上 下
431 / 607
第十章 奴隷世界スレッジ編

第42話 大きなるものの国5

しおりを挟む


 おばば様に会った後、バルクに連れられ彼の家に戻った。
 他の仲間が、チーダさんの案内で里の見学に出かけると、長の家は、俺とバルクの二人だけになった。

「バルクさん、おばば様は、どうしてあのようなお姿に?」

「二百年前に人族とドワーフ族がこの土地を攻めたことは、もう話しましたな。
 そのおり、一人の少女が、大けがを負い死にかけましたのじゃ。
 ところが、彼女が『神樹の巫女』であったことで、あの神樹様が受けいれてくださったそうですじゃ」

「おばば様は、二百年間、ずっとあのお姿で?」

「そういうことになりますじゃ」

 木と一つとなり、二百年の時を過ごすとは、どんな思いだろう。
 俺は、おばば様が村人から敬(うやま)われている理由が、少し分かった気がした。
 
 ◇

「この辺りが、『悪魔の石』を掘りだした場所だと言われておりますじゃ」

 俺とバルク老は、巨人が乗れるように作った、大きなボードに乗っている。
 落下防止のために、風防はつけてあるが、他には何も無い、シンプルなものだ。

「その『悪魔の石』とは、ドラゴンの力を失わせるものですね?」

「ええ、そうですじゃ。
 我ら巨人族の力も弱まる。
 そして、当時、祖先が移動に使うておった、ポポという魔獣の力も弱まったと伝えられておる」

 やはり、ポポ、竜人、ドラゴン、巨人族には、何か共通点があるのだろう。

「それにしても、採掘したような跡は見えませんね」

 透明にしたボードから見下ろせる地上は、木々に覆われていた。
 
「言い伝えによると、ほんのわずかな鉱脈があっただけらしいのじゃ。
 恐らく、それが見つからぬ理由であろう」

 なるほどねえ。

『(Pω・)ノ ご主人様ー、あったよー』 

 だけど、俺には点ちゃんがいるからね。
 点ちゃん、じゃ、そこに印をつけてね。

『ぐ(^ω^) 了解』
 
 森の一か所に、青く大きな矢印がつく。
 そこに向け、ボードを降下させていく。
 
「ど、どうなっておるんじゃ?」

「長、スキルに関する事は、お話しできないんですよ。
 それより、ここが、かつての採掘場ですよ」

「うむ、そうじゃろう。
 身体が、やけに重く感じるぞ。
 ワシは、動けそうにない。
 シロー殿、ここは一人で行ってくれぬか」

「分かりました。
 しばらく、空で待っていてください」

 俺は、ボードから外へ出ると、それを再び上昇させておいた。
 ブランが、俺の肩からぴょんと飛びおりる。
 俺は彼女の後を追い、木立の中に踏みこんだ。
 
 ◇ 

 それは、小さな丘の麓にあった。
 一片二メートルほどの長方形の金属が丘の斜面に埋まっている。
 下半分は、土砂に隠れているから、それを取りのぞけば、全貌がわかるかもしれない。

 俺は、土魔術を使い、金属の周囲にある土砂を脇へ寄せた。
 金属表面の汚れは、点魔法で取りのぞく。
 それは、上下四メートル、左右二メートルほどのもので、二枚の黒い金属から出来ていると分かった。
 
 二枚の金属を繋ぎあわせるように、白銀のプレートがはめ込まれている。
 そこには、見覚えがある文字があった。 

『聖樹の元に』

 その文字と言葉には、見覚えがあった。エルファリア世界にある、ギルド本部で見たことがある。二百年前に活躍した英雄が残したものだった。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

チート幼女とSSSランク冒険者

紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】 三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が 過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。 神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。 目を開けると日本人の男女の顔があった。 転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・ 他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・ 転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。 そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語 ※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。

アレキサンドライトの憂鬱。

雪月海桜
ファンタジー
桜木愛、二十五歳。王道のトラック事故により転生した先は、剣と魔法のこれまた王道の異世界だった。 アレキサンドライト帝国の公爵令嬢ミア・モルガナイトとして生まれたわたしは、五歳にして自身の属性が限りなく悪役令嬢に近いことを悟ってしまう。 どうせ生まれ変わったなら、悪役令嬢にありがちな処刑や追放バッドエンドは回避したい! 更正生活を送る中、ただひとつ、王道から異なるのが……『悪役令嬢』のライバルポジション『光の聖女』は、わたしの前世のお母さんだった……!? これは双子の皇子や聖女と共に、皇帝陛下の憂鬱を晴らすべく、各地の異変を解決しに向かうことになったわたしたちの、いろんな形の家族や愛の物語。 ★表紙イラスト……rin.rin様より。

男装の皇族姫

shishamo346
ファンタジー
辺境の食糧庫と呼ばれる領地の領主の息子として誕生したアーサーは、実の父、平民の義母、腹違いの義兄と義妹に嫌われていた。 領地では、妖精憑きを嫌う文化があるため、妖精憑きに愛されるアーサーは、領地民からも嫌われていた。 しかし、領地の借金返済のために、アーサーの母は持参金をもって嫁ぎ、アーサーを次期領主とすることを母の生家である男爵家と契約で約束させられていた。 だが、誕生したアーサーは女の子であった。帝国では、跡継ぎは男のみ。そのため、アーサーは男として育てられた。 そして、十年に一度、王都で行われる舞踏会で、アーサーの復讐劇が始まることとなる。 なろうで妖精憑きシリーズの一つとして書いていたものをこちらで投稿しました。

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である

megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。

人間だった竜人の番は、生まれ変わってエルフになったので、大好きなお父さんと暮らします

吉野屋
ファンタジー
 竜人国の皇太子の番として預言者に予言され妃になるため城に入った人間のシロアナだが、皇太子は人間の番と言う事実が受け入れられず、超塩対応だった。シロアナはそれならば人間の国へ帰りたいと思っていたが、イラつく皇太子の不手際のせいであっさり死んでしまった(人は竜人に比べてとても脆い存在)。  魂に傷を負った娘は、エルフの娘に生まれ変わる。  次の身体の父親はエルフの最高位の大魔術師を退き、妻が命と引き換えに生んだ娘と森で暮らす事を選んだ男だった。 【完結したお話を現在改稿中です。改稿しだい順次お話しをUPして行きます】  

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

家庭菜園物語

コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。 その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。 異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

処理中です...