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第八章 地球訪問編
第10話 「挑戦! となりの太郎君」
しおりを挟む「初めの四人」は、「挑戦! となりの太郎君」への依頼作成に取りかかった。
俺は点ちゃん1号の中、他の三人は、それぞれの実家で文面を考えたが、たまたま畑山さんが書いているのを見た翔太君が、自分も依頼を出すと言いだした。
翔太君の話だと、彼が依頼を出せば、まず間違いなく採用されるそうだ。
なぜだか尋ねたが、翔太君は教えてくれなかった。
翔太君が、依頼を出して三日後、早くも番組スタッフから連絡があった。
いったい、どうなってるんだろう。
翔太君と加藤が、放送局に呼ばれたので、俺、畑山さん、舞子も関係者としてついていく。
放送局は、ローカル局らしく、古びたビルだった。
それでも十階くらいはありそうだ。
俺達は、二階にある会議室に通された。
パイプ椅子と事務机が置かれた殺風景な部屋だ。
人は出払っているのか、誰もいなかった。
それから五分ほど待たされた頃、ノックの音がする。
加藤がドアを開けると、三十歳くらいでシャープな感じがする、長身の女性が入ってきた。
「こんにちは。
番組プロデューサーの柳井です」
「「初めまして」」
「今回は豪華ゲストを迎えられて、ウチも気合が入ってます」
豪華ゲスト?
「君が翔太君ね。
思ったより小さいのね。
いつも見てるから、もう少し身長が高いかと思ってたわ」
いつも見てる? どういうこと?
「で、君が加藤君かな?
どことなくヒロの面影があるね」
ヒロって、ヒロ姉のことだろうな。
「君がジャンプに挑戦するわけね?」
「はい、がんばります!」
おいおい、気合が入りすぎてないか、加藤。
「じゃ、さっそく現場に行くわよ」
「えっ!?
もうですか?」
「翔太君が出るって言ったら、局長にせっつかれてね。
来週の放送に間に合わせるようにって言われてるの」
なぜに、翔太君?
「ついてきて」
そう言うと、柳井プロデューサーは、足早に歩きはじめた。
俺たちが連れていかれた場所は、ビルに隣接するL字型の中庭で、そこでは、何人かの若者が、黒白のポールや巻きメジャーを用意していているところだった。
高跳びで使うような、スポンジが入った分厚い大きなマットが置いてある。
メイクや衣装の係が、五人ほど翔太君の周りに集まる。
それに対し、実際にジャンプする加藤の方には一人しかついていない。
なんじゃ、この格差は?
ビルからレモン色のスーツを着た、感じのいい丸顔のお姉さんが出てきた。
「きゃーっ!
翔太君だー」
お姉さんは、叫び声を上げて翔太君のところに駆けていくと、頭を撫でたり、肩に手を置いたり、とにかく触りまくっている。
どうなってるのこれ?
それから間もなく、本番が近いということで、俺、畑山さん、舞子の三人はビルの中に入るよう言われる。
幸い、ビルの一階にある喫茶店から、ガラス越しに撮影現場が見える。
レモン色のスーツをきたお姉さんが、本番中も翔太君の肩に手を置き、カメラに向かって話している。
翔太君は、質問されると、ハキハキ答えているようだ。
上下紺のジャージを来た加藤が計測棒の横に現れる。
おい、それは学校の体操着だろう。
もう少しましな服は無かったのか。
心の中で突っこんではみたが、もう手遅れだ。
二人のADが、加藤の腰に、太いベルトのようなものを取りつけている。
加藤が膝を曲げると、四人のADが加藤を取りかこみ、ベルトに手をかけた。
点ちゃん頼むよ。
『(^▽^)/ はーい』
加藤が膝を伸ばすと同時に、点ちゃんがAD四人の手をベルトから外す、外されたADは、あれっという顔をしたが、その顔がすぐに驚愕の表情にとってかわった。
なぜなら、加藤の姿が、消えてしまったからだ。
俺達三人が慌ててビルから飛びだすと、上向きになったカメラが示す方向に加藤がいた。
加藤は、ビルの屋上から手を振っていた。
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