータルズに大きな波を起こすわ。
私達は自分に出来ることで、あなたのお手伝いをするつもりよ」

コルナもモリーネも、初めて会った時に俺を知っているそぶりりだった。
あれは、そういう事だったのか。

「依頼も受けていますし、まずはモリーネをお城へ連れていくつもりです」

「ああ、意識して行動する必要はないわよ。 あなたが、したいことをすればいいの」

エレノアが微笑んだ。 ルルが時々する微笑みにそっくりだ。 さすが、親子である。

「じゃ、シロー。 お城までよろしくね」

モリーネが俺の腕を取る。

「お兄ちゃんを助けるのは、私だから」

コルナが、もう一方の腕を取る。

「シロー……」

お茶のお替りを持ってきたルルが、固まっている。

「ルル、これは、誤解だから……」

「ふぁふぁふぁー!  ルル、見よ、この男の姿を。さあ、諦めてパパのところに帰ってきなさい」

気絶から覚めたレガルスさんが、男前らしからぬ変な笑い声を立てる。

「ややこしくなるから、あなたは黙ってて!」

スパパーン!



しかし、あのハリセン棒、どっから出してるんだろう。
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