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第二章
告白 ルイス視点 最終話
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___「……っ俺でいいんですか……。」
急に泣き出した挙げ句、話せたのはそんなことだった。
涙で滲む視界に、驚いた顔のラインハルトが映る。
「っおれ、なんの取り柄もないんだぞ……?」
辛うじて敬語を忘れずに出した声はなんだかいつもより少しだけ高くて、不安定だった。
驚くラインハルトに、わかっていないと思いながら敬語も忘れて説明する。
「魔法は上手く扱えないし、剣の使い方だってよくわかんないし、敬語もたまに間違えるし……。」
俺は、ラインハルトを幸せに出来るような人間じゃないんだ。
魔法も剣も礼儀作法もラインハルトの方が上手だから、頼ってばかりになってしまう。
「無闇矢鱈に突っ走るしっ、根拠の無い自信だけはあるし、ラインハルトに心配ばっかりかけるし…。」
俺ならいいか、って簡単に命を捨てようとするから、ラインハルトに心配ばっかりかけることになる。それも根拠なんて無い自信だけでそうするんだ。
それだけじゃない。
ラインハルトから手紙を貰って舞い上がるくらい好きなくせに、
____「っラインハルトに、好きだって言える勇気も無いっ……!!」
ぎゅっと目を瞑って、叩きつける様に叫んだ。
その拍子に、ずっと俺の頬に添えられたままのラインハルトの手を握りしめる。
本当は、好きだと、俺も同じ気持ちだと叫んでしまいたい。
_でも、なんだか生きていると実感してからは怖いのだ。
前まではちょっとした自分の行動で嫌われないのか、とか気にならなかった。
前まではこんなにネガティブで後ろ向きの予想しか考えられないなんて無かった。
前世で俺を刺したストーカーだって、俺に恨みがあったのかもしれない。
前世の家族に会いたいと思わないのも、俺が薄情だからかもしれない。
「……考えれば、考えた分だけ色々と予想して、良い方にも悪い方にも考えたっ……!っそれでも現実味があるのは悪い方で、このまま何もせずに今の状態でいようと思ってたっ……!
そしたら多分、きっと、ラインハルトの傍に居られると思ったから……!!
なのに…っ…、
『すきだ。』とかっ…、
『ずっと傍に居て欲しい。』とか、
『もう離れたくない。』、とか、
____『俺と、結婚してくれませんか。』
とか、
最近全然話してくれなかったくせに言ってきて、挙げ句には、
『応えてくれなくてもいい』だなんて言うっ!」
_____「……返事が欲しいって顔に書いてあるくせに……。」
ぼろぼろ落ちていく涙と一緒に、ポツリとこぼした。
ラインハルトの顔が見れなくて俯向けば、滲んだ視界で自身の出した涙で濡れた地面が見えた。
もうなんで泣いているのかも、止め方もわからない涙。
結局、途中から思っている事を全部話してしまった。
告白したのに逆ギレされるなんて、ラインハルトは可哀相だな。そんな思いのまま、口を開いた。
「……おれより、いいひとなんていっぱいいるん「そんな事はない…!!」……っ、!」
今日一番の大声で否定された。
びっくりして顔をあげれば、ラインハルトが切羽詰まった顔をしていた。
「…っそんなこと、言わないでくれ……。」
悲しげな顔で俺を見るラインハルトに、びっくりしたのか俺の涙は止まった。
「…おれは、ルイスに取り柄が無いなんて思わないし、無くてもルイスが好きだっ……!!
俺は目があった時にルイスが笑ってくれるのが好きだ。でも、俺は目を合わせてくれたからルイスが好きになったんじゃないっ。
_____ルイスがルイスだったから、好きになったんだ…!」
普段声を荒げないラインハルトが、声を荒げて話す。
いつの間にかぎゅっと握られている両手からはラインハルトの気持ちが伝わってくるようで、止まった筈の涙がまた出てきた。
どんどん出てくる涙をラインハルトが優しく拭ってくれる。
自然と、笑みがこぼれた。
「すきだ。俺も、ラインハルトのことが好きなんだ。」
ラインハルトに気持ちが伝わる様に、一つ一つ言葉を選ぶ。
「俺にできることならなんだってする。
ラインハルトが俺と一緒に居れてよかったって思える様に、ラインハルトを幸せにできるように、精一杯頑張る。
だから_______________
俺と、結婚してください。」
「ああ……、嬉しい、泣きそうだ…。」
くしゃっと微笑んだラインハルトは、涙声でそう言ったかと思えば本当に泣き出してしまった。
今度は俺がラインハルトの涙を拭いながら、言えるうちにいっぱい言っておこうと口を開いた。
_____「大好きだ、ラインハルト。出逢ってくれてありがとう。」
~1年後~
教会の大きな扉の前で、ラインハルトと並んで立つ。
「まさか、ここまで結婚に時間が掛かるとは思わなかった……。」
「…そうだな……。俺もまさかドレーシア家の養子になるとは思っていなかった。」
俺はエリーちゃんの家の養子となり、ラインハルトと正式に婚約した。
そして今日はラインハルトと俺の結婚式である。
……この世界でも結婚式ってあるんだなぁ、と思ったのは記憶に新しい。
あれやこれやと相談して決めた衣装を着たラインハルトは、実に男前だ。
「ふふ…。」
ラインハルトの姿を見て、自然と笑みがこぼれていく。
「…?どうした?…もしかしてどこか格好がおかしかったりするか……?」
勘違いしてアワアワと服装を確認するラインハルトが愛おしい。
更に笑みを深めつつ、俺は誤解を解くために口を開いた。
____「格好が俺のお婿さんって感じがしていいなと思っただけだ。」
____「っ…!!そ、そういうのは小出しにしてくれと言っているだろう…!!」
顔を真っ赤にして照れるラインハルトが、それを隠そうと手で顔を隠すが、耳まで真っ赤で隠しきれていない。
にやにやとしてしまう自分の顔はもう既に充分ラインハルトに見られているので、俺は隠さずに言った。
____「充分小出しのつもりだ。愛してるぞ、ラインハルト。」
指の間から此方をそろりと見るラインハルト。
____「……俺も、愛してる。」
二人を祝福するような快晴の下で、俺はラインハルトと結婚したのであった。
転生したらいつの間にかフェンリルになっていて、美醜も逆転してた見たいだけど俺には関係ない。
____だって、最愛の人が傍に居るから。
ーーーー
これで本編は完結になります。
急に泣き出した挙げ句、話せたのはそんなことだった。
涙で滲む視界に、驚いた顔のラインハルトが映る。
「っおれ、なんの取り柄もないんだぞ……?」
辛うじて敬語を忘れずに出した声はなんだかいつもより少しだけ高くて、不安定だった。
驚くラインハルトに、わかっていないと思いながら敬語も忘れて説明する。
「魔法は上手く扱えないし、剣の使い方だってよくわかんないし、敬語もたまに間違えるし……。」
俺は、ラインハルトを幸せに出来るような人間じゃないんだ。
魔法も剣も礼儀作法もラインハルトの方が上手だから、頼ってばかりになってしまう。
「無闇矢鱈に突っ走るしっ、根拠の無い自信だけはあるし、ラインハルトに心配ばっかりかけるし…。」
俺ならいいか、って簡単に命を捨てようとするから、ラインハルトに心配ばっかりかけることになる。それも根拠なんて無い自信だけでそうするんだ。
それだけじゃない。
ラインハルトから手紙を貰って舞い上がるくらい好きなくせに、
____「っラインハルトに、好きだって言える勇気も無いっ……!!」
ぎゅっと目を瞑って、叩きつける様に叫んだ。
その拍子に、ずっと俺の頬に添えられたままのラインハルトの手を握りしめる。
本当は、好きだと、俺も同じ気持ちだと叫んでしまいたい。
_でも、なんだか生きていると実感してからは怖いのだ。
前まではちょっとした自分の行動で嫌われないのか、とか気にならなかった。
前まではこんなにネガティブで後ろ向きの予想しか考えられないなんて無かった。
前世で俺を刺したストーカーだって、俺に恨みがあったのかもしれない。
前世の家族に会いたいと思わないのも、俺が薄情だからかもしれない。
「……考えれば、考えた分だけ色々と予想して、良い方にも悪い方にも考えたっ……!っそれでも現実味があるのは悪い方で、このまま何もせずに今の状態でいようと思ってたっ……!
そしたら多分、きっと、ラインハルトの傍に居られると思ったから……!!
なのに…っ…、
『すきだ。』とかっ…、
『ずっと傍に居て欲しい。』とか、
『もう離れたくない。』、とか、
____『俺と、結婚してくれませんか。』
とか、
最近全然話してくれなかったくせに言ってきて、挙げ句には、
『応えてくれなくてもいい』だなんて言うっ!」
_____「……返事が欲しいって顔に書いてあるくせに……。」
ぼろぼろ落ちていく涙と一緒に、ポツリとこぼした。
ラインハルトの顔が見れなくて俯向けば、滲んだ視界で自身の出した涙で濡れた地面が見えた。
もうなんで泣いているのかも、止め方もわからない涙。
結局、途中から思っている事を全部話してしまった。
告白したのに逆ギレされるなんて、ラインハルトは可哀相だな。そんな思いのまま、口を開いた。
「……おれより、いいひとなんていっぱいいるん「そんな事はない…!!」……っ、!」
今日一番の大声で否定された。
びっくりして顔をあげれば、ラインハルトが切羽詰まった顔をしていた。
「…っそんなこと、言わないでくれ……。」
悲しげな顔で俺を見るラインハルトに、びっくりしたのか俺の涙は止まった。
「…おれは、ルイスに取り柄が無いなんて思わないし、無くてもルイスが好きだっ……!!
俺は目があった時にルイスが笑ってくれるのが好きだ。でも、俺は目を合わせてくれたからルイスが好きになったんじゃないっ。
_____ルイスがルイスだったから、好きになったんだ…!」
普段声を荒げないラインハルトが、声を荒げて話す。
いつの間にかぎゅっと握られている両手からはラインハルトの気持ちが伝わってくるようで、止まった筈の涙がまた出てきた。
どんどん出てくる涙をラインハルトが優しく拭ってくれる。
自然と、笑みがこぼれた。
「すきだ。俺も、ラインハルトのことが好きなんだ。」
ラインハルトに気持ちが伝わる様に、一つ一つ言葉を選ぶ。
「俺にできることならなんだってする。
ラインハルトが俺と一緒に居れてよかったって思える様に、ラインハルトを幸せにできるように、精一杯頑張る。
だから_______________
俺と、結婚してください。」
「ああ……、嬉しい、泣きそうだ…。」
くしゃっと微笑んだラインハルトは、涙声でそう言ったかと思えば本当に泣き出してしまった。
今度は俺がラインハルトの涙を拭いながら、言えるうちにいっぱい言っておこうと口を開いた。
_____「大好きだ、ラインハルト。出逢ってくれてありがとう。」
~1年後~
教会の大きな扉の前で、ラインハルトと並んで立つ。
「まさか、ここまで結婚に時間が掛かるとは思わなかった……。」
「…そうだな……。俺もまさかドレーシア家の養子になるとは思っていなかった。」
俺はエリーちゃんの家の養子となり、ラインハルトと正式に婚約した。
そして今日はラインハルトと俺の結婚式である。
……この世界でも結婚式ってあるんだなぁ、と思ったのは記憶に新しい。
あれやこれやと相談して決めた衣装を着たラインハルトは、実に男前だ。
「ふふ…。」
ラインハルトの姿を見て、自然と笑みがこぼれていく。
「…?どうした?…もしかしてどこか格好がおかしかったりするか……?」
勘違いしてアワアワと服装を確認するラインハルトが愛おしい。
更に笑みを深めつつ、俺は誤解を解くために口を開いた。
____「格好が俺のお婿さんって感じがしていいなと思っただけだ。」
____「っ…!!そ、そういうのは小出しにしてくれと言っているだろう…!!」
顔を真っ赤にして照れるラインハルトが、それを隠そうと手で顔を隠すが、耳まで真っ赤で隠しきれていない。
にやにやとしてしまう自分の顔はもう既に充分ラインハルトに見られているので、俺は隠さずに言った。
____「充分小出しのつもりだ。愛してるぞ、ラインハルト。」
指の間から此方をそろりと見るラインハルト。
____「……俺も、愛してる。」
二人を祝福するような快晴の下で、俺はラインハルトと結婚したのであった。
転生したらいつの間にかフェンリルになっていて、美醜も逆転してた見たいだけど俺には関係ない。
____だって、最愛の人が傍に居るから。
ーーーー
これで本編は完結になります。
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