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第二章
クリストファー・アルンディオ
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………ちょっ~とラインハルトには刺激が強かったか~……。
半分思考停止に陥りながら、ファーリーがバタバタと動き出すのを横目に見る。
___ラインハルトにも、春が来たかなぁ。
2歳違いで産まれた俺の弟、ラインハルト。
物心ついた頃には隣に当たり前の様に居て、ちょこちょこと後ろをついて来るような可愛い子だった。
お菓子の取り合いで喧嘩して、結局二人で半分こして食べる。転んだら大声をあげて泣く。何にでも興味を持って、いつの間にか走って行ってしまう。
そんな、皆と変わらない子供だった弟。
でも、何故か皆からは受け入れられなかった。
何が違うと言うんだろう。皆と同じ様に、笑って、泣いて、遊んで。
寧ろ皆より良い子で、賢くて、優しくて、ちょっとネガティブなところもあるけど、とっても素敵な子でしょう?
自分でもちょっとブラコンだなと思う。でも、昔も今もそう思ってる。
母上に何で皆はラインハルトを嫌うのか聞いてみた。
『あなたはそのままで居てあげてね。』
はぐらかされてしまった。
父上にも聞いてみた。
『…この世には、色々な考えを持つ者が居る。人の考えは、簡単に変える事は出来ない。知った所で、お前に出来る事は少ないと言っていい。さぞお前は、無力感に打ちのめされることだろう。』
___『それでも、お前は聞くか。』
珍しく饒舌に喋った父上。難しい言葉で、少し分かりにくかった。だけどその時の俺はあまり深く考えず、父上に聞くと言い張った。
父上から聞いた話は、意味がわからなかった。
ラインハルトの容姿は、とても恐ろしいらしい。まるで頭から血を被った化け物の様だと。
俺からしたら、父上や母上が怒った時の方がとても怖い。
ラインハルトは、苺のジャムくらいしか頭から被った事なんてないし、怖がられる事なんてしたことない。
俺と手を繋ぐのが好きで、繋いであげると嬉しそうに笑うようなかわいい弟を、何だと思っているんだと思った。
俺はそんな事を言った父上に怒って、部屋を出ていった。
部屋から出ると、新しく入ったらしい侍女の人達が話していた。その人達は、ラインハルトをさり気なくだけど、確実に避けて仕事をしている人達だった。
俺は、その人達に沢山ラインハルトの良いところを話して好きになってもらおうと思った。それでも、微妙な顔をされるだけで終わってしまった。
俺は何度も、色んな人にラインハルトの良いところを言ってまわった。何日も、何日も。
___そしてある時、わかってしまった。
皆、ラインハルトが嫌いなんじゃない。怖いんだって。
嫌いと怖いじゃ凄い違いがある。
俺が怒った父上達が怖いのと同じ様に、いや、それ以上に皆はラインハルトが怖く見えるんだ。
別に怖がりたくて怖がってるんじゃないんだ。
想像してみた。
刃物を持った殺人鬼が目の前に居たとして、皆どう思うだろう。…俺は、どう思うだろう。
怖い、と、逃げなきゃ、と、誰か助けて、と、そう思うだろう。
もし大事な人が居たならば、守らねばと、思うだろう。
やっと、俺は父上の言葉の意味がわかった。
『人の考えは、簡単に変える事は出来ない。』
…そうですね。いくら、ラインハルトの良いところを伝えても、たった数ヶ月では変えられませんでした。
『さぞお前は、無力感に打ちのめされることだろう。』
…ええ。無力な自分が憎いと思いますよ。
この時俺は、半分ほど諦めてしまった。今思うと、子供にしては聞き分けの良かった俺は諦める癖がついていたのだと思う。
さり気なくラインハルトの良い所を言うのは止めなかったけど、それでラインハルトと仲良くしようと思ってくれる人は稀だった。
逆に、自分の行動がラインハルトを傷つけていないか心配になった時もある。
そうこうしている内に、俺は27歳。ラインハルトは25歳だ。
俺は宰相として働きながら家督を継ぎ、ラインハルトはある功績を認められ辺境伯の位を頂いていた。
そして、ここで新たな問題が浮き上がってくる。
___ラインハルトの跡継ぎのことだ。
いやまあ、正直養子でいい。しかし、ラインハルトの容姿に耐えられる子供が居るかどうかなんだ。
ラインハルトも少し気にしているようだが、積極的には動いていないらしい。…子供に泣かれるのは大分ショックを受けるからな。
そんな折、ラインハルトに使い魔ができたらしいと聞き、仕事ついでに呼んでみた。王城に来るのが苦手な事は知っているけど、偶には俺も弟の顔が見たいんだ。許してくれ。
久しぶりに会った弟に驚く。使い魔契約をしていないらしい。俺の使い魔が教えてくれた。
しかし、ラインハルトはその獣と一緒にいるらしい。
カマをかければ、随分と大事にしているようで。そして相変わらず表情で感情がわかりやすい弟だ。
大事ならさっさと使い魔にしてしまえばいいと、遠回しに言っておいたけど、伝わったかなぁ。
___まさか、赤毛のフェンリルだとは思わなかったけど。
その子が実は人間だったとも思わなかったけど……!
ラインハルトが呪いにかけられ、一縷の望みをルイス君にかけた。
部屋にラインハルトとルイス君を残し、隣の部屋に通してもらう。ファーリーは部屋の前で待つらしい。
「~~~!!」
案外早く解決したのかな?
隣の部屋が騒がしくなる。俺もラインハルトの様子を見に行く事にした。
しかし、何故か扉を開けた所で固まっているファーリーが。
ファーリーを避けて部屋を覗く。
「なになに~?どうした、の……って、……?」
ファーリーが固まった理由がひと目でわかった。
よく熟れた赤い果実の様な、艶々とした明るい髪。
長い雨が明け、たっぷりと水分を吸い込んだ瑞々しい草木の様な緑色の瞳。
色味だけでもとても鮮やかで、街に居たならほぼ全員が振り返るだろう。
そして極めつけに、ラインハルトの腕の中にすっぽりと納まってしまうだろう華奢な体。
そんな、100人中特殊な好みの3人を除く97人が美人だと答えそうな彼は、ラインハルトに膝枕していた。
______裸で。
因みに、膝枕されているラインハルトは鼻血を出しながら気絶しているようだ。
……ラインハルトには、刺激が強かったか~……。それにしても……
__彼が、ノーネ君だろうか。
慌てながら医者を呼びに行くファーリーを横目に考える。ラインハルトは大丈夫だ。ちょっと刺激が強くて鼻血出ただけだろうからね。……取り敢えず俺の上着を貸そう……。
今日上着持ってて良かった、と思いつつ、上着を被せる。
「君は、ノーネ君かな?」
問いかける俺をきょとんと見上げてくる彼は、ラインハルトが血を出した事以外はあまり混乱していないらしい。
「はい。ノーネと呼ばれていました。でももうルイスなので、そちらで呼んでくれると嬉しいです。」
「そっか…。話が聞きたいんだけどいいかな?」
申し訳ないと思いつつ、話を聞きたいと伝える。にしても、ラインハルトのつけた名前を大事にしてくれている様で俺も嬉しく思う。
「俺、記憶が朧げで、あんまり話せないと思うんですけど……。」
申し訳無さそうに応えてくれるルイス君。
「朧げでもいいから聞かせてほしい。ま、その前に服だよね!」
「わかってないかもだけど、ルイス君、君、裸だよ?」
そう告げた次の瞬間、ルイス君の叫び声が響きわたったのだった。
「お、お恥ずかしいところをお見せしました……。」
ルイス君に服を着せ、さっきのラインハルトが鼻血を出した部屋とは別の応接間に移動する。ラインハルトの鼻血で血まみれだからね、さっきの部屋は。
「大丈夫だよ~!こちらこそ、不可抗力とはいえ婿入り前の子の裸見ちゃってごめんね。」
これは本当に申し訳ない。平民は貴族ほど貞操を重視しないとはいえね。
「いえ、それより、ラインハルト、さんは大丈夫ですか?」
あんまり気にしていないようなルイス君は、ラインハルトの心配をする。
「ああ、大丈夫大丈夫。ちょっと刺激が強かっただけだから。」
断定して言う俺に不思議そうな顔をするルイス君。純粋そうな子だなぁ。
「ま、それは置いといて。ルイス君はこれからどうするの?」
「一度教会に帰ってから、働く先を探そうと思ってます。」
「働くの?」
ルイス君くらいの美人なら、すぐに結婚して家庭に入っちゃうと思ってた。ルイス君なら是非養いたいって言う人多そうだし、と驚く。
「え、働きますよ。俺成人したので働けますし。」
怪訝そうにそう言うルイス君。
「結婚したいなぁ~、とかは無いの?」
直球で聞けば、少し考えた後その気は無いと応える。う~む……。
「じゃあ、働きたいと思ってる所とかはあるの?」
無ければラインハルトの所で働いてもらいたい。絶対にルイス君が居なくなったらラインハルトが悲しむ。その癖引き留めもしないもんだから、もう少し粘れと思ってしまう。
「あ、それはあります。」
「そうなの?どこどこ~?お兄さんに教えてご覧?」
働きたいところがあるだと?これはそれとなくこの屋敷で働こうと思える様に誘導しなければ…!
人懐こそうな人を演じつつ、ルイス君から話を聞き出そうと身を乗り出す。
「…えと、できたら、ここで働きたいな、と思ってます。」
……へ?
「ここで働きたいの?」
未だ嘗てここで働きたいと言い出した者を見たことがなかった俺は、思わず聞き返してしまった。
「はい。」
それにはっきりと応えるルイス君。
「結婚する気はないんだね?」
ラインハルトの金とか、地位とか目当てで近づいて結婚しようとかでは無いよね?
「はい。」
「教会に一度帰る?」
「はい。神父様達も心配してると思いますし。」
うん。はいとしか言えない訳じゃないね。あ、どさくさに紛れてラインハルトが好きか聞いてみよ。
「ラインハルトの事好き?」
「はい、?へ?」
うっかりはい、と答えたルイス君は狼狽える。…狼狽え方が好きな人を当てられた時の反応なんだけど……?
「え、えと、す、すきって…?」
「勿論、恋愛的な意味でね?」
どもりながら聞き返してくるルイス君に、質問の意図をはっきりとさせる。さっきの反応で少し希望を見た俺は押せ押せだ。
____ラインハルトに、可愛いお婿さんができるかもしれない…!!
「安心して。誰にも言わないし、何を言っても怒ったりしないよ。」
「………。」
目線を下に向けるルイス君。パクパクと口を開けては閉じ、言うのを戸惑っている様に見える。
「…すきです。ずっと一緒に居られたら、と思うくらい、ラインハルトのことが好きです。」
口を開いたルイス君から出た言葉は、好きに満ちていて、言葉が通じなくてもわかるだろうと思うほどだった。
頬をほんのりと染めて、今恋してますと言うような表情でラインハルトを好きだと言うルイス君。
俺の頭の中ではファンファーレが響いていた。
______これはラインハルトに恋人ができる日も近い!!
…あれ?でも、結婚はする気無いって言ってなかったっけ?
「ラインハルトと結婚したいとかはないの?ラインハルト妻も夫も居ないよ?」
「?妻も夫もいないのに妾はとれませんよ?というかラインハルトは俺の事好きなのかわかりませんし。」
………?…???
「へ?めかけ?」
何も頭を通さずに言葉が口から出た。
…え?まって?この子今妾っていった?と言うかラインハルトが自分の事好きかどうかわからないって……、あ、ルイス君呪いの詳細寝てて聞いて無かったんだった……。
「ちょ、ちょっと待って……!妾としてじゃなくてさ、夫としてラインハルトと結婚したくないかって聞いてるんだよ?」
「平民って貴族の人と結婚できるんですか?」
スゥ~ーっ…………、そこもかぁ……。
「あのね、ルイス君。」
色々と言いたい事はあるけど、とにかく一番先に言っておかないと。
___「貴族は別に平民と結婚しちゃ駄目なんて法律は無いんだよ。」
ほんとに。だから是非うちのラインハルトにお婿に来て。
「はい?」
俺の剣幕に驚くルイス君には悪いが、ほんとにそうだから。
「確かに結婚してる人は少ないって言うか、今は居ないけど偶に居るし、平民から貴族に成り上がった人だっていっぱい、は言い過ぎだけど居る。だからね、ルイス君とラインハルトは結婚出来ない訳じゃないんだよ。わかった?」
「は…はい……?」
怒涛の勢いで説明すれば、戸惑いながらも俺の言いたい事はわかってくれたらしい。
「まあ、それは置いといて。ルイス君はここで働きたいんだね?」
強引に話を逸らす。結婚とかはラインハルトが頑張らないとね。
「は、はい!ここで働きたいです。働きたいですけど、ここの仕事が俺にちゃんとできる内容かどうかわからないので、少し決めかねてます。」
ふんふん、恋に盲目では無い、と。仕事を任せる側としては良いことだけど、ラインハルトと相思相愛にするって側からするとちょっと惜しいかな。
「ふむふむ。じゃあ俺がここの仕事ができるかどうか質問してあげよう!」
というのは半分建前でルイス君がラインハルトと結婚してもやっていけそうか質問しちゃお。
「まずは一つ目!敬語はさっきからそこそこ喋れているけど、読み書きはできる?」
下働きならとくに必要ないけど、ラインハルトの傍で仕事をしてもらうってなると、ある程度の役職につかせたいからね。
「はい。専門的な物で無ければできると思います。」
へぇ、教会の誰かにでも教わってたのかな?
「ウンウン、いいね!じゃあ、魔法はどのくらい使える?」
魔法はどうなんだろう?行方不明になったのは成人前って聞いたけど。
「成人前にフェンリルになってしまったで、魔法を教えてもらっていません。ですから魔法は使えません。」
ウンウン、正直でよろしい~。大人に隠れて魔法試したりする子も結構いるけど、ルイス君はそこはちゃんと守ってた派かなぁ~。
「そうなの?でもラインハルト一緒に討伐に参加していたって聞いたよ。血生臭い事は得意なの?」
「そこまで得意ではありません。できればしたくないです。ですが、それしか手段が無いならできます。と言っても、フェンリルではなくなったので戦力にならないと思いますが。」
………いいねぇ!ウンウン、ちゃんと倫理観を備えていながら覚悟は決まってる感じ。なんなら部下に欲しい~。
「ふむふむ。じゃあ家事とかは?どのくらいできる?裁縫とかは?」
「炊事洗濯掃除、一通りできると思います。教会でやっていたので、こちらのやり方とは違うかもしれませんけど。裁縫もこちらのやり方とは違うかもしれませんけど、教会のほうで服の直しとかをしてたのでできます。」
「結構できる事多いね~。教会に居たって言うけど、人と話すのは得意だったりする?」
「知り合いは多い方だと思います。教会に居る人は勿論、市場とかにもよく買い出しで行っていたので。」
わぁ~…、伴侶力たかぁ~い……。ラインハルト頑張って……。多分気を抜いてると掻っ攫われるよぉ……。
「ほうほう。では最後に問題です!」
ま、聞きたい事は大体聞けたし、最後に1つ問題出しちゃおう。
「ラインハルトは、1万フィリンをもって市場に行ったよ。そこで、そうだなぁ、りんごを沢山買った事にしよう。少しお高めのりんごで、300フィリンした。お釣りを貰うと、丁度1000フィリン。さて、ラインハルトは何個りんごを買ったでしょう?」
できるかなぁ?まあ、時間はかかるだろうけど、多分できそうだね。
「30個です。」
「大正~解!自分で言っておいてなんだけど、そんなにりんご買ってどうするんだろうねラインハルト。」
い、以外と早かったな…?
「まあ、りんごを何故か30個も買ったラインハルトは置いといて、ルイス君はここの仕事できると思うよ。ね、ファーリー。」
「そうで御座いますね。本人にその気があれば、私の技術もお教えしますから、頑張り次第では執事も夢ではないかと。」
気配を消しながらずっと聞き耳を立てていたファーリー。相変わらず優秀だよねぇ。それにファーリーも働いてもらう気満々だ。
「し、執事にもなれるんですか?」
執事になれる事に驚くルイス君。執事になるのは貴族の三男とかも多いけど、平民もある程度居るからそれほど珍しくないと思うけどね。
「はい。最初は下働きからになってしまいますが、ルイス様であれば大丈夫かと思います。」
「あ、でも、ここって新しい下働きとかの募集してるんですか?」
「そうですねぇ。特にしてはおりませんが、そろそろ私も歳ですので、後任が欲しかったところなのです。ルイス様さえ良ければ、ラインハルト様にお伝えしますよ。」
「よろしくお願いします!勿論使えなければ即クビにしていただいていいので!」
ウンウン。話が纏まったね。
___コンコン。
その時、ノックの音が響いた。
「入っていいよ。」
ラインハルトが居ないので、今は入室の許可は俺が出す。
「失礼致します。」
入って来たのはファーリーの呼んだ医者のようで、白衣を身に着けた中年の男性だ。
「アルンディオ辺境伯様がお目覚めになられました。」
………、思ったより早く起きたねラインハルト。
ホッとしてるルイス君には悪いけど、別にラインハルトは体調が悪くなった訳じゃないからね。君の裸が刺激強すぎただけだから。
半分思考停止に陥りながら、ファーリーがバタバタと動き出すのを横目に見る。
___ラインハルトにも、春が来たかなぁ。
2歳違いで産まれた俺の弟、ラインハルト。
物心ついた頃には隣に当たり前の様に居て、ちょこちょこと後ろをついて来るような可愛い子だった。
お菓子の取り合いで喧嘩して、結局二人で半分こして食べる。転んだら大声をあげて泣く。何にでも興味を持って、いつの間にか走って行ってしまう。
そんな、皆と変わらない子供だった弟。
でも、何故か皆からは受け入れられなかった。
何が違うと言うんだろう。皆と同じ様に、笑って、泣いて、遊んで。
寧ろ皆より良い子で、賢くて、優しくて、ちょっとネガティブなところもあるけど、とっても素敵な子でしょう?
自分でもちょっとブラコンだなと思う。でも、昔も今もそう思ってる。
母上に何で皆はラインハルトを嫌うのか聞いてみた。
『あなたはそのままで居てあげてね。』
はぐらかされてしまった。
父上にも聞いてみた。
『…この世には、色々な考えを持つ者が居る。人の考えは、簡単に変える事は出来ない。知った所で、お前に出来る事は少ないと言っていい。さぞお前は、無力感に打ちのめされることだろう。』
___『それでも、お前は聞くか。』
珍しく饒舌に喋った父上。難しい言葉で、少し分かりにくかった。だけどその時の俺はあまり深く考えず、父上に聞くと言い張った。
父上から聞いた話は、意味がわからなかった。
ラインハルトの容姿は、とても恐ろしいらしい。まるで頭から血を被った化け物の様だと。
俺からしたら、父上や母上が怒った時の方がとても怖い。
ラインハルトは、苺のジャムくらいしか頭から被った事なんてないし、怖がられる事なんてしたことない。
俺と手を繋ぐのが好きで、繋いであげると嬉しそうに笑うようなかわいい弟を、何だと思っているんだと思った。
俺はそんな事を言った父上に怒って、部屋を出ていった。
部屋から出ると、新しく入ったらしい侍女の人達が話していた。その人達は、ラインハルトをさり気なくだけど、確実に避けて仕事をしている人達だった。
俺は、その人達に沢山ラインハルトの良いところを話して好きになってもらおうと思った。それでも、微妙な顔をされるだけで終わってしまった。
俺は何度も、色んな人にラインハルトの良いところを言ってまわった。何日も、何日も。
___そしてある時、わかってしまった。
皆、ラインハルトが嫌いなんじゃない。怖いんだって。
嫌いと怖いじゃ凄い違いがある。
俺が怒った父上達が怖いのと同じ様に、いや、それ以上に皆はラインハルトが怖く見えるんだ。
別に怖がりたくて怖がってるんじゃないんだ。
想像してみた。
刃物を持った殺人鬼が目の前に居たとして、皆どう思うだろう。…俺は、どう思うだろう。
怖い、と、逃げなきゃ、と、誰か助けて、と、そう思うだろう。
もし大事な人が居たならば、守らねばと、思うだろう。
やっと、俺は父上の言葉の意味がわかった。
『人の考えは、簡単に変える事は出来ない。』
…そうですね。いくら、ラインハルトの良いところを伝えても、たった数ヶ月では変えられませんでした。
『さぞお前は、無力感に打ちのめされることだろう。』
…ええ。無力な自分が憎いと思いますよ。
この時俺は、半分ほど諦めてしまった。今思うと、子供にしては聞き分けの良かった俺は諦める癖がついていたのだと思う。
さり気なくラインハルトの良い所を言うのは止めなかったけど、それでラインハルトと仲良くしようと思ってくれる人は稀だった。
逆に、自分の行動がラインハルトを傷つけていないか心配になった時もある。
そうこうしている内に、俺は27歳。ラインハルトは25歳だ。
俺は宰相として働きながら家督を継ぎ、ラインハルトはある功績を認められ辺境伯の位を頂いていた。
そして、ここで新たな問題が浮き上がってくる。
___ラインハルトの跡継ぎのことだ。
いやまあ、正直養子でいい。しかし、ラインハルトの容姿に耐えられる子供が居るかどうかなんだ。
ラインハルトも少し気にしているようだが、積極的には動いていないらしい。…子供に泣かれるのは大分ショックを受けるからな。
そんな折、ラインハルトに使い魔ができたらしいと聞き、仕事ついでに呼んでみた。王城に来るのが苦手な事は知っているけど、偶には俺も弟の顔が見たいんだ。許してくれ。
久しぶりに会った弟に驚く。使い魔契約をしていないらしい。俺の使い魔が教えてくれた。
しかし、ラインハルトはその獣と一緒にいるらしい。
カマをかければ、随分と大事にしているようで。そして相変わらず表情で感情がわかりやすい弟だ。
大事ならさっさと使い魔にしてしまえばいいと、遠回しに言っておいたけど、伝わったかなぁ。
___まさか、赤毛のフェンリルだとは思わなかったけど。
その子が実は人間だったとも思わなかったけど……!
ラインハルトが呪いにかけられ、一縷の望みをルイス君にかけた。
部屋にラインハルトとルイス君を残し、隣の部屋に通してもらう。ファーリーは部屋の前で待つらしい。
「~~~!!」
案外早く解決したのかな?
隣の部屋が騒がしくなる。俺もラインハルトの様子を見に行く事にした。
しかし、何故か扉を開けた所で固まっているファーリーが。
ファーリーを避けて部屋を覗く。
「なになに~?どうした、の……って、……?」
ファーリーが固まった理由がひと目でわかった。
よく熟れた赤い果実の様な、艶々とした明るい髪。
長い雨が明け、たっぷりと水分を吸い込んだ瑞々しい草木の様な緑色の瞳。
色味だけでもとても鮮やかで、街に居たならほぼ全員が振り返るだろう。
そして極めつけに、ラインハルトの腕の中にすっぽりと納まってしまうだろう華奢な体。
そんな、100人中特殊な好みの3人を除く97人が美人だと答えそうな彼は、ラインハルトに膝枕していた。
______裸で。
因みに、膝枕されているラインハルトは鼻血を出しながら気絶しているようだ。
……ラインハルトには、刺激が強かったか~……。それにしても……
__彼が、ノーネ君だろうか。
慌てながら医者を呼びに行くファーリーを横目に考える。ラインハルトは大丈夫だ。ちょっと刺激が強くて鼻血出ただけだろうからね。……取り敢えず俺の上着を貸そう……。
今日上着持ってて良かった、と思いつつ、上着を被せる。
「君は、ノーネ君かな?」
問いかける俺をきょとんと見上げてくる彼は、ラインハルトが血を出した事以外はあまり混乱していないらしい。
「はい。ノーネと呼ばれていました。でももうルイスなので、そちらで呼んでくれると嬉しいです。」
「そっか…。話が聞きたいんだけどいいかな?」
申し訳ないと思いつつ、話を聞きたいと伝える。にしても、ラインハルトのつけた名前を大事にしてくれている様で俺も嬉しく思う。
「俺、記憶が朧げで、あんまり話せないと思うんですけど……。」
申し訳無さそうに応えてくれるルイス君。
「朧げでもいいから聞かせてほしい。ま、その前に服だよね!」
「わかってないかもだけど、ルイス君、君、裸だよ?」
そう告げた次の瞬間、ルイス君の叫び声が響きわたったのだった。
「お、お恥ずかしいところをお見せしました……。」
ルイス君に服を着せ、さっきのラインハルトが鼻血を出した部屋とは別の応接間に移動する。ラインハルトの鼻血で血まみれだからね、さっきの部屋は。
「大丈夫だよ~!こちらこそ、不可抗力とはいえ婿入り前の子の裸見ちゃってごめんね。」
これは本当に申し訳ない。平民は貴族ほど貞操を重視しないとはいえね。
「いえ、それより、ラインハルト、さんは大丈夫ですか?」
あんまり気にしていないようなルイス君は、ラインハルトの心配をする。
「ああ、大丈夫大丈夫。ちょっと刺激が強かっただけだから。」
断定して言う俺に不思議そうな顔をするルイス君。純粋そうな子だなぁ。
「ま、それは置いといて。ルイス君はこれからどうするの?」
「一度教会に帰ってから、働く先を探そうと思ってます。」
「働くの?」
ルイス君くらいの美人なら、すぐに結婚して家庭に入っちゃうと思ってた。ルイス君なら是非養いたいって言う人多そうだし、と驚く。
「え、働きますよ。俺成人したので働けますし。」
怪訝そうにそう言うルイス君。
「結婚したいなぁ~、とかは無いの?」
直球で聞けば、少し考えた後その気は無いと応える。う~む……。
「じゃあ、働きたいと思ってる所とかはあるの?」
無ければラインハルトの所で働いてもらいたい。絶対にルイス君が居なくなったらラインハルトが悲しむ。その癖引き留めもしないもんだから、もう少し粘れと思ってしまう。
「あ、それはあります。」
「そうなの?どこどこ~?お兄さんに教えてご覧?」
働きたいところがあるだと?これはそれとなくこの屋敷で働こうと思える様に誘導しなければ…!
人懐こそうな人を演じつつ、ルイス君から話を聞き出そうと身を乗り出す。
「…えと、できたら、ここで働きたいな、と思ってます。」
……へ?
「ここで働きたいの?」
未だ嘗てここで働きたいと言い出した者を見たことがなかった俺は、思わず聞き返してしまった。
「はい。」
それにはっきりと応えるルイス君。
「結婚する気はないんだね?」
ラインハルトの金とか、地位とか目当てで近づいて結婚しようとかでは無いよね?
「はい。」
「教会に一度帰る?」
「はい。神父様達も心配してると思いますし。」
うん。はいとしか言えない訳じゃないね。あ、どさくさに紛れてラインハルトが好きか聞いてみよ。
「ラインハルトの事好き?」
「はい、?へ?」
うっかりはい、と答えたルイス君は狼狽える。…狼狽え方が好きな人を当てられた時の反応なんだけど……?
「え、えと、す、すきって…?」
「勿論、恋愛的な意味でね?」
どもりながら聞き返してくるルイス君に、質問の意図をはっきりとさせる。さっきの反応で少し希望を見た俺は押せ押せだ。
____ラインハルトに、可愛いお婿さんができるかもしれない…!!
「安心して。誰にも言わないし、何を言っても怒ったりしないよ。」
「………。」
目線を下に向けるルイス君。パクパクと口を開けては閉じ、言うのを戸惑っている様に見える。
「…すきです。ずっと一緒に居られたら、と思うくらい、ラインハルトのことが好きです。」
口を開いたルイス君から出た言葉は、好きに満ちていて、言葉が通じなくてもわかるだろうと思うほどだった。
頬をほんのりと染めて、今恋してますと言うような表情でラインハルトを好きだと言うルイス君。
俺の頭の中ではファンファーレが響いていた。
______これはラインハルトに恋人ができる日も近い!!
…あれ?でも、結婚はする気無いって言ってなかったっけ?
「ラインハルトと結婚したいとかはないの?ラインハルト妻も夫も居ないよ?」
「?妻も夫もいないのに妾はとれませんよ?というかラインハルトは俺の事好きなのかわかりませんし。」
………?…???
「へ?めかけ?」
何も頭を通さずに言葉が口から出た。
…え?まって?この子今妾っていった?と言うかラインハルトが自分の事好きかどうかわからないって……、あ、ルイス君呪いの詳細寝てて聞いて無かったんだった……。
「ちょ、ちょっと待って……!妾としてじゃなくてさ、夫としてラインハルトと結婚したくないかって聞いてるんだよ?」
「平民って貴族の人と結婚できるんですか?」
スゥ~ーっ…………、そこもかぁ……。
「あのね、ルイス君。」
色々と言いたい事はあるけど、とにかく一番先に言っておかないと。
___「貴族は別に平民と結婚しちゃ駄目なんて法律は無いんだよ。」
ほんとに。だから是非うちのラインハルトにお婿に来て。
「はい?」
俺の剣幕に驚くルイス君には悪いが、ほんとにそうだから。
「確かに結婚してる人は少ないって言うか、今は居ないけど偶に居るし、平民から貴族に成り上がった人だっていっぱい、は言い過ぎだけど居る。だからね、ルイス君とラインハルトは結婚出来ない訳じゃないんだよ。わかった?」
「は…はい……?」
怒涛の勢いで説明すれば、戸惑いながらも俺の言いたい事はわかってくれたらしい。
「まあ、それは置いといて。ルイス君はここで働きたいんだね?」
強引に話を逸らす。結婚とかはラインハルトが頑張らないとね。
「は、はい!ここで働きたいです。働きたいですけど、ここの仕事が俺にちゃんとできる内容かどうかわからないので、少し決めかねてます。」
ふんふん、恋に盲目では無い、と。仕事を任せる側としては良いことだけど、ラインハルトと相思相愛にするって側からするとちょっと惜しいかな。
「ふむふむ。じゃあ俺がここの仕事ができるかどうか質問してあげよう!」
というのは半分建前でルイス君がラインハルトと結婚してもやっていけそうか質問しちゃお。
「まずは一つ目!敬語はさっきからそこそこ喋れているけど、読み書きはできる?」
下働きならとくに必要ないけど、ラインハルトの傍で仕事をしてもらうってなると、ある程度の役職につかせたいからね。
「はい。専門的な物で無ければできると思います。」
へぇ、教会の誰かにでも教わってたのかな?
「ウンウン、いいね!じゃあ、魔法はどのくらい使える?」
魔法はどうなんだろう?行方不明になったのは成人前って聞いたけど。
「成人前にフェンリルになってしまったで、魔法を教えてもらっていません。ですから魔法は使えません。」
ウンウン、正直でよろしい~。大人に隠れて魔法試したりする子も結構いるけど、ルイス君はそこはちゃんと守ってた派かなぁ~。
「そうなの?でもラインハルト一緒に討伐に参加していたって聞いたよ。血生臭い事は得意なの?」
「そこまで得意ではありません。できればしたくないです。ですが、それしか手段が無いならできます。と言っても、フェンリルではなくなったので戦力にならないと思いますが。」
………いいねぇ!ウンウン、ちゃんと倫理観を備えていながら覚悟は決まってる感じ。なんなら部下に欲しい~。
「ふむふむ。じゃあ家事とかは?どのくらいできる?裁縫とかは?」
「炊事洗濯掃除、一通りできると思います。教会でやっていたので、こちらのやり方とは違うかもしれませんけど。裁縫もこちらのやり方とは違うかもしれませんけど、教会のほうで服の直しとかをしてたのでできます。」
「結構できる事多いね~。教会に居たって言うけど、人と話すのは得意だったりする?」
「知り合いは多い方だと思います。教会に居る人は勿論、市場とかにもよく買い出しで行っていたので。」
わぁ~…、伴侶力たかぁ~い……。ラインハルト頑張って……。多分気を抜いてると掻っ攫われるよぉ……。
「ほうほう。では最後に問題です!」
ま、聞きたい事は大体聞けたし、最後に1つ問題出しちゃおう。
「ラインハルトは、1万フィリンをもって市場に行ったよ。そこで、そうだなぁ、りんごを沢山買った事にしよう。少しお高めのりんごで、300フィリンした。お釣りを貰うと、丁度1000フィリン。さて、ラインハルトは何個りんごを買ったでしょう?」
できるかなぁ?まあ、時間はかかるだろうけど、多分できそうだね。
「30個です。」
「大正~解!自分で言っておいてなんだけど、そんなにりんご買ってどうするんだろうねラインハルト。」
い、以外と早かったな…?
「まあ、りんごを何故か30個も買ったラインハルトは置いといて、ルイス君はここの仕事できると思うよ。ね、ファーリー。」
「そうで御座いますね。本人にその気があれば、私の技術もお教えしますから、頑張り次第では執事も夢ではないかと。」
気配を消しながらずっと聞き耳を立てていたファーリー。相変わらず優秀だよねぇ。それにファーリーも働いてもらう気満々だ。
「し、執事にもなれるんですか?」
執事になれる事に驚くルイス君。執事になるのは貴族の三男とかも多いけど、平民もある程度居るからそれほど珍しくないと思うけどね。
「はい。最初は下働きからになってしまいますが、ルイス様であれば大丈夫かと思います。」
「あ、でも、ここって新しい下働きとかの募集してるんですか?」
「そうですねぇ。特にしてはおりませんが、そろそろ私も歳ですので、後任が欲しかったところなのです。ルイス様さえ良ければ、ラインハルト様にお伝えしますよ。」
「よろしくお願いします!勿論使えなければ即クビにしていただいていいので!」
ウンウン。話が纏まったね。
___コンコン。
その時、ノックの音が響いた。
「入っていいよ。」
ラインハルトが居ないので、今は入室の許可は俺が出す。
「失礼致します。」
入って来たのはファーリーの呼んだ医者のようで、白衣を身に着けた中年の男性だ。
「アルンディオ辺境伯様がお目覚めになられました。」
………、思ったより早く起きたねラインハルト。
ホッとしてるルイス君には悪いけど、別にラインハルトは体調が悪くなった訳じゃないからね。君の裸が刺激強すぎただけだから。
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