青春パンク

豆腐そうめん

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は、初めまして!

担任が来てクラスメイトの前で挨拶!

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もう席に座って30分くらい経ったかな
ふと時計を見る

「まだ5分しか経ってない…」

静まり返った教室が
僕の気持ちを先走らせた

「全員揃ってるか~」

「1年3組担任のヨシノブだ」

担任?さっきの体育教師風男ではないか
僕は案外嫌ではなかった
なぜなら、担任が厳しかったら
怖いヤンキーがクラスで
幅をきかせることは無いだろうと
そう思っていたからだ

だが、そうはいかなかった

ガラガラ…

ドアが開くとそこには見るからに眉毛が細いヤンキー風の生徒が立っていた

「さーせん、遅れました~」

一瞬で教室の空気が凍りつく

「お前、1年3組か?」

「はい、」

「名前は?」

「三浦っす、三浦タツヤっす」

担任は名簿を見る

「三浦~、初日から遅刻か~」

「さーせん、」

「まぁいい、そこの空いてる席座れ」

担任が指さしたのは僕の前の席だった
憂鬱だ、憂鬱しかない、

「うぃーす、」

ヤンキーがズカズカと僕の前の席に来る
頼む、何も起きないでくれ、
そう願いながら、ちらっとヤンキーを見ると
こっちに向かって手を振っているではないか
僕は動揺した、喋ったこともなければ
会ったことも見たこともないからだ

だが無視すれば何をされるか分からない
少なからず今日から始まる1年間に
影響を及ぼすことは確か
そう思った僕は右手を小さく上げた

「ははっ、お前じゃねーよ笑」

ヤンキーは僕を見て笑う

後ろの女子がクスクス笑っていた

僕ではなくて後ろの女子に手を振っていたのか、
ヤンキーはニヤニヤしながら席に着く

ほんのり、タバコの匂いがした

僕は本物のヤンキーとそのヤンキーの友達に
挟まれてしまったのだ

「じゃ、全員揃ったことだし、自己紹介しろ~」

僕は担任に「嘘だろ?」と言わんばかりの
眼差しを向ける

「ん、お前今、目が合ったな、お前から始めよう」

もう泣きそうである

僕は恐る恐る立ち上がり震えた声で自己紹介した

「は、初めまして、山本カズです。」

手汗が止まらない、びっちょびちょだ

「趣味は?好きなスポーツは?好みのタイプは?笑」

担任から色んな角度の質問が飛んできた
僕はあまり知らないパワハラという言葉が頭に浮かんだ

だが答えるしかない、クラスメイトが僕を見ている
しかも前の席のヤンキーは僕をガン見している

「しゅ、趣味は…」

趣味は無いことも無いが、あまり人に言いたくない
けど担任とヤンキーからのプレッシャーが
すごすぎて

「趣味は、音楽鑑賞です。」

「好きなスポーツは、スケートボードです。」

「こ、好みのタイプは……」

「しょ、ショートヘアの女性です…」

ほら、言わんこっちゃない、笑っているのは担任だけだ、周りの眼差しがザクザク僕に刺さる
僕はさっさとイスに座る

パチパチパチ

ヤンキーが拍手してくれた
それにつられて周りも拍手する

「じゃあ次、前の席」

「三浦タツヤっす、」

「趣味はライブっす」

「好きなスポーツは、無いっす」

「好みのタイプも特に無いっす」

「よし、じゃあ次」

その後も全クラスメイトの自己紹介が続いた
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