転生したらいつの間にかフェンリルになってた〜しかも美醜逆転だったみたいだけど俺には全く関係ない〜

春色悠

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第二章

魔力測定 ルイス視点

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「何故か怪力になってる?」
 不思議そうなクリストファーさん。
 
 俺はファーリーさんにラインハルトを引き取ってもらった後、話を逸らすためにちょっとした質問をしたのだ。……あまり詳細を聞かれたくなくてな……。
「はい。前の俺なら、ラインハルト様を持ち上げて運ぶなんて無理な筈なんです。」
 最近、感じていた違和感。妙に身体能力が上がった様な感覚。気の所為だったのが、ラインハルトを抱えた時に確信を持った。
「………ラインハルトを持ち上げた件については聞かないでおくね……。」
 ……そうしてください……。
 消え入りそうになりながら、クリストファーさんに感謝する。
「ん~……、でもそうだねぇ、ルイス君の体格的に、ラインハルトを持ち上げるのはちょっとね。原因としては、呪いの影響か……、」
 顎に指を当てて、考え込みだしたクリストファーさんは、何かに思い当たったらしい。
「………そ、そういえばルイス君って魔力測定どうだった?」
 しかし、何故か焦った様に話題をすげ替えるクリストファーさん。 
「え……、えと、まだ行ってません。タイミングが掴めなくて。」
「も、もしかしたら魔力が何か関係してるかもだし、一旦行っておいでよ!ね!」
「え、で、でも、まだ働き始めて日も浅いですし、すぐにお暇を貰うのは……。」
 一番近い魔力測定所でも、ぎりぎり日帰りできるかな、と言うくらいの距離だ。
 流石にタイミングが悪くないだろうか……。
 クリストファーさんから何故か猛烈に魔力測定を進められる。
「…では、買い出しのついでというのは如何でしょう。前々から、ジョセフが少々珍しい食材を使いたいと申しておりましたので、それを買い出しに行くついでに測定してきては。」
「うんうん、それがいいね!さすがファーリー!」
「えぇ………。」
 ファーリーさんの援護とクリストファーさんのゴリ押しによって、俺の魔力測定は決まったのであった。


~後日~
「それじゃ、頼むよルイスくん、エミリーちゃん。メモにお店の場所も書いておいたからね。ホントに頼むよ……!」
 ジョセフさんのどこか必死な見送りを受けながら、俺とエミリーさんは出発することになった。
「る、ルイスさん、え、と、そ、そろそろ馬車が来る頃だと、思うので、い、急ぎましょう……!」
 初対面よりは吃らなくなったような気のするエミリーさんに連れられ、俺は走り出したのであった。



 クリストファー視点
 え、ほんとにどういう事…?怪力になったって、呪いの影響ぐらいしか理由無くない?
 でもそうなると、解呪が上手く行ってないってことに……。いやでも、ラインハルトの解呪は上手くいったみたいだし……ルイス君だけ?
 呪いの解呪条件は『真実の愛のキス』。
 ラインハルトの解呪が完全なところからみて、キス自体が口の端とかで失敗判定になったとかはないはず……。
 ……まさか、ラインハルトが実はルイス君が好きじゃない、とか………。
 いやいやいやいや、ないないない。
 でもなぁ…、他に理由って……。
 ほんとにどうなってるのさぁ……!!!

 頭を抱えてるクリストファーが居たとか居ないとか。
 因みにクリストファーが屋敷に居るのは、消化しきれて居ない有給を消化させらているから、なのだとか。
 クリストファー視点終了
 

 何か話したほうがいいんだろうか……。
 ちらりとエミリーさんを見る。今は隣に並んで座っている。身長の差があるため、座っても少し見上げないといけない。……。
 俺のエミリーさんの印象は、今のところ綺麗好きと引っ込み思案である。
 吃りながら喋ることが多く、1日中屋敷のどこかしらを掃除している様な感じだ。
 俺が見たところだけだから、まだまだよくわからないが。
 今のところ、エミリーさんも無言は気まずいタイプなのか、そわそわと落ち着かない。
「馬車って結構揺れないんですね。」
 ぐるぐると考えたが、結局言ったのは当たり障りの無いことだった。
「こ、ここら辺は、よく人が使うので、整備が、い、行き届いているんだと…、他の所だと結構ガタガタしますし……。」
「そうなんですね。というか、敬語使って頂かなくて大丈夫です。」
 敬語じゃなくなれば、もう少し話しやすくなったりしないだろうか。
 馬車に揺られながら、エミリーさんと話す。
「え、ぁ、えと…、る、ルイスさんも敬語を、やめてくれるなら……。」
 う~む……。どうしよう。先輩に敬語を使わないのはどうかと思ったりするんだが……。これは俺の考えが古いんだろうか。確かにエミリーさんと俺の年はさほどあいてなさそうだが……。
「だ、駄目でしょうか…?」
「いえ、よろしくお願いしま、よろしく、エミリーさん。」
 仲良くなりたい気持ちが勝った俺は気にしない事にした。そろそろ職場で仲良く話せる人が欲しい。
「はい、じゃないや、うん…!よ、よろしくね、ルイスさん……!」
 きらきらとした目で言われ、少し妹達を思い出した。
「わ、私、同年代の子と話すの久しぶりで……!しゃ、喋るのも苦手だし…!」
 ごめんなさい、中身はそろそろおっさんなんだ………。前世と今世合わせるとぎりぎりお兄さんとは呼べないんだよな……。
「……そっか。じゃあ、これから俺と話すので練習すればいいと思うぞ。」
 申し訳ない気持ちになりながら俺は会話を続けるのであった。
「……!!ありがとう…!」
 う゛…!!純粋な視線が俺に突き刺さってくる……!!

 因みに、魔力測定は平均よりはちょっと多め、水属性であった。以上。
 ……我ながら平凡だな。
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