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第九章 異世界訪問編

第39話 地球世界の神樹6 -- 南アメリカ --

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 ハーディ邸から、エミリーと翔太を呼びよせた。

 焼き畑は、神樹様の直前で止まっていた。
 ここら辺り一帯は、国の自然保護区になる予定だ。
 この国に『枯れクズ』を売る条件として俺が要求した。

 神樹様はそれほど大きくなかったが、複雑に曲がりくねった幹がその年月をうかがわせた。
『枯れクズ』をその根元に埋めたエミリーが、木に手をかざす。

 木が光った後、俺たちの頭に念話が流れこんできた。

『エミリー嬢ちゃんや、ありがとう。
 シロー、ワレを救うてくれて感謝する』

『神樹様、どうしてエミリーの名前や、私がしたことをご存じなのですか?』

『私の事はショーロと呼んでおくれ。
 お前たちの事は、木々から聞いたのさ』

『聞く?』

『私の働きはね、木々が見聞きしたことを伝えることなのさ。
 若い頃、聖樹様と話せるときに教えてもらったけれど、こういった力は珍しいらしいよ』

 それが、ポータルズ世界から失われるところだったのか。
 危ないところだった。

『ショーロさん、もう聖樹様と話せるはずです。
 試してみてください』

 エミリーが神樹に微笑みかける。
 しばらくの静寂の後、聖樹様から再び念話が入った。

『エミリー嬢ちゃんは、巫女様じゃったか。
 失礼を許しておくれ』

『いえ、気にしていませんよ』

『それにショータといったか、そこの童は巫女様の『守り手』だそうではないか』

『はい、神樹様。
 ボクがエミリーの『守り手』です』

『巫女様のこと、よろしく頼むぞ』

『はい、もちろんです』

『シロー、お主が以前救うた『光る木』の仲間たちは、神樹同士の繋がりを強め、我は神樹と普通の木々との繋がりを強めるのじゃ。
 我に力が戻れば、神樹たちが木々の助けをより多く受けとれるようになるぞ』

『そのようなお方がご無事で何よりでした』

『お主のおかげじゃよ。
 お主の力、あれは明らかにポータルズ世界群が、お主に与えた力じゃな』

『そうですか。
 俺は聖樹様のお言いつけ通り、エミリーを守るだけです』

『お主たち三人は、世界群にとり誰一人かけがえのない存在じゃ。
 くれぐれも、その身を大事にな』

『過分なお言葉、ありがとうございます』

『では、もう行け。
 他の神樹たちが巫女様を待っておる』

 エミリー、翔太と俺は、神樹ショーロ様に別れを告げた。
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