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第一章 冒険者世界アリスト編
第6話 カラス亭
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史郎達は、城を出るとまず今夜の宿を確保することにした。
資金は、昨日白騎士からもらった革袋の中身だけだ。
あ、そいえば指輪借りっぱなしだね。
後で誰かに頼んで、お城に届けてもらおう。
ルルの案内で、外壁近くに宿をとる。
「カラス亭」。
二階建ての小さな宿屋で、いかにも「おっかさん」っていった感じの丸っこいおかみさんと、いかつい顔のご主人二人で切り盛りしている。
「えと、二部屋お願いできますか?」
「何泊だい?」
「え~っと、とりあえず3泊にしようかな」
「じゃ、銀貨二枚だね」
革袋の中を探って何枚かのコインをテーブルの上に広げる。
おかみさんの手が見えないくらい早く動いて、二枚のコインが消える。
「さっさとしまいな」
受付兼用のテーブルが4つほどあるが、その2つには、いかつい感じの男たちがいた。
じっとこちらを見ているわけではないが、気配をうかがっている感じがする。
なるほど、安いだけあって、さほど治安は良くなさそうだ。
そういえば黒髪が見えないように、ルルが頭に布を巻いてたんだった。
そのあと、ルルはおかみさんと小声で何か話していた。
彼女はカギをもらうと、史郎の手を取って階段を上がっていく。
---------------------------------------------------------------
ルルがカギを開けて、二階一番奥右側の部屋に入る。
自分でやれって?
魔法の指輪の効力が及ぶのは、話す聞くだけで、読むことはできないからね。
部屋番号が分からないんだよね。
ところで・・
「ルルさんや。 あなたの部屋は、ここじゃないだろう」
「部屋は、一つだけにしました」
「・・・」
まあ、ベッドは二つあるみたいだけど。
「お金の節約もしなければなりません。
旦那様のことは、おじいさまからもくれぐれ申しつかっておりますから」
え? おじい様?
「おじい様というのは・・」
「リーヴァスです」
ですよね。
手際も完璧ですもんねって・・お孫さんかい!
------------------------------------------------------------
史郎は、食事の時間まで町をうろつくことにする。
う~ん、やっぱり活気がないというか、住民が生気に乏しいというか・・・
故郷の田舎町でさえ、もう少しはましだった気がする。
その時、後ろの方から馬が駆ける音が近づいてきた。
軒先に避ける。
「明日は中央広場で勇者誕生のパレードがある。
国民はこぞって参加せよ」
馬上の青年が大声を張り上げている。
ああ、パレードのお触れだな。
「勇者! 勇者だってお母さん」
「あら、すごいわね。 どんな方かしら」
「黒髪の勇者らしいぞ」
「へえ、っていうと、本物の勇者ってことね」
さっきまでしなびていた人々が急に活気づいたよ。
勇者って、それほどのものかい。
加藤を知っている身からすると、ちょっと熱を冷ましてあげたいが、ここは黙っておこう。
カラス亭へ戻ると、宿でも勇者パレードの話題で盛り上がっていた。
「今日は宿からも、一人一杯、無料でエールをおごるぜ」
「おおーっ!」
荒くれ者たちが、すごい盛り上がりである。
「あんちゃん、この町へ来ててよかったな。
なんせ勇者誕生パレードっていえば、一生で一度あるかないかだぜ」
知らなおい口髭おじさんが話しかけてくる。
「いや~、ついてましたよ」
「だろう、だろう。 こりゃ明日は盛り上がるぜー」
「ところで、この町のいろんなこと知ろうとしたらどこに行けばいいですかね」
「あんちゃん、観光かい?
贅沢なご身分だね。
こちとらも、あやかりたいよ。
まあ、何を知りたいかにもよるけど、確か小さいけれど図書館があったはずだぜ」
「ありがとうございます。
おかみさん、この方にエール一杯追加で」
「はいよ」
「おう、気が利くね。
じゃ、遠慮なくいただくぜ」
お礼を言って、二階の部屋へ戻る。
しかし、この宿、木造なのに階段もきしらないし、しっかりした造りしてるなあ。
「お帰りなさいませ、旦那様」
「あ、ああ」
そういうのに慣れてない少年にはきついですね。
そのうち慣れるんだろうか。
「あー、ルルさん、図書館ってどこにあるか知ってる?」
「そうですね」
小首をかしげたルルは、とても可愛かった。
「旦那様は、何をお知りになりたいので?」
「この世界についての、大まかな常識かな」
「そうですか。 それなら書店のほうがいいかもしれません。
旦那様、書物はお読みになれますか」
「いや、無理だね」
だってこの世界に来たのつい昨日ですよ。
まったく、それからいろんなことがあり過ぎだよね。
「図書館だと、声に出して書物を読むことはできませんが、書店なら少しくらいなら大丈夫です」
なるほど、そこまで気をまわしてくれてるのか。
さすが完璧の血。
あなどれないな。
「明日はパレードでお店が開いているかどうかわかりません。
今日のうちに行かれますか」
「そうだね、まだ夕食まで時間もあるみたいだし、ちょっと行ってみるか」
----------------------------------------------------------------
個人経営の小さな書店でルルからレクチャーを受ける。
そこで分かったことは次のようなことだった。
この世界の名前はパンゲア。
大きな一つの大陸とそれを取り囲む海からできているらしい。
この国の名前はアリスト。
大陸の西寄りにある。
ここでは人類種をはじめとして少数のエルフ族、ドワーフ族などもいる。
人類種以外の種族は、かなり昔にポータルを通って他の世界からやって来たらしい。
一年は360日。
一週間は6日。
一日の長さは比較するものがないのでよく分からなかったが、わずかばかりの情報から推測すると、20~30時間ではないかと思われる。
通貨は硬貨で、銅貨、銀貨、金貨がある。
それぞれ一枚の価値は1:100:10000である。
銅貨一枚でリンゴに似た果物が一つ買えることから考えると、
銅貨=100円
銀貨=1万円
金貨=100万円
それより大きい金額では金やミスリルの延べ棒、宝石を使うことが多いらしい。
所持金をチェックすると金貨7枚、銀貨55枚、銅貨40枚だった。
銅貨一枚で果物が一つ買えることを考えると、およそ700万円あまり。
おい、白騎士、こんなに渡していいのかって、まあ、どうせ王国から出てるんだろうけどね。
勇者関連は、おとぎ話っぽいものがほとんどで、本当の情報は国が管理しているのがうかがえる。
宿に戻り、食事をとってから部屋で今日得た情報を整理する。
コンピューター役はもちろん完璧ルルさんである。
「勇者が国に高く評価されているのはなぜだい?」
「・・申し上げにくいことですが、領土拡張のためだと思います」
つまり戦争っていうことか!
こりゃ、冗談じゃ済まなくなってきたな。
「聖騎士や聖女の役割は?」
「歴史を見ますと、勇者のサポート役というのが多いようです。
ただ、この国の初代国王は、冒険者から聖騎士となり国を興したことで有名です」
そっか、花好きの初代国王も、聖騎士だったか。
洒落者の聖騎士か、ちょっと会ってみたかったかも。
「勇者になると、どんな能力が目覚めるの?」
「まず、身体能力が格段に上がるといわれています。
塔に閉じ込められたお姫様を、地面からジャンプして助けた話とか有名ですね」
おいおい、塔がどのくらい高いかわからないが、城にあった塔の高さを考えるとこれはもうノミですよ、ノミ。
ノミ勇者、ぶほっ。
「魔術に関する能力はあまり上がらないみたいですが、対魔術、対物理に関しては、全職種中最高となっています」
なるほどねえ、カキーンって跳ね返しちゃうわけか。
魔術使わなくても相手の攻撃が効かなきゃ怖くないもんね。
まてよ、こちらの世界に来てすぐ、加藤が生木を簡単に手でへし折ったり、3mウサギをふっとばしたっけ。
もしかして、すでにある程度勇者に目覚めてたってこと?
そこからさらに覚醒するって・・勇者は卑怯だよね。
敢えて無敵とは言いませんよ。
卑怯と呼ばせてもらいます。
「聖騎士の能力は?」
「戦闘力がかなり高い上に、高度な治癒系魔術が使えます」
なるほど、それはやっぱり卑怯ですよね。
やられてもやられても自分を直して戦えるって、敵にとってまさに悪夢だな。
「聖女はどうなの?」
分かれ間際の涙を浮かべた舞子の顔が思い浮かんだが、頭を振って会話に意識を戻す。
「聖女は、治癒魔術全般ですね。
聖女にしか使えない治癒魔術も多く、死んですぐのものを蘇らせる魔術は聖女の代名詞にもなっています」
なるほどねえ。 それは国が抱えたがるわけだわ。
古今東西、王族っていうのは基本、健康オタクだからねえ。
「ところで、ルル。 点魔法って知ってる?」
「点魔法ですか。 点魔術ではなくて」
「そう、点魔法」
「聞いたことないですね」
はい、「聞いたことない」もらいました。
どうせレベル1ですよ。
点が見えるだけですよ。
「それは、どんな魔術でしょうか」
「えーっとね。 ただ、点が見えるだけっていう・・」
うえ、言ってて悲しくなってきた。
どうせいいんだよ。
俺の友達は点ちゃん、君だけさ。
「うえ?」
突然、史郎の体がまぶしく光りだした。
「ま、まぶしい」
ルルが目を手で覆う。
光は部屋中を満たした。
最後にさらに光が強くなったかとおもうと、すうっと消えていった。
何なんだ、今のは。
「旦那様、レベルが上がったのではないでしょうか。
魔術師が高位になると、レベルアップ時に体が光ることがあると聞きます」
え、そなの。 じゃ、点魔法レベル2ってこと。
って、だめじゃん。
点が見えるだけの魔法がレベル2になっても。
お、でも見えてる点が少し大きくなった気が・・・
嘘です。 ごめんなさい。
何も変わってませんでした。
資金は、昨日白騎士からもらった革袋の中身だけだ。
あ、そいえば指輪借りっぱなしだね。
後で誰かに頼んで、お城に届けてもらおう。
ルルの案内で、外壁近くに宿をとる。
「カラス亭」。
二階建ての小さな宿屋で、いかにも「おっかさん」っていった感じの丸っこいおかみさんと、いかつい顔のご主人二人で切り盛りしている。
「えと、二部屋お願いできますか?」
「何泊だい?」
「え~っと、とりあえず3泊にしようかな」
「じゃ、銀貨二枚だね」
革袋の中を探って何枚かのコインをテーブルの上に広げる。
おかみさんの手が見えないくらい早く動いて、二枚のコインが消える。
「さっさとしまいな」
受付兼用のテーブルが4つほどあるが、その2つには、いかつい感じの男たちがいた。
じっとこちらを見ているわけではないが、気配をうかがっている感じがする。
なるほど、安いだけあって、さほど治安は良くなさそうだ。
そういえば黒髪が見えないように、ルルが頭に布を巻いてたんだった。
そのあと、ルルはおかみさんと小声で何か話していた。
彼女はカギをもらうと、史郎の手を取って階段を上がっていく。
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ルルがカギを開けて、二階一番奥右側の部屋に入る。
自分でやれって?
魔法の指輪の効力が及ぶのは、話す聞くだけで、読むことはできないからね。
部屋番号が分からないんだよね。
ところで・・
「ルルさんや。 あなたの部屋は、ここじゃないだろう」
「部屋は、一つだけにしました」
「・・・」
まあ、ベッドは二つあるみたいだけど。
「お金の節約もしなければなりません。
旦那様のことは、おじいさまからもくれぐれ申しつかっておりますから」
え? おじい様?
「おじい様というのは・・」
「リーヴァスです」
ですよね。
手際も完璧ですもんねって・・お孫さんかい!
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史郎は、食事の時間まで町をうろつくことにする。
う~ん、やっぱり活気がないというか、住民が生気に乏しいというか・・・
故郷の田舎町でさえ、もう少しはましだった気がする。
その時、後ろの方から馬が駆ける音が近づいてきた。
軒先に避ける。
「明日は中央広場で勇者誕生のパレードがある。
国民はこぞって参加せよ」
馬上の青年が大声を張り上げている。
ああ、パレードのお触れだな。
「勇者! 勇者だってお母さん」
「あら、すごいわね。 どんな方かしら」
「黒髪の勇者らしいぞ」
「へえ、っていうと、本物の勇者ってことね」
さっきまでしなびていた人々が急に活気づいたよ。
勇者って、それほどのものかい。
加藤を知っている身からすると、ちょっと熱を冷ましてあげたいが、ここは黙っておこう。
カラス亭へ戻ると、宿でも勇者パレードの話題で盛り上がっていた。
「今日は宿からも、一人一杯、無料でエールをおごるぜ」
「おおーっ!」
荒くれ者たちが、すごい盛り上がりである。
「あんちゃん、この町へ来ててよかったな。
なんせ勇者誕生パレードっていえば、一生で一度あるかないかだぜ」
知らなおい口髭おじさんが話しかけてくる。
「いや~、ついてましたよ」
「だろう、だろう。 こりゃ明日は盛り上がるぜー」
「ところで、この町のいろんなこと知ろうとしたらどこに行けばいいですかね」
「あんちゃん、観光かい?
贅沢なご身分だね。
こちとらも、あやかりたいよ。
まあ、何を知りたいかにもよるけど、確か小さいけれど図書館があったはずだぜ」
「ありがとうございます。
おかみさん、この方にエール一杯追加で」
「はいよ」
「おう、気が利くね。
じゃ、遠慮なくいただくぜ」
お礼を言って、二階の部屋へ戻る。
しかし、この宿、木造なのに階段もきしらないし、しっかりした造りしてるなあ。
「お帰りなさいませ、旦那様」
「あ、ああ」
そういうのに慣れてない少年にはきついですね。
そのうち慣れるんだろうか。
「あー、ルルさん、図書館ってどこにあるか知ってる?」
「そうですね」
小首をかしげたルルは、とても可愛かった。
「旦那様は、何をお知りになりたいので?」
「この世界についての、大まかな常識かな」
「そうですか。 それなら書店のほうがいいかもしれません。
旦那様、書物はお読みになれますか」
「いや、無理だね」
だってこの世界に来たのつい昨日ですよ。
まったく、それからいろんなことがあり過ぎだよね。
「図書館だと、声に出して書物を読むことはできませんが、書店なら少しくらいなら大丈夫です」
なるほど、そこまで気をまわしてくれてるのか。
さすが完璧の血。
あなどれないな。
「明日はパレードでお店が開いているかどうかわかりません。
今日のうちに行かれますか」
「そうだね、まだ夕食まで時間もあるみたいだし、ちょっと行ってみるか」
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個人経営の小さな書店でルルからレクチャーを受ける。
そこで分かったことは次のようなことだった。
この世界の名前はパンゲア。
大きな一つの大陸とそれを取り囲む海からできているらしい。
この国の名前はアリスト。
大陸の西寄りにある。
ここでは人類種をはじめとして少数のエルフ族、ドワーフ族などもいる。
人類種以外の種族は、かなり昔にポータルを通って他の世界からやって来たらしい。
一年は360日。
一週間は6日。
一日の長さは比較するものがないのでよく分からなかったが、わずかばかりの情報から推測すると、20~30時間ではないかと思われる。
通貨は硬貨で、銅貨、銀貨、金貨がある。
それぞれ一枚の価値は1:100:10000である。
銅貨一枚でリンゴに似た果物が一つ買えることから考えると、
銅貨=100円
銀貨=1万円
金貨=100万円
それより大きい金額では金やミスリルの延べ棒、宝石を使うことが多いらしい。
所持金をチェックすると金貨7枚、銀貨55枚、銅貨40枚だった。
銅貨一枚で果物が一つ買えることを考えると、およそ700万円あまり。
おい、白騎士、こんなに渡していいのかって、まあ、どうせ王国から出てるんだろうけどね。
勇者関連は、おとぎ話っぽいものがほとんどで、本当の情報は国が管理しているのがうかがえる。
宿に戻り、食事をとってから部屋で今日得た情報を整理する。
コンピューター役はもちろん完璧ルルさんである。
「勇者が国に高く評価されているのはなぜだい?」
「・・申し上げにくいことですが、領土拡張のためだと思います」
つまり戦争っていうことか!
こりゃ、冗談じゃ済まなくなってきたな。
「聖騎士や聖女の役割は?」
「歴史を見ますと、勇者のサポート役というのが多いようです。
ただ、この国の初代国王は、冒険者から聖騎士となり国を興したことで有名です」
そっか、花好きの初代国王も、聖騎士だったか。
洒落者の聖騎士か、ちょっと会ってみたかったかも。
「勇者になると、どんな能力が目覚めるの?」
「まず、身体能力が格段に上がるといわれています。
塔に閉じ込められたお姫様を、地面からジャンプして助けた話とか有名ですね」
おいおい、塔がどのくらい高いかわからないが、城にあった塔の高さを考えるとこれはもうノミですよ、ノミ。
ノミ勇者、ぶほっ。
「魔術に関する能力はあまり上がらないみたいですが、対魔術、対物理に関しては、全職種中最高となっています」
なるほどねえ、カキーンって跳ね返しちゃうわけか。
魔術使わなくても相手の攻撃が効かなきゃ怖くないもんね。
まてよ、こちらの世界に来てすぐ、加藤が生木を簡単に手でへし折ったり、3mウサギをふっとばしたっけ。
もしかして、すでにある程度勇者に目覚めてたってこと?
そこからさらに覚醒するって・・勇者は卑怯だよね。
敢えて無敵とは言いませんよ。
卑怯と呼ばせてもらいます。
「聖騎士の能力は?」
「戦闘力がかなり高い上に、高度な治癒系魔術が使えます」
なるほど、それはやっぱり卑怯ですよね。
やられてもやられても自分を直して戦えるって、敵にとってまさに悪夢だな。
「聖女はどうなの?」
分かれ間際の涙を浮かべた舞子の顔が思い浮かんだが、頭を振って会話に意識を戻す。
「聖女は、治癒魔術全般ですね。
聖女にしか使えない治癒魔術も多く、死んですぐのものを蘇らせる魔術は聖女の代名詞にもなっています」
なるほどねえ。 それは国が抱えたがるわけだわ。
古今東西、王族っていうのは基本、健康オタクだからねえ。
「ところで、ルル。 点魔法って知ってる?」
「点魔法ですか。 点魔術ではなくて」
「そう、点魔法」
「聞いたことないですね」
はい、「聞いたことない」もらいました。
どうせレベル1ですよ。
点が見えるだけですよ。
「それは、どんな魔術でしょうか」
「えーっとね。 ただ、点が見えるだけっていう・・」
うえ、言ってて悲しくなってきた。
どうせいいんだよ。
俺の友達は点ちゃん、君だけさ。
「うえ?」
突然、史郎の体がまぶしく光りだした。
「ま、まぶしい」
ルルが目を手で覆う。
光は部屋中を満たした。
最後にさらに光が強くなったかとおもうと、すうっと消えていった。
何なんだ、今のは。
「旦那様、レベルが上がったのではないでしょうか。
魔術師が高位になると、レベルアップ時に体が光ることがあると聞きます」
え、そなの。 じゃ、点魔法レベル2ってこと。
って、だめじゃん。
点が見えるだけの魔法がレベル2になっても。
お、でも見えてる点が少し大きくなった気が・・・
嘘です。 ごめんなさい。
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