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第二章

起きた ラインハルト視点

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「あんたの事なんか好きになる訳ないだろ。」
 ……そうだよな、
「あんたみたいな髪色で不細工、おまけに背も高くて筋肉ばっかりのやつなんて、いくら辺境伯でもお断りだ。」
 っ…………!…、
「…はっ、……!」
 嫌な汗をかきながら飛び起きる。起きた部屋はいつもの自室だった。
 ………全部夢だったんだろうか……。
 荒くなっている呼吸を整えていると、ノックの音が響いた。…ファーリーだろうか。
「……入れ。」
 ガチャリ
「失礼致します。起きられたようで何よりですアルンディオ辺境伯様。私、医師のミルイ・クーターと申します。」
 入って来たのはファーリーでは無く、中年の医師だった。
「あ、嗚呼、……申し訳ないが、クーター殿がここに居る理由を聞いてもいいだろうか。」
 医師と認められた者のみつけられるボタンが白衣についている事を確認する。
「はい。私はアルンディオ辺境伯様のお目を診察しに参りました。そして丁度私が着いた頃にお倒れになられたようで私が診察させていただきました。」
 たおれた?…もしかして、夢では無かったのか?
「そうか…。」
「つきましては、体調について二三お伺いしたいのですが。」
「嗚呼。宜しく頼む。」
 ・・・・・診察中

「…恐らく、極度の疲労による一時的な視力低下だと思われます。一度しっかりと眠られたので完治したのではないかと……。しかし一度しっかりと施設で検査されたほうが宜しいかと……。」
 クーター殿が少し自信なさげに診察結果を話す。
 ……流石に医師も呪いだなんて思わないだろうな……。
「…そうだな、近々検査に行こう。」
「はい。それでは私は他の皆様に伝えて参ります。」
「嗚呼。ご足労頂き感謝する。」

 バタリ、と重めの寝室のドアが閉まる。
「はぁぁ~~………」
 せっかく見えるようになった両目を手で多いながらため息をついた。
 …おそらく、俺が倒れたのは寝不足と、鼻血による軽い貧血だろうな……。
 あぁぁあ、夢か?夢だったんじゃないのかあれは?いやでも、現に俺は失明して何故か治ったと医師に言われたわけだし……。
 あ゛ぁーーー!!!どっちなんだー!!
 自身一人しか居ない部屋で悶々と考える。
 せめてファーリーか兄さんでも居れば話が聞けるのに……。
「ハァ……。」
 またため息をついてベットに転がった。
 転がったベットはいつもと変わらない筈なのに、妙に広く感じる。 
 あれが夢でなければ……。
「お、俺とルイスはり、両想い、ということに………、ぅあぁあ゛ぁ……!!」
 ふと考えついた事を振り切るように思い切り枕に頭をぶつける。
 だが、一度考えてしまうと中々消えてはくれないようで。なんならルイスの裸なんかも思い出してしまい、また3回ほど枕に頭をぶつけることになった。
  
 コンコンコン
「!!?」
 急に響いたノックに跳ね起きた。
 こ、今度こそファーリーだろうか…?
 考えている間に扉は思い切り開かれた。
「はいは~いラインハルト~、返事ないけど入るよ~。」
「に、兄さん!?」
 返事をする前に部屋に入ってきた兄さんは扉を閉めることなくベットの直ぐ側までよってきた。
「ご無事のようですね坊ちゃん。」
「ファーリー……、坊ちゃんはやめろ。」
 ファーリーも兄さんの暴挙を気にすることなく堂々と入ってくる。やはり扉は閉めない。
 …なんで全員扉をしめないんだ……。
「取り敢えず元気そうでなにより~。って、ルイスくんも入っておいで!」
「え、…ちょ、わ!」
 え、る、ルイスもいるのか……!?というか喋って!?
 兄さんが扉の外から誰かを引っ張る。兄さんより一回り以上華奢な人物。
「え、えと、大丈夫、ですか?」  
「……は?」
 混乱の言葉が出てこない。
「ちょっと~、ちゃんと話なよラインハルト。」
 バシバシと兄さんに背中を叩かれる。
 が、だ。
 俺が黙ってしまったことでおろおろとしながらもこちらを見てくる人物。おそらくルイス。
 フェンリルのときと同じ髪と瞳の色。
 夕日のような赤色の髪に、若葉色の瞳、おまけに自身よりも二回りも小さそうな美人と何を話せと……!?
 心配そうなルイスを前に、俺の意識はまたもや飛んでいきそうになるのだった。
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