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第十二章 放浪編

第47話 繁盛(上)

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 遊び足りないブランとキューを草原に残し、薬屋に帰ってきた俺とルエランは、貯蔵室で薬草を仕分けていた。  

「ふう、これで当面は大丈夫です」

 ルエランが言うには、薬草により貯蔵の仕方が違うそうだ。
 乾燥させるもの、生のまま液体につけるもの、乾燥させてすりつぶすもの、薬草の種類により、処置の仕方は様々だ。
 
「ルエラン、ここにまとめているのは、乾燥させるやつかな?」

「ええ、この種類は、水分を飛ばしてから保存します」

 点ちゃん、どうかな?

『(・ω・)ノ チョー簡単ですよ』

 ああ、点ちゃんがまた変な言葉覚えてるな。「チョー」って誰から聞いたんだろう。

「ルエラン、これ、俺が乾燥させてもいいけど、どうする?」

「えっ!?
 そんなことができるんですか?」

「ああ、ちょっと待ってね……はい、終わり」

「えええっ!?
 い、今ので?
 魔術ですか?」

「まあ、そんなところ」

「凄い、完全に乾燥してる!」

「それと、色んなものを粉にする道具もあるけど、必要かな?」

「えっ!?
 でも、さすがにそれは……」

「気兼ねしないで。
 タダで泊まらせてもらってる上に、食事までもらってるんだから」

「本当にいいんですか?」

「ああ、ちょっとまってね」

 俺は腰のポーチに手をやるふりをして、点収納からある物を取りだした。

「これは?」

「これは、ミルって言って、何かを粉末にするのに使うんだ」

 コーヒーミルに似た道具は、緑茶から抹茶を作るため点魔法で作ったものだ。
 点ちゃんシールドで作ってあり、手動でハンドルを回すようになっている。摩耗しないから、故障もしないだろう。

「ここに目盛りがあるでしょ。
 これでどのくらいの大きさまで砕くか調節できるよ」

「うわーっ、凄い!
 薬屋にとっては夢のような道具ですよ、これ!」

「どんな固いものでも粉にできるから、安心して使ってね」

「……凄すぎる」

「それから、薬のレシピを教えてくれたら、いくつか改良できる点が見つかるかもしれないよ」

「……シローさん、あなた一体、何者です?」

「いや、鉄ランクの冒険者だけど」

「……素性を隠したい理由があるんですね?
 分かりました。
 詮索はしません。
 とにかくありがとうございます」

「じゃ、薬のレシピを教えてくれるかな?
 できたら、現物を見ながら説明してくれる?」

「分かりました」

 点ちゃんには、地球世界を始め、今まで訪れた世界の薬学や薬草に関する知識があるからね。

 こうしてレシピの改良に夢中になった俺たちは、ルエランのお母さんからお叱りを受けるまで調合室に籠っていた。 
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