ポータルズ -最弱魔法を育てようー

空知音

文字の大きさ
上 下
78 / 607
第二章 獣人世界グレイル編

第21話 付与

しおりを挟む


史郎は、スキル確認のため、点魔法でパレット(板)を作った。


みょんみょんピーン

パレットに、スキルという文字が出てくる。

スキルをチョンと。

レベル10 連結

レベル11 付与 

点ちゃん、今使ったのどっち?

『付与ですよー』

付与って、どういう意味?

『ぺたっとくっつける、っていう意味です』

何をくっつけるの?

『今回は、点に治癒魔術を付与しました』

なるほど、だからコウモリ男の体が良くなったのか。

でも、なんで治癒魔術が付与できたの?
俺、治癒魔術なんて使えないよ。

『今のレベルでは、基本的な魔術属性を付与できるようです』

基本的な魔術属性?

『火、水、風、土、雷、聖、闇です』

治癒魔術が無いけど・・

『治癒魔術は、聖に含まれます』

聖という属性に含まれる魔術を、付与できるということか。

『そうみたいです』

こりゃ、膨大な検証が必要になりそうだな。

じゃ、コウモリには、このまま点をくっつけておいて、ときどき治療魔術かけてやってくれる?

『分かりましたー』

点ちゃん、帰って来てくれてありがとう。
すごく、うれしいよ。

『えへへ(〃´∪`〃)ゞ』

じゃ、後で、点ちゃんがいない間に起こったことを伝えるからね。

『はーい、待ってますよー』

------------------------------------------------------------

ギルドメンバーは、手分けして様々な仕事をこなしていった。


アンデは、獣人会議の長、狐人族のコルナに魔道具で連絡を取っている。

森へ避難させた村の衆を呼びに行く者、聖女の追跡を行う者と、いくら人出があっても足りない。

俺は舞子の捜索隊に加わりたかったが、至急すべき仕事が出来たので、そちらに回された。

それは、まだ少し燻っている火の鎮火である。

煙が出ている屋根に点を飛ばし、そこで水を発生させる。
もちろん、これは、水魔術の属性付与によるものだ。

30分もたたないうちに、燻っている屋根が無くなった。

焼け落ちた家は、どうしようも無いから、手をつけていない。

俺は、点ちゃんと相談して土魔術で家を作ることにした。

まず、木の棒で地面に屋根部分の設計を書き、その形に土地を持ち上げていく。

最初は上手くいかず、ばらばらになってしまったが、固めながら持ち上げることで、壊れることが無くなった。

屋根部分を持ち上げると、次は壁と柱である。
これも、位置を確認しながら作り上げていく。

地面から、タケノコのように家が伸び上がっていく様は壮観だった。

家が燃えてしまい、意気消沈していた村人が、ものすごく喜んでいる。

長は、渋い顔をしている。

まあね。 魔道具や魔法が無い生活を目指しているわけだから、いい気持ちはしないかもね。

しかし、今日明日、住むところが無ければ、どうしようもないでしょ。

なんなら、木で家を立てた後、こちらは壊してもいいわけだから。

二軒目以降は、要領が分かっているから早い。
一軒が30分ほどで、出来上がっていく。

暗くなる前に、焼け落ちた家の分だけ、土の家が出来た。

子供たちは、家の中をぐるぐる駆けまわっている。

家が焼け落ち無かった村人たちが、なぜか残念そうな顔をしている。

ついでだからということで、俺たちがテントを立てていた場所に、ギルドメンバー用に土の家を作ることにした。

こちらは、大人数が宿泊するので、二階建てにしてみた。

アンデとギルドメンバーは、中に入ると呆れた顔をして各部屋を見回っていた。

「今回の事で、お前が金ランクだって理由がよく分かったぜ」

いや、土魔術使えるようになったの、ついさっきですからね。

「ところで、なぜ聖女を襲ったか、奴らは理由を話しましたか?」

「ああ、虎人のやつらは、大体な。 
人族に言われてやったらしい。」

「虎人は、人族の手先だったってことですかね」

「ああ、十分あり得るな。
それなら、今まで南部への斥候が帰ってこなかったことも理由が付く」

俺は、舞子をさらった虎人の一味にキャンピーがいたことを報告した。

「なにっ!! 
あの野郎も、奴らとグルだったのか」

アンデは、ものすごく悔しそうな顔をしている。
自分たちからも裏切り者が出たとなると、虎人族を責める矛先が鈍るだろう。

「あとな、あの捕まえた人族の奴だけは、どうしても口を割らん。
あいつさえしゃべれば、虎人族の本当の目的も分かるんだが」

「ギルマス、あいつは俺に任せてくれませんか」

アンデは、じっと俺の目を見てからこう言った。


「よし、分かった。 やってみろ。  だが、殺すんじゃないぞ」
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

文字変換の勇者 ~ステータス改竄して生き残ります~

カタナヅキ
ファンタジー
高校の受験を間近に迫った少年「霧崎レア」彼は学校の帰宅の最中、車の衝突事故に巻き込まれそうになる。そんな彼を救い出そうと通りがかった4人の高校生が駆けつけるが、唐突に彼等の足元に「魔法陣」が誕生し、謎の光に飲み込まれてしまう。 気付いたときには5人は見知らぬ中世風の城の中に存在し、彼等の目の前には老人の集団が居た。老人達の話によると現在の彼等が存在する場所は「異世界」であり、元の世界に戻るためには自分達に協力し、世界征服を狙う「魔人族」と呼ばれる存在を倒すように協力を願われる。 だが、世界を救う勇者として召喚されたはずの人間には特別な能力が授かっているはずなのだが、伝承では勇者の人数は「4人」のはずであり、1人だけ他の人間と比べると能力が低かったレアは召喚に巻き込まれた一般人だと判断されて城から追放されてしまう―― ――しかし、追い出されたレアの持っていた能力こそが彼等を上回る性能を誇り、彼は自分の力を利用してステータスを改竄し、名前を変化させる事で物体を変化させ、空想上の武器や物語のキャラクターを作り出せる事に気付く。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

チート幼女とSSSランク冒険者

紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】 三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が 過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。 神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。 目を開けると日本人の男女の顔があった。 転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・ 他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・ 転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。 そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語 ※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

異世界でタロと一緒に冒険者生活を始めました

ももがぶ
ファンタジー
俺「佐々木光太」二十六歳はある日気付けばタロに導かれ異世界へ来てしまった。 会社から帰宅してタロと一緒に散歩していたハズが気が付けば異世界で魔法をぶっ放していた。 タロは喋るし、俺は十二歳になりましたと言われるし、これからどうなるんだろう。

異世界無宿

ゆきねる
ファンタジー
運転席から見た景色は、異世界だった。 アクション映画への憧れを捨て切れない男、和泉 俊介。 映画の影響で筋トレしてみたり、休日にエアガンを弄りつつ映画を観るのが楽しみな男。 訳あって車を購入する事になった時、偶然通りかかったお店にて運命の出会いをする。 一目惚れで購入した車の納車日。 エンジンをかけて前方に目をやった時、そこは知らない景色(異世界)が広がっていた… 神様の道楽で異世界転移をさせられた男は、愛車の持つ特別な能力を頼りに異世界を駆け抜ける。 アクション有り! ロマンス控えめ! ご都合主義展開あり! ノリと勢いで物語を書いてますので、B級映画を観るような感覚で楽しんでいただければ幸いです。 不定期投稿になります。 投稿する際の時間は11:30(24h表記)となります。

ペット(老猫)と異世界転生

童貞騎士
ファンタジー
老いた飼猫と暮らす独りの会社員が神の手違いで…なんて事はなく災害に巻き込まれてこの世を去る。そして天界で神様と会い、世知辛い神様事情を聞かされて、なんとなく飼猫と共に異世界転生。使命もなく、ノルマの無い異世界転生に平凡を望む彼はほのぼののんびりと異世界を飼猫と共に楽しんでいく。なお、ペットの猫が龍とタメ張れる程のバケモノになっていることは知らない模様。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...