上 下
26 / 607
第一章 冒険者世界アリスト編

第24話 なんでこうなった

しおりを挟む

ギルトからの帰り道、三人のアウトローに襲撃を受けた翌日の事。


今日は、ギルドに行く途中で、三人組が出てきた。

「おい、今日は昨日のようなわけにはいかねえぞ」

いきなり飛ばすね~、今日のキツネは。

「アニキ、頼みますぜ」

お! そのセリフ、生で聞けましたか。
いや~、いいもの聞いたな~。

建物の陰から、ゴリラっぽい大男が出てくる。

名前?  もう「ゴリさん」でいいでしょ。

うわっ、何その武器!
でっかいハンマーか。 
当たったら死ぬぞ。

ブンッ♪ (ゴリさん、フルスイング)

ガンッ♪ (ハンマーが史郎の身体に弾かれる)

ボキッ♪ (ゴリさんの腕から変な音が)

「ぐえっ」♪ (ゴリさんの悲鳴)

ドンッ♪ (折れたハンマーの先がモヤシの足に)

ボキッ♪ (モヤシの足から変な音が)

「ぐあっ」♪ (モヤシの悲鳴)

おっ、リズム感いいな。

あー、折れたハンマーの頭が、モヤシの足の上に落ちちゃったか。

これは痛い。 
見るからに痛い。

あれ、ゴリさん。 
なんで腕押さえてうずくまってるの?
あー、腕の骨が折れちゃったかー。


お大事にね。


呆然としているキツネとタルを無視して、史郎はそのままギルドへ向かった。

--------------------------------------------------------------------

次の日。


前日と同じ場所で、また三人組が出てきた。
モヤシは、松葉杖ついてるね。

「今日こそ、あの世へ行ってもらうぜ」

キツネは、今日も飛ばしてるね~。

「ボス、お願えしやす」

お、ラメ入りのキラキラした服着てる。
サングラス、この世界で初めて見たよ。

手には、高そうな剣を持ってるね。
伊達男って感じかな。

今まで、動物キャラや野菜キャラばっかりだったから、やっと人間キャラが現れた感じ。

お、すらりと剣を抜いたね。
様になってる。

すかさずキツネが差し出した、大根みたいな野菜を真っ二つですか。
え、でも大根ですからね。 
包丁でも切れますよ?

「死ねっ」

ブンッ♪ (ボスがフルスイング)

ボキッ  (剣が史郎の身体に弾かれて折れる)

「ぐえっ」(ボスの悲鳴)

剣が折れちゃいましたか。

あちゃ~、高価な剣がもったいないね。

えっ? あなたもですか。 
どうして、みんな腕の骨を折っちゃうかな。

なんかね~、緊張感無いなー。

--------------------------------------------------------------

次の日は、今までと一味違った。


腕を包帯で吊ったキンキラボスをはじめ、同じく腕を吊ったゴリさん、キツネ三人組、見たことない顔がプラス10人ほど。
道の真ん中で土下座している。

「アニキと呼ばせておくんなさい!」

ボスが叫んで、さらに頭を下げる。
おでこ、地面にくっついちゃってるよね、それ。

呼ばせておくんなさいって言われてもねえ。

どーすんのこれ。 
通行の邪魔だよ。

ルルが通りかかった。

ここのところあったことを話すと、モヤシの松葉杖を手にして、片っ端から殴りつけてた。

まあ、小さいときから冒険者やってるからね~。
銀ランクだからね~。

ルルは、かなり短くなった松葉杖をポイってすると、俺の手を取った。

「行きましょ、旦那様」

あー、いくらか通行しやすくなったから、町の迷惑にはならないよね。

----------------------------------------------------------------------

二日後、小さな依頼をこなしてギルドから帰ると、家の中にキツネ達がいた。

おいおい、なんでいるんだよ、お前ら。

床を拭き掃除している者、食器を洗っている者、洗濯している者。

なんか、キツネグループが家事をしてるみたい。

トイレを掃除しているのは、ボスですかい。

「君達、これはどういうことだい」

ちなみに、こいつらとしゃべったの、これが初めて。

「へい。 アニキと姐さんのために、できることを考えやした」

でもね、この家には、小さな子供がいるんだよ。

庭を見ると、四つん這いになったゴリさんとタルの上に、子供たちがまたがってお馬さんしている。

おいおい、何やってる。

しかもゴリさんは四つん這いって言うより、片手吊ってるから三つん這いだし。

子供達、やめてあげて。
おしりぺんぺん叩いて走らせるの、もうやめてあげて。

まあ、キャッキャ喜んでるからいいけどね。

いいや、よくない。


「しかし、アニキも強ええですが、姐さんも、半端なく強ええですな」

「ああ、雷神の孫だからね」

「「「えっ!」」」

全員の動きがピタッと止まる。

「ら、雷神ってあの『雷神』ですかい」

「リーヴァスっていうんだけど、知ってる?」

男達の半分が、白目をむいて立ったまま気絶している。

あと半分は・・おい、他人の家で大人がお漏らしするってどういうことだ。



本当に・・なんでこうなった。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

チート幼女とSSSランク冒険者

紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】 三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が 過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。 神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。 目を開けると日本人の男女の顔があった。 転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・ 他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・ 転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。 そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語 ※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。

男装の皇族姫

shishamo346
ファンタジー
辺境の食糧庫と呼ばれる領地の領主の息子として誕生したアーサーは、実の父、平民の義母、腹違いの義兄と義妹に嫌われていた。 領地では、妖精憑きを嫌う文化があるため、妖精憑きに愛されるアーサーは、領地民からも嫌われていた。 しかし、領地の借金返済のために、アーサーの母は持参金をもって嫁ぎ、アーサーを次期領主とすることを母の生家である男爵家と契約で約束させられていた。 だが、誕生したアーサーは女の子であった。帝国では、跡継ぎは男のみ。そのため、アーサーは男として育てられた。 そして、十年に一度、王都で行われる舞踏会で、アーサーの復讐劇が始まることとなる。 なろうで妖精憑きシリーズの一つとして書いていたものをこちらで投稿しました。

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である

megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。

人間だった竜人の番は、生まれ変わってエルフになったので、大好きなお父さんと暮らします

吉野屋
ファンタジー
 竜人国の皇太子の番として預言者に予言され妃になるため城に入った人間のシロアナだが、皇太子は人間の番と言う事実が受け入れられず、超塩対応だった。シロアナはそれならば人間の国へ帰りたいと思っていたが、イラつく皇太子の不手際のせいであっさり死んでしまった(人は竜人に比べてとても脆い存在)。  魂に傷を負った娘は、エルフの娘に生まれ変わる。  次の身体の父親はエルフの最高位の大魔術師を退き、妻が命と引き換えに生んだ娘と森で暮らす事を選んだ男だった。 【完結したお話を現在改稿中です。改稿しだい順次お話しをUPして行きます】  

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生

西洋司
ファンタジー
妙齢の薬学者 聖徳晴子(せいとく・はるこ)は、絶世の美貌の持ち主だ。 彼女は思考の並列化作業を得意とする、いわゆる天才。 精力的にフィールドワークをこなし、ついにエリクサーの開発間際というところで、放火で殺されてしまった。 晴子は、権力者達から、その地位を脅かす存在、「敵」と見做されてしまったのだ。 死後、晴子は天界で女神様からこう提案された。 「あなたは生前7人分の活躍をしましたので、異世界行きのチケットが7枚もあるんですよ。もしよろしければ、一度に使い切ってみては如何ですか?」 晴子はその提案を受け容れ、異世界へと旅立った。

ぐ~たら第三王子、牧場でスローライフ始めるってよ

雑木林
ファンタジー
 現代日本で草臥れたサラリーマンをやっていた俺は、過労死した後に何の脈絡もなく異世界転生を果たした。  第二の人生で新たに得た俺の身分は、とある王国の第三王子だ。  この世界では神様が人々に天職を授けると言われており、俺の父親である国王は【軍神】で、長男の第一王子が【剣聖】、それから次男の第二王子が【賢者】という天職を授かっている。  そんなエリートな王族の末席に加わった俺は、当然のように周囲から期待されていたが……しかし、俺が授かった天職は、なんと【牧場主】だった。  畜産業は人類の食文化を支える素晴らしいものだが、王族が従事する仕事としては相応しくない。  斯くして、父親に失望された俺は王城から追放され、辺境の片隅でひっそりとスローライフを始めることになる。

処理中です...