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一章
合同授業【使い魔編 猫と魚】
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「今日の合同授業は皆さんに使い魔を召喚してもらいます。」
その一言で、そわり、と空気が浮ついたのがわかる。
かく言う俺も俺も落ち着けていない。
「使い魔召喚は来てくれる者もいれば来てくれない者も居ます。
来てくれなかったと言って一生来ない訳でもありませんし、魔法や剣の腕が使い魔の有無に関係することもありません。
それは心に留めておくように。
後、中には使い魔を自分のしもべか何かだと勘違いしている者もいるかもしれませんが、決してそんな事はありません。
彼ら彼女らはあくまでも協力してくれる友人であり協力者です。
彼ら彼女らは自らの意思で契約し、協力してくれていると言うだけで、その気になればいつでも牙を剥かれると言うことを忘れないように。」
浮ついた空気を締める様にミィ先生は厳しい声でそう言った。
少し浮ついた空気が静まったのを満足そうに見遣って、召喚の手順を説明する先生。
魔法石(魔法耐性のある鉱石のこと。)に魔力を込めて、魔法陣の上に置く。
そうして、詠唱する。
それで召喚はできるらしい。
魔力を込めた魔法石を使うのは、その魔法石を体にすることで使い魔はその体が壊れても本体には影響無く過ごす事ができ、魔力を補充すれば復活できるようにする為。
使い魔契約はまた別で、呼び出した子に名前をつける事で契約できる。
普通に名付けを拒否されたり、攻撃されたりなどもあるので、先輩方や先生の監督の元やるのだそうだ。
様々な注意事項を説明された後、出席番号順に二人づつ召喚していく。
俺、使い魔で来てくれた子と仲良くなれるかな。
列に並び、どんどん召喚を試みた生徒が不思議な生物と一緒き帰ってきたり、肩を落として一人で帰ってきたりを見る中、考える。
先生は契約前でも召喚に応じてくれた使い魔とは会話ができるというが、俺のコミュ力で仲良くなれるだろうか。
そもそも召喚に応じてくれる子はいるだろうか。
そわそわしている間にも列は進んでいき、遂に俺の順番になった。
魔力を込めた真っ白の魔法石を魔法陣に置く。
「【コール】」
手を伸ばして、唱えた。
真っ白な魔法石がしゅるりと変形し、ぽふんっと跳ねた。
クリクリとしたまんまるの瞳。
もふもふとグレーと白の混ざった毛が揺れる。
ぴこぴこ、三角の耳が興味深そうに動いた。
ふさふさのしっぽを楽しそうに揺らす。
そこに居たのは____________……ねこ?
前世で見た、猫と言う生物によく似ていた。
《ぼくを召喚したのー!》
どーん、と勢いよく飛びついてくる姿はどちらかと言えば犬っぽい。
「おっとと…!」
少しこけかけながらも、しっかりとその子を抱っこして邪魔にならない様に列から出た。
俺の腕ですっぽり抱え込める程の大きさだが、長めの毛並みで少々大きく見える。
きゅるんとしたグレーの瞳で此方を見つめるその子。
「……撫でて良い?」
《いいよー!》
一応聞いてから撫でれば、嫌がれる事なく、くるくると喉が鳴った。
……………かっ、かわいい~~~!!
えっ、えっ、こんな可愛い子が俺の召喚に応じてくれたの?ほんとに?
まだ契約してくれると決まった訳ではないけれど、もうこの子なら来てくれるだけで嬉しい。と言うかどんな子でも来てくれるだけでありがたいけど!!
スキップしそうな気持ちのまま席に戻った。
既に召喚に成功していた生徒は自分の席で使い魔と話している。
なるほど、俺には他の子の使い魔が何を話しているかわからないけど、会話はできている様だ。
というかさっきこの子も喋ってたし。
そう思いながら席に座れば、するっと俺の腕から抜け出して机の上に降りたその子は好奇心に満ちた目でこちらを見る。
《ぼくを召喚した、きみのなまえは?》
「俺はユーリス。召喚に応じてくれてありがとう。」
《どういたしましてー!》
にぱっ、と可愛く笑うその子の声は幼く、性別はどちらかわからない。無いのかもしれないけど。
「ふふ、かわいい。」
取り敢えず可愛い。本当にかわいい。
目を瞑って笑っているのが可愛くて、思わずまた撫でる。
《きゅるる、きゃー。》
くるくると笑いながら机の上でお腹を見せるその子を思う存分撫でた。
一通り撫で終わると、その子は畏まったように前足を揃えて座った。
《それで、きみはぼくとどんな関係になりたいの?》
「…関係?」
なんだか、空気が変わった。
此方を見てくる灰色の瞳に、試されている、と思った。
《そう、関係。きみがぼくに求めるものともいう。
きみが求めるのは、どんなぼく?》
先生が言っていた協力者とは言い得て妙である。
目の前のこの子に、俺は何をして欲しいのか。
言ってしまえば、俺は授業ですると言われたからこの子を召喚した。
そこに望みや目的があった訳では無い。
何も考えずに召喚したこの子に、俺は何を求める。
「……………わからない、というか、なんでも良い。」
《なんでもいいの。》
ぽかん、と口を開けるその子。
強いて言えば求めるのは、使い魔としての関係になるのだろうけど、俺はそこまで考えていなかった。
わーい、面白そうな授業~!くらいにしか考えていなかったので。
「そもそも、出会ったばかりの俺と君の関係は、よくて知人だと思うんだ。
そこから友人なり、なんなりに変わっていく。
逆に言えば、そうなった関係以外に、俺達はなれないと思うんだよ。」
俺無理だよ。物凄いバディになろうと言われても鈍臭い俺じゃできないからね。できない事はやらないに限るんだよ。
《きみは、あるがままをのぞむんだね。》
…あの、そんな大層なものでは無いんですが……?
まっすぐに見つめられて言われた言葉に慄く。
俺そんなかっこいいこと言ってないよね?俺はできない事はしないってやる気のない事言っただけだよね?
混乱する俺を他所に、目の前の子は愉快そうに目を細めて笑った。
《ならぼくも、きみのあるがままをのぞもう。》
《さあ、ぼくのなまえをおしえて?》
え、えーーー……?
なんだか勘違いされている気もするけど、使い魔契約してくれるそうです?
その一言で、そわり、と空気が浮ついたのがわかる。
かく言う俺も俺も落ち着けていない。
「使い魔召喚は来てくれる者もいれば来てくれない者も居ます。
来てくれなかったと言って一生来ない訳でもありませんし、魔法や剣の腕が使い魔の有無に関係することもありません。
それは心に留めておくように。
後、中には使い魔を自分のしもべか何かだと勘違いしている者もいるかもしれませんが、決してそんな事はありません。
彼ら彼女らはあくまでも協力してくれる友人であり協力者です。
彼ら彼女らは自らの意思で契約し、協力してくれていると言うだけで、その気になればいつでも牙を剥かれると言うことを忘れないように。」
浮ついた空気を締める様にミィ先生は厳しい声でそう言った。
少し浮ついた空気が静まったのを満足そうに見遣って、召喚の手順を説明する先生。
魔法石(魔法耐性のある鉱石のこと。)に魔力を込めて、魔法陣の上に置く。
そうして、詠唱する。
それで召喚はできるらしい。
魔力を込めた魔法石を使うのは、その魔法石を体にすることで使い魔はその体が壊れても本体には影響無く過ごす事ができ、魔力を補充すれば復活できるようにする為。
使い魔契約はまた別で、呼び出した子に名前をつける事で契約できる。
普通に名付けを拒否されたり、攻撃されたりなどもあるので、先輩方や先生の監督の元やるのだそうだ。
様々な注意事項を説明された後、出席番号順に二人づつ召喚していく。
俺、使い魔で来てくれた子と仲良くなれるかな。
列に並び、どんどん召喚を試みた生徒が不思議な生物と一緒き帰ってきたり、肩を落として一人で帰ってきたりを見る中、考える。
先生は契約前でも召喚に応じてくれた使い魔とは会話ができるというが、俺のコミュ力で仲良くなれるだろうか。
そもそも召喚に応じてくれる子はいるだろうか。
そわそわしている間にも列は進んでいき、遂に俺の順番になった。
魔力を込めた真っ白の魔法石を魔法陣に置く。
「【コール】」
手を伸ばして、唱えた。
真っ白な魔法石がしゅるりと変形し、ぽふんっと跳ねた。
クリクリとしたまんまるの瞳。
もふもふとグレーと白の混ざった毛が揺れる。
ぴこぴこ、三角の耳が興味深そうに動いた。
ふさふさのしっぽを楽しそうに揺らす。
そこに居たのは____________……ねこ?
前世で見た、猫と言う生物によく似ていた。
《ぼくを召喚したのー!》
どーん、と勢いよく飛びついてくる姿はどちらかと言えば犬っぽい。
「おっとと…!」
少しこけかけながらも、しっかりとその子を抱っこして邪魔にならない様に列から出た。
俺の腕ですっぽり抱え込める程の大きさだが、長めの毛並みで少々大きく見える。
きゅるんとしたグレーの瞳で此方を見つめるその子。
「……撫でて良い?」
《いいよー!》
一応聞いてから撫でれば、嫌がれる事なく、くるくると喉が鳴った。
……………かっ、かわいい~~~!!
えっ、えっ、こんな可愛い子が俺の召喚に応じてくれたの?ほんとに?
まだ契約してくれると決まった訳ではないけれど、もうこの子なら来てくれるだけで嬉しい。と言うかどんな子でも来てくれるだけでありがたいけど!!
スキップしそうな気持ちのまま席に戻った。
既に召喚に成功していた生徒は自分の席で使い魔と話している。
なるほど、俺には他の子の使い魔が何を話しているかわからないけど、会話はできている様だ。
というかさっきこの子も喋ってたし。
そう思いながら席に座れば、するっと俺の腕から抜け出して机の上に降りたその子は好奇心に満ちた目でこちらを見る。
《ぼくを召喚した、きみのなまえは?》
「俺はユーリス。召喚に応じてくれてありがとう。」
《どういたしましてー!》
にぱっ、と可愛く笑うその子の声は幼く、性別はどちらかわからない。無いのかもしれないけど。
「ふふ、かわいい。」
取り敢えず可愛い。本当にかわいい。
目を瞑って笑っているのが可愛くて、思わずまた撫でる。
《きゅるる、きゃー。》
くるくると笑いながら机の上でお腹を見せるその子を思う存分撫でた。
一通り撫で終わると、その子は畏まったように前足を揃えて座った。
《それで、きみはぼくとどんな関係になりたいの?》
「…関係?」
なんだか、空気が変わった。
此方を見てくる灰色の瞳に、試されている、と思った。
《そう、関係。きみがぼくに求めるものともいう。
きみが求めるのは、どんなぼく?》
先生が言っていた協力者とは言い得て妙である。
目の前のこの子に、俺は何をして欲しいのか。
言ってしまえば、俺は授業ですると言われたからこの子を召喚した。
そこに望みや目的があった訳では無い。
何も考えずに召喚したこの子に、俺は何を求める。
「……………わからない、というか、なんでも良い。」
《なんでもいいの。》
ぽかん、と口を開けるその子。
強いて言えば求めるのは、使い魔としての関係になるのだろうけど、俺はそこまで考えていなかった。
わーい、面白そうな授業~!くらいにしか考えていなかったので。
「そもそも、出会ったばかりの俺と君の関係は、よくて知人だと思うんだ。
そこから友人なり、なんなりに変わっていく。
逆に言えば、そうなった関係以外に、俺達はなれないと思うんだよ。」
俺無理だよ。物凄いバディになろうと言われても鈍臭い俺じゃできないからね。できない事はやらないに限るんだよ。
《きみは、あるがままをのぞむんだね。》
…あの、そんな大層なものでは無いんですが……?
まっすぐに見つめられて言われた言葉に慄く。
俺そんなかっこいいこと言ってないよね?俺はできない事はしないってやる気のない事言っただけだよね?
混乱する俺を他所に、目の前の子は愉快そうに目を細めて笑った。
《ならぼくも、きみのあるがままをのぞもう。》
《さあ、ぼくのなまえをおしえて?》
え、えーーー……?
なんだか勘違いされている気もするけど、使い魔契約してくれるそうです?
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