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第十一章 ポータルズ列伝
銀髪の少女編 第5話 ナルとメル、先生に謝られる
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パーパが学校に呼びだされた次の日。
授業時間になって教室に入ってきたファーグス先生は、なにかさっぱりした顔をしていたの。
「授業を始める前に、君たちに話しておかなければならないことがある。
私は、この前、ナル君とメル君が言っていたことを嘘だと決めつけてしまった。
しかし、調べてみると、彼女たちが言っていたことは全部本当のことだった。
先生の不勉強だ。
ナル君、メル君、先生が悪かった。
この通り、許してくれ」
先生が、地面を見るように頭を下げたの。
私とメルはちょっとびっくりしたけど、こう言ったの。
「「だいじょーぶー」」
ホントは、先生の頭をいい子いい子してあげたかったんだけど、やめておいたの。
先生は前の日までとは打ってかわって、元気に授業するようになった。
他の生徒も、みんな驚いていたわ。急に授業が面白くなったって。
分かり切った事でも、見方を変えるといろんな事が分かるようね。
私も少し授業を聞くっていう意味が分かってきたわ。
分かりきったことを、じっと座って聞くだけじゃなかったのね。
ああ、そうそう、ウチに帰ってから、パーパにたずねると、昨日ファーグス先生をしかっていたおじいさんは、『こーちょー先生』といって、学校で一番えらい人なんだって。
女の人は、『きょーとー先生』で二番目にえらいそうね。
でも、そうやって、先生みんなに別の名前がついていたら、ごちゃごちゃしないかしら。
◇
次の日、学校に行くと、教室のすみで、ぽっちゃりした女の子が泣いていたの。
どうしたのって聞いたけど、最初は何も言わなかったわ。
いろいろ言葉を変えてたずねると、何があったか、少しずつ話してくれた。
太っていることで、男の子からイジメられたみたい。
イジメるっていうのがどういうことか、私には分からないけど、あまりいいことじゃないのは確かね。
だって、この子が泣いてるんだもの。
その子が住んでるところをたずねると、私たちが学校まで来る途中みたい。
明日から一緒に学校に来ようって約束したの。
あれ?
窓の外でまたじーじに似た人がおそうじしてる。
最近、なぜだか家族に似た人をよく見かけるのよね。
◇
「ナル、メル、今日はどうしてこんなに早いの?」
朝、学校に行こうとすると、パーパにたずねられたの。
「友達と一緒に学校に行きます」
私がそう言うと、パーパは、すごく嬉しそうな顔をしてたわ。
◇
私とメルはいつもの道を通って学校に行ったの。
でも、今日は、途中で本屋さんに寄ったんだ。
そこが、キャサリンのおうちだから。
キャサリンっていうのは、昨日学校で泣いていた、ぽっちゃりした女の子。
「「こんにちはー」」
私たちが言うと、眼鏡を掛けたおじさんが、お店から出てきたの。
「君たちがナルちゃんとメルちゃんかな」
「はい、そうです」
「うん、そうだよ」
「すぐに娘も出てくるから、ちょっと待ってね。
この本を見てるといいよ」
おじさんは、たくさん絵がついた大きな本を渡してくれたの。
パーパは、「この世界では、本はとてもこーかなものだ」って言ってた。
ウチにも、そんなにたくさんは本がないの。
こんなにいっぱい本があるキャサリンがうらやましいな。
「おはよう……」
キャサリンちゃんは、声が小さいの。
もっと大きな声でしゃべればいいのに。
それから、三人で学校に行ったの。
途中で公園を通るんだけど、そこに背が高い子供が三人いた。
全員男の子ね。
「お、豚がきたぞ!」
「豚キャシー!」
「やーい、ぶうぶうっ!」
この子たちがキャサリンをイジメてるのね。
イジメるって悪口を言うことかしら?
「あなたたち、自分より小さな女の子をイジメて恥ずかしくないの?」
そう言ってやったわ。
「お前、誰だ」
「おい、この二人、同じ顔してるぞ」
馬鹿な子たちね、姉妹だから同じ顔は当たり前じゃない。
「なんで髪が白いんだ」
「やーい、白カミー」
パーパが、「心が小さい人間は、自分と少しちがうことが許せない」って言ってたけど、この子たちは、心が小さいのね。
「あなたたち、心が小さいわね」
私はそう言ってやったわ。
「ちっちゃいねー」
メルもそう言ってる。
「なんだと!
こうしてやる!」
一人の男の子が、私の髪を手で触ろうとしたの。
私はその手首をつかんで、ぽいって投げたの。
その子は、公園の反対側の、木がいっぱい生えているところに飛んでいったわ。
木から生えた足が動いてるから大丈夫ね。
「な、なんだこいつ!?
えいっ!」
一番大きな男の子が、その辺におちていた木の棒で私になぐりかかってきたの。
木は、私の肩にぶつかったわ。
ボキッ
木が折れちゃった。
あら、男の子が手を押さえてうずくまってる。
なんでかしら。
もう一人の男の子が、メルを突きとばそうとしたの。
その前に、メルがちょんと男の子の胸をつついたの。
その子も、最初の子みたいに公園の反対側の木から足が生えることになったわ。
この子たち、こんなに弱っちいのに、なんで女の子をイジメてたのかしら。
授業時間になって教室に入ってきたファーグス先生は、なにかさっぱりした顔をしていたの。
「授業を始める前に、君たちに話しておかなければならないことがある。
私は、この前、ナル君とメル君が言っていたことを嘘だと決めつけてしまった。
しかし、調べてみると、彼女たちが言っていたことは全部本当のことだった。
先生の不勉強だ。
ナル君、メル君、先生が悪かった。
この通り、許してくれ」
先生が、地面を見るように頭を下げたの。
私とメルはちょっとびっくりしたけど、こう言ったの。
「「だいじょーぶー」」
ホントは、先生の頭をいい子いい子してあげたかったんだけど、やめておいたの。
先生は前の日までとは打ってかわって、元気に授業するようになった。
他の生徒も、みんな驚いていたわ。急に授業が面白くなったって。
分かり切った事でも、見方を変えるといろんな事が分かるようね。
私も少し授業を聞くっていう意味が分かってきたわ。
分かりきったことを、じっと座って聞くだけじゃなかったのね。
ああ、そうそう、ウチに帰ってから、パーパにたずねると、昨日ファーグス先生をしかっていたおじいさんは、『こーちょー先生』といって、学校で一番えらい人なんだって。
女の人は、『きょーとー先生』で二番目にえらいそうね。
でも、そうやって、先生みんなに別の名前がついていたら、ごちゃごちゃしないかしら。
◇
次の日、学校に行くと、教室のすみで、ぽっちゃりした女の子が泣いていたの。
どうしたのって聞いたけど、最初は何も言わなかったわ。
いろいろ言葉を変えてたずねると、何があったか、少しずつ話してくれた。
太っていることで、男の子からイジメられたみたい。
イジメるっていうのがどういうことか、私には分からないけど、あまりいいことじゃないのは確かね。
だって、この子が泣いてるんだもの。
その子が住んでるところをたずねると、私たちが学校まで来る途中みたい。
明日から一緒に学校に来ようって約束したの。
あれ?
窓の外でまたじーじに似た人がおそうじしてる。
最近、なぜだか家族に似た人をよく見かけるのよね。
◇
「ナル、メル、今日はどうしてこんなに早いの?」
朝、学校に行こうとすると、パーパにたずねられたの。
「友達と一緒に学校に行きます」
私がそう言うと、パーパは、すごく嬉しそうな顔をしてたわ。
◇
私とメルはいつもの道を通って学校に行ったの。
でも、今日は、途中で本屋さんに寄ったんだ。
そこが、キャサリンのおうちだから。
キャサリンっていうのは、昨日学校で泣いていた、ぽっちゃりした女の子。
「「こんにちはー」」
私たちが言うと、眼鏡を掛けたおじさんが、お店から出てきたの。
「君たちがナルちゃんとメルちゃんかな」
「はい、そうです」
「うん、そうだよ」
「すぐに娘も出てくるから、ちょっと待ってね。
この本を見てるといいよ」
おじさんは、たくさん絵がついた大きな本を渡してくれたの。
パーパは、「この世界では、本はとてもこーかなものだ」って言ってた。
ウチにも、そんなにたくさんは本がないの。
こんなにいっぱい本があるキャサリンがうらやましいな。
「おはよう……」
キャサリンちゃんは、声が小さいの。
もっと大きな声でしゃべればいいのに。
それから、三人で学校に行ったの。
途中で公園を通るんだけど、そこに背が高い子供が三人いた。
全員男の子ね。
「お、豚がきたぞ!」
「豚キャシー!」
「やーい、ぶうぶうっ!」
この子たちがキャサリンをイジメてるのね。
イジメるって悪口を言うことかしら?
「あなたたち、自分より小さな女の子をイジメて恥ずかしくないの?」
そう言ってやったわ。
「お前、誰だ」
「おい、この二人、同じ顔してるぞ」
馬鹿な子たちね、姉妹だから同じ顔は当たり前じゃない。
「なんで髪が白いんだ」
「やーい、白カミー」
パーパが、「心が小さい人間は、自分と少しちがうことが許せない」って言ってたけど、この子たちは、心が小さいのね。
「あなたたち、心が小さいわね」
私はそう言ってやったわ。
「ちっちゃいねー」
メルもそう言ってる。
「なんだと!
こうしてやる!」
一人の男の子が、私の髪を手で触ろうとしたの。
私はその手首をつかんで、ぽいって投げたの。
その子は、公園の反対側の、木がいっぱい生えているところに飛んでいったわ。
木から生えた足が動いてるから大丈夫ね。
「な、なんだこいつ!?
えいっ!」
一番大きな男の子が、その辺におちていた木の棒で私になぐりかかってきたの。
木は、私の肩にぶつかったわ。
ボキッ
木が折れちゃった。
あら、男の子が手を押さえてうずくまってる。
なんでかしら。
もう一人の男の子が、メルを突きとばそうとしたの。
その前に、メルがちょんと男の子の胸をつついたの。
その子も、最初の子みたいに公園の反対側の木から足が生えることになったわ。
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